適用が猶予されていた建設業への労働時間の上限規制。
いよいよ令和6年4月1日からその猶予がなくなり、上限規制の適用が始まります。
具体的には次のような感じ
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について2~6か月平均80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6回が限度
ただし、災害時における復旧及び復興の事業に限り、令和6年4月1日以降も次の規定は適用されません。
・時間外労働と休日労働の合計が100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について2~6か月平均80時間以内
ウクライナ問題などで建設材料が入ってこなかったり、円安で物価が上がったり、極めて困難な中、建設業界は新たなハードルにチャレンジしていく事となります。
ここにきて業界全体で調整する動きもでてきていますが、すぐに簡単に解決できる問題ではありませんので、企業も社員も、出来ることを一つ一つ見直し、改革を進めていく事が大切になります。
しかし、こんな状況の中で関西万博無事できるのかな~~?
建設業「時間外労働上限規制」わかりやすい解説
建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A
永年勤続表彰の金銭の取扱いについて
長期勤続者に対して、表彰金等を支払う場合の金銭が報酬等に該当するか否かがこれまで疑義の分かれる所でしたが・・・
今回その取扱いが以下の通りQ&Aの形で明確化にされています。
【問】事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、金券又は記念品等(以下「永年勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか。
【答】永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。
ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分確認した上で、総合的に判断すること。
≪永年勤続表彰金における判断要件≫
① 表彰の目的
企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
② 表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
③ 支給の形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。
今回の明確化は2023年6月27日に従来からある「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に追記されることによってなされました。
ちなみに、労働保険は「年功慰労金」、「勤続褒賞金」は賃金としないものとされていて、所得税はもう少し厳しい基準になっていますので、要注意です。
法令等データベース「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について(令和5年6月27日事務連絡)」
日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集 」
厚生労働省「労働保険対象賃金の範囲」
国税庁「No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき」
今回その取扱いが以下の通りQ&Aの形で明確化にされています。
【問】事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、金券又は記念品等(以下「永年勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか。
【答】永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。
ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分確認した上で、総合的に判断すること。
≪永年勤続表彰金における判断要件≫
① 表彰の目的
企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
② 表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
③ 支給の形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。
今回の明確化は2023年6月27日に従来からある「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に追記されることによってなされました。
ちなみに、労働保険は「年功慰労金」、「勤続褒賞金」は賃金としないものとされていて、所得税はもう少し厳しい基準になっていますので、要注意です。
法令等データベース「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について(令和5年6月27日事務連絡)」
日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集 」
厚生労働省「労働保険対象賃金の範囲」
国税庁「No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき」
今後の育児・介護両立支援の方向性
先日、今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会が開催され、報告書が発表されています。
この報告書の中では、今以上に育児や介護の負担を減らし、働き続けることができるよう、場所や空間に支配されずに働くことができるテレワークを導入することを求めるとともに、これまで労使協定で制限されていた制度をより幅広く気軽に使えるようにしようとすることが示されています。
具体的には次のような内容が案として示されています。
1.子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応
(1)子が3歳になるまでの両立支援の拡充
① テレワークの活用促進
《具体的な措置》
現在、努力義務となっている出社・退社時間の調整などに加えて、テレワークを企業の努力義務として位置付けることが必要である。
加えて、就業時間中は保育サービス等を利用して就業に集中できる環境が整備されるためには、例えば、保育所等への入所に当たり、居宅内での勤務と居宅外での勤務とで一律に取扱いに差異を設けることのないよう、保育行政において徹底していくことが必要である。
② 現行制度の短時間勤務制度の見直し
《具体的な措置》
短時間勤務制度について、現在の利用者だけでなく、今後新たに制度の利用を開始することになる労働者にとっても、企業にとっても、一定の基準があることが必要なことから、原則 1 日6時間とする措置を必ず設けなければならないとする現行の制度を引き続き維持することが必要である。
その上で、柔軟な勤務時間の設定に対するニーズもあり、勤務時間を柔軟化することは労働者のキャリア形成や職場管理面でメリットも大きいことから、原則1日6時間とする措置を設定した上で、他の勤務時間も併せて設定することを一層促していくことが必要である。
また、短時間勤務が困難な場合の代替措置の一つに、テレワークも追加することが必要である。
(2)子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充
① 柔軟な働き方を実現するための措置
《具体的な措置》
業種・職種などにより、職場で導入できる制度も様々であることから、短時間勤務制度又は、所定労働時間を短縮しないテレワーク、出社・退社時間の調整(フレックスタイム制を含む。)若しくは休暇などの柔軟な働き方を措置する制度の中から、事業主が各職場の事情に応じて、2以上の制度を選択して措置を講じる義務を設けることが必要である。
a)事業主が2以上の制度を選択することとする趣旨は、育児との両立の在り方やキャリア形成への希望に応じて、労働者が短時間勤務だけでなく、柔軟な働き方を活用しつつフルタイムで働ける制度を選ぶことができるようにするためである。
b)労働者は、事業主が選択した2以上の制度の中から、1つを選ぶことができる仕組みとすることが考えられる。
これは、事業主の措置義務であることから、法で定める最低基準としては全ての業種・職種で対応することを求める仕組みであるが、一方で、短時間勤務とテレワークなど、労働者が複数の制度を組み合わせられることはより望ましい。したがって、労働者が2以上の制度を選ぶことのできる社内制度とすることを、法を上回る措置として推奨していくことも求められる。
c)事業主が措置する制度を選択することができる仕組みではあるが、選択の際には、労働者からのニーズを把握することが重要である。過半数労働組合や過半数代表者、既存の労使委員会の仕組みを参考とした意見聴取の機会を設けることが必要である。
加えて、ヒアリングで聴取した実例から、子どもを育てる労働者の意見を把握することも、労使の現場において有効と考えられる。例えば、子どもを育てる労働者から構成される会からの意見聴取や、労働者へのアンケート調査などの活用も推奨していくことも求められる。
d)小学校就学前まで制度を利用していく中で、労働者の仕事や育児の状況や、キャリア形成に対する考え方なども変化していくことが想定される。労働者が選択して適用された制度について、その労働者自身にとって適切な選択となっているかの確認を促すために、定期的な面談などを通じて、見直しを行うことも促していくべきである。なお、このような定期的な面談などを通じ
た見直しは、子が3歳になるまでの期間においても実施されることが望ましい。また、労働者の心身の健康への配慮も必要である。
e)事業主が措置義務として短時間勤務制度を選択する場合には、3歳になるまでに措置されている現行の短時間勤務制度と同様、1日原則6時間とする措置を設けた上で、他の勤務時間も併せて設定することを促していくべきである。
f)事業主の措置義務として事業主がテレワークを選択する場合には、育児との両立に資すると言える環境を十分に構築するために、テレワークの頻度等に関する基準を設けることが必要である。
基準を設ける際には、例えば以下の考え方を参考にして検討することが考えられる。
・育児の時間を確保するために、出社が必須であれば短時間勤務を希望していた労働者が、テレワークを利用してフルタイムで働くことを可能となるような時間数や頻度に関する基準などが考えられる。
・1日中テレワークをすることのみを前提とせず、時間単位でテレワークができるなど、労働者がテレワークによる働き方を柔軟にできるような基準の設定の仕方が望ましい。
② 残業免除(所定外労働の制限)
《具体的な措置》
現在3歳になるまで請求できる残業免除(所定外労働の制限)について、3歳以降も請求を可能とすることが必要である。
請求できる期間については、他の労働者とのバランスや、短時間勤務制度からの移行期間という観点から、小学校就学前までとすることが適当である。 なお、この点について、
・特に小学校1年生など子が新たな環境になじむ期間も請求できるようにするべきではないかという意見や、
・小学校6年生までの期間は、教育面や安全面での配慮から、親子で過ごす時間を十分に確保する必要があることから、残業免除を請求できるようにするべきではなかという意見
もあった。
なお、長時間労働が常態化している職場で、育児中の特定の労働者にのみ残業を免除することは適当ではなく、職場の全ての労働者について残業がない働き方となることが望ましい。そのような考え方の下で、労使で取組を進めてい
くことができるような工夫もあわせて行っていくべきである。
(3)子の看護休暇制度の見直し
《具体的な措置》
子の看護休暇の取得目的については、現行の育児・介護休業法において育児目的休暇が努力義務となっていることや、コロナ禍で小学校等の一斉休校に伴い、多くの保護者が休暇を取得せざるを得なかったことを踏まえ、子の行事(入園式、卒園式など)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるよう、見直しを行うことが必要である。それに合わせて、「看護休暇」の名称の在り方も検討していくべきである。
子の看護休暇を取得する労働者の多くは5日未満の取得日数であることや、子の病気のために利用した各種休暇制度の取得日数の状況、男女の休暇の取得状況等を参考に、1年間の取得日数は現行の5日(子が2人以上の場合は年10 日)を維持するべきである。
子が診療を受けた日数の状況等を勘案して、取得可能な子の年齢については、小学校3年生の修了までに引き上げることが必要である。
なお、この点について、子が小学校高学年であっても、子を単独で療養させることはできないことから、取得可能な年齢をさらに引き上げるべきではないかとの意見もあった。一方で、男女の休暇の取得状況等を参考にすると、女性に育児負担の偏りにつながりかねないことから、一律に取得可能な子の年齢を引き上げるべきではないとの意見もあった。この点、例えばひとり親等において子の預け先の確保が困難などの事情が個別にある場合には、後述の労働者の個別の状況に配慮した対応が検討されるべきである。
子の看護や行事等への参加等のニーズは、労働者の勤続年数にかかわらず存在することから、労働移動に中立的な制度とする等の観点からも、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって除外できる仕組みは廃止することが必要である。
2.仕事と育児の両立支援制度の活用促進
(1)制度の活用をサポートする企業や周囲の労働者に対する支援
《具体的な措置》
育児休業や短時間勤務を活用する労働者の業務を、外部からの代替要員や周囲の労働者によりカバーする場合に、代替要員の雇用や周囲の労働者の負担軽減を行う中小企業に対する助成措置の強化や、企業規模にかかわらず、制度利用者がいる職場の業務量・達成目標の見直しや体制の整備などに関するノウハウの共有などが必要である。
(2)育児休業取得状況の公表や取得率の目標設定について
《具体的な措置》
現在、常時雇用する労働者が 1,000 人超の事業主に対して男性の育児休業取得状況の公表が義務付けられたが、女性活躍推進法などを参考に、さらに 300人超の事業主についても、公表の義務付けが必要と考えられる。
ただし、企業規模が小さい場合には、一定期間内に育児休業を取得しうる者(配偶者が出産した者等)が限られる場合があるため、公表時期を2年度に1度とすることや、公表時に社内の状況についても説明できる仕組みを設けるなどの配慮を行うことが必要と考えられる。
また、政府において男性の育児休業取得率の目標を掲げる場合には、取得率だけでなく、男性の育児休業取得日数や育児・家事時間等も含めた目標の検討が必要である。
3.次世代育成支援に向けた職場環境の整備
《具体的な措置》
常時雇用する労働者 101 人以上の企業に策定が義務付けられている一般事業主行動計画について、行動計画策定指針上は数値目標の設定が望ましいことやPDCA サイクルの確立が重要であるとされている。各職場での取組をさらに促進していくため、上記のような手法を、指針ではなく法律上の仕組みとして規定することが必要である。
一般事業主行動計画の策定に当たっては、今後の次世代育成支援において重要なのは「女性が働きやすい職場」であるだけではなく「男女がともに仕事と子育てを両立できる職場」であることという観点を明確にすることが必要である。そのため、策定に当たっての基本的な考え方として、男性育児休業の促進、子育て期を含めた全ての労働者の時間外労働の縮減や柔軟な働き方の促進等の事項を盛り込むことについて具体的に示すことが必要である。
ヒアリングを通じて把握してきた好事例等の内容を踏まえ、行動計画に盛り込むことが望ましい事項として、以下のような項目を策定指針で示すことが必要である。
A 企業全体の方針
ⅰ 育児休業期間や短時間勤務などを活用する期間の評価に関すること
ⅱ 育児休業取得時や短時間勤務活用時等の業務の分担や代替要員確保に関する企業としての方針(本人及び周囲の労働者に対する周知方法を含む)
ⅲ 育児休業からの復職後に復帰するポジションに関する納得感の向上に向けた取組に関すること(原職や原職相当のポジションへの復帰や、意欲・能力を活かす仕組み)
ⅳ 多様な状況にある子や親の両立支援に関する取組に関すること
ⅴ 育児に必要な時間帯や勤務地に対する配慮に関すること
ⅵ 両立支援に対するニーズを反映するために、トップダウン・ボトムアップでの取組、当事者間のつながりによるコミュニティと
のコミュニケーションなど、多様な手段を活用すること
B 両立支援制度の利用者に対する取組
ⅶ 育児を予定している労働者や育児中の労働者が、今後のキャリアの希望に合わせて、両立支援制度の利用や配偶者との育児分担等について検討することを促すためのキャリア研修
C 個々の職場の管理職や上司に対する取組
ⅷ 育児休業取得者等の周囲の労働者に対するマネジメントや評価に関すること
ⅸ 制度利用者本人のキャリア形成・能力開発の観点や、円滑な制度利用のために周囲の労働者の業務見直しや評価等への配慮を行うことで職場でのあつれきが生じないようにする観点から、上司向けの情報提供や研修に関すること
4.介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等
(1)仕事と介護の両立支援制度の情報提供や、制度を利用しやすい雇用環境の整備の在り方
《具体的措置》
家族の介護の必要性に直面した労働者が申出をした場合に、当該労働者に対して、企業が、仕事と介護の両立支援制度等に関する情報を個別に周知することが必要である。また、その際に、両立支援制度の本来の目的を十分に説明した上で、仕事との両立に必要な制度が選択できるよう労働者に対して働きかけることも必要である。
両立支援制度に加えて、労働者が介護保険制度についての基本的な知識をもつことは仕事と介護の両立を図る上でも有効である。企業が、介護保険の第2号被保険者となる 40 歳になるタイミングをとらえるなどして効果的な時期に、労働者に対して、両立支援制度の情報を記載した資料などを配付するなどの情報提供を一律に行うことが必要である。その際、介護保険制度の内容をあわせて周知することが望ましい。
企業が、介護保険制度や両立支援制度に関する社内セミナーや研修の開催、相談窓口の設置など雇用環境の整備を行うことが必要である。
その他、企業における仕事と介護の両立支援制度を利用しやすくしている個別の取組を好事例として共有できるようにすることも必要である。
(2)介護休業
《具体的措置》
介護休業に関しては、制度の目的の理解促進が重要であり、(1)による情報提供等に取り組むことが必要である。
加えて、各企業で就業規則等において制度を定める際に、「介護休業」の名称を「介護準備休暇」、「介護休業・介護体制準備休業」というように、企業独自で決めることも、法律上の取得要件等を満たしていれば問題はない。こういった名称の変更により、制度の趣旨が伝わりやすくなる工夫が考えられる旨、周知していくことが望ましい。
(3)介護期の働き方(介護休暇や短時間勤務等の選択的措置義務、テレワークの在り方等)
《具体的措置》
介護休暇について、介護体制構築後の通院等の日常的な介護ニーズなどにスポット的に対応するものとして設けられているが、こうしたニーズは、労働者の勤続年数にかかわらず存在することから、労働移動に中立的な制度とする等の観点からも、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって除外できる仕組みは廃止することが必要である。
テレワークについては、通勤時間が削減されたり、遠隔地に住む家族の家から業務を行ったりすることが可能となることで、介護休業や短時間勤務を利用する代わりにフルタイムで働く日を増やしていくことも可能になるという効果が期待されるため、介護期の働き方として選択肢の一つとして位置付けていくことが望ましい。
一方で、テレワークにより労働者が恒常的に自ら介護を行うことは、要介護者が家族である労働者本人に過度に依存することを助長する恐れもある。
以上を踏まえて、介護期の働き方として、テレワークを選択できるように努めることを企業に求めることが必要である。
5.障害児等を育てる親等、個別のニーズに配慮した両立支援について
《具体的な措置》
① 現行の仕事と介護の両立支援制度の運用の見直し
子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合にも、子が要介護状態の要件を満たせば、介護休暇等の制度も利用可能であることや、介護休業若しくは介護休暇に関する制度又は介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じて、介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずる努力義務が事業主に課されていることについて、周知を強化するべきである。
現行の要介護状態の判断基準について、主に高齢者介護を念頭に作成されており、子に障害がある場合等では解釈が難しいケースも考えられることから、具体的な障害の状態等を踏まえて、さらに検討することが今後の課題である。
② 育児中の労働者に対して個人の意向を尊重する配慮
企業や労働組合、当事者団体へのヒアリングを通じて、労使での話合いや、様々なコミュニケーション手段を活用したニーズの把握などにより、企業が個々の労働者への配慮を行う事例も見られた。
これらを参考として、社内の制度以外に、勤務時間帯や勤務地、制度の利用期間などに関する希望など、個人の意向を聴取するよう企業に義務付けることが必要である。また、個人の意向を聴取したあと、企業はその意向を尊重することが適当である。
その際、子に障害がある場合等に限らず全ての労働者を対象とすることが適当である。そのため、個人の意向を聞く機会は、個々の家庭のニーズに配慮できるよう、妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出時の育児休業取得に関する意向確認の際に一律に行うこととすることが必要である。さらに、育児休業からの復職時の定期的な面談時などの際にも行うことも望ましいと考えられる。
6.仕事と育児・介護との両立支援に当たって必要な環境整備
(1)プライバシーへの配慮
《具体的な措置》
妊娠・出産等、家族の介護に関する情報が適切に管理されるよう、社内で共有する範囲を定めるといった配慮を事業主に求めることが望ましい。
(2)心身の健康への配慮
《具体的な措置》
仕事と育児の両立のためにテレワークやフレックスタイム制などを活用する場面では、夜間の勤務等を理由に心身の健康の不調が生じないよう、事業主の配慮(勤務間の休息時間(いわゆる勤務間インターバル)や勤務時間外の業務へのアクセス状況の確認、面談による労働者の健康状況への配慮等)を促すことが望ましい。
また、事業主による配慮だけでなく、労働者自身も、自身の健康にも留意しながら働き方を見直していくことも求められるため、セルフケアなどを促すことも望ましい。
(3)有期雇用労働者の育児休業取得等の促進
《具体的な措置》
有期雇用労働者の育児休業制度に関する周知を引き続き行うことが必要である。その際には、女性労働者が産前・産後休業に関する制度を知らずに退職することで、育児休業を取得できない場合もあることを踏まえ、産前・産後休業の制度と併せて周知していくことが重要である。
なんだか後ろのほうになるほど、トーンが下がっていく気がしますが(-_-;)、企業にはこれまで以上に育児・介護に関する配慮が求められることになりそうです。
こういう話が出てくると、企業の負担の多さが言われますが、子供を社会で育てる中で、企業もそのメンバーであると考え前向きに取り組んでいくことが重要になりそうです。
また、随所にテレワークという言葉が出てくることから、もはや場所や時間を選ばない働き方は企業が避けて通れない課題の一つになることも予見されます。
ライフワークバランスやウェルビーイングという価値観が浸透し、個々の労働者が素直に自信を表現することが当たり前になりつつある今、採用活動・人材定着の観点からも、できることから一つ一つ前向きにチャレンジしていくことが未来を創っていくことになりそうです。
第8回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会
報告書骨子(案)
報告書(案)
報告書(案)関係資料
補足資料
この報告書の中では、今以上に育児や介護の負担を減らし、働き続けることができるよう、場所や空間に支配されずに働くことができるテレワークを導入することを求めるとともに、これまで労使協定で制限されていた制度をより幅広く気軽に使えるようにしようとすることが示されています。
具体的には次のような内容が案として示されています。
1.子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応
(1)子が3歳になるまでの両立支援の拡充
① テレワークの活用促進
《具体的な措置》
現在、努力義務となっている出社・退社時間の調整などに加えて、テレワークを企業の努力義務として位置付けることが必要である。
加えて、就業時間中は保育サービス等を利用して就業に集中できる環境が整備されるためには、例えば、保育所等への入所に当たり、居宅内での勤務と居宅外での勤務とで一律に取扱いに差異を設けることのないよう、保育行政において徹底していくことが必要である。
② 現行制度の短時間勤務制度の見直し
《具体的な措置》
短時間勤務制度について、現在の利用者だけでなく、今後新たに制度の利用を開始することになる労働者にとっても、企業にとっても、一定の基準があることが必要なことから、原則 1 日6時間とする措置を必ず設けなければならないとする現行の制度を引き続き維持することが必要である。
その上で、柔軟な勤務時間の設定に対するニーズもあり、勤務時間を柔軟化することは労働者のキャリア形成や職場管理面でメリットも大きいことから、原則1日6時間とする措置を設定した上で、他の勤務時間も併せて設定することを一層促していくことが必要である。
また、短時間勤務が困難な場合の代替措置の一つに、テレワークも追加することが必要である。
(2)子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充
① 柔軟な働き方を実現するための措置
《具体的な措置》
業種・職種などにより、職場で導入できる制度も様々であることから、短時間勤務制度又は、所定労働時間を短縮しないテレワーク、出社・退社時間の調整(フレックスタイム制を含む。)若しくは休暇などの柔軟な働き方を措置する制度の中から、事業主が各職場の事情に応じて、2以上の制度を選択して措置を講じる義務を設けることが必要である。
a)事業主が2以上の制度を選択することとする趣旨は、育児との両立の在り方やキャリア形成への希望に応じて、労働者が短時間勤務だけでなく、柔軟な働き方を活用しつつフルタイムで働ける制度を選ぶことができるようにするためである。
b)労働者は、事業主が選択した2以上の制度の中から、1つを選ぶことができる仕組みとすることが考えられる。
これは、事業主の措置義務であることから、法で定める最低基準としては全ての業種・職種で対応することを求める仕組みであるが、一方で、短時間勤務とテレワークなど、労働者が複数の制度を組み合わせられることはより望ましい。したがって、労働者が2以上の制度を選ぶことのできる社内制度とすることを、法を上回る措置として推奨していくことも求められる。
c)事業主が措置する制度を選択することができる仕組みではあるが、選択の際には、労働者からのニーズを把握することが重要である。過半数労働組合や過半数代表者、既存の労使委員会の仕組みを参考とした意見聴取の機会を設けることが必要である。
加えて、ヒアリングで聴取した実例から、子どもを育てる労働者の意見を把握することも、労使の現場において有効と考えられる。例えば、子どもを育てる労働者から構成される会からの意見聴取や、労働者へのアンケート調査などの活用も推奨していくことも求められる。
d)小学校就学前まで制度を利用していく中で、労働者の仕事や育児の状況や、キャリア形成に対する考え方なども変化していくことが想定される。労働者が選択して適用された制度について、その労働者自身にとって適切な選択となっているかの確認を促すために、定期的な面談などを通じて、見直しを行うことも促していくべきである。なお、このような定期的な面談などを通じ
た見直しは、子が3歳になるまでの期間においても実施されることが望ましい。また、労働者の心身の健康への配慮も必要である。
e)事業主が措置義務として短時間勤務制度を選択する場合には、3歳になるまでに措置されている現行の短時間勤務制度と同様、1日原則6時間とする措置を設けた上で、他の勤務時間も併せて設定することを促していくべきである。
f)事業主の措置義務として事業主がテレワークを選択する場合には、育児との両立に資すると言える環境を十分に構築するために、テレワークの頻度等に関する基準を設けることが必要である。
基準を設ける際には、例えば以下の考え方を参考にして検討することが考えられる。
・育児の時間を確保するために、出社が必須であれば短時間勤務を希望していた労働者が、テレワークを利用してフルタイムで働くことを可能となるような時間数や頻度に関する基準などが考えられる。
・1日中テレワークをすることのみを前提とせず、時間単位でテレワークができるなど、労働者がテレワークによる働き方を柔軟にできるような基準の設定の仕方が望ましい。
② 残業免除(所定外労働の制限)
《具体的な措置》
現在3歳になるまで請求できる残業免除(所定外労働の制限)について、3歳以降も請求を可能とすることが必要である。
請求できる期間については、他の労働者とのバランスや、短時間勤務制度からの移行期間という観点から、小学校就学前までとすることが適当である。 なお、この点について、
・特に小学校1年生など子が新たな環境になじむ期間も請求できるようにするべきではないかという意見や、
・小学校6年生までの期間は、教育面や安全面での配慮から、親子で過ごす時間を十分に確保する必要があることから、残業免除を請求できるようにするべきではなかという意見
もあった。
なお、長時間労働が常態化している職場で、育児中の特定の労働者にのみ残業を免除することは適当ではなく、職場の全ての労働者について残業がない働き方となることが望ましい。そのような考え方の下で、労使で取組を進めてい
くことができるような工夫もあわせて行っていくべきである。
(3)子の看護休暇制度の見直し
《具体的な措置》
子の看護休暇の取得目的については、現行の育児・介護休業法において育児目的休暇が努力義務となっていることや、コロナ禍で小学校等の一斉休校に伴い、多くの保護者が休暇を取得せざるを得なかったことを踏まえ、子の行事(入園式、卒園式など)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるよう、見直しを行うことが必要である。それに合わせて、「看護休暇」の名称の在り方も検討していくべきである。
子の看護休暇を取得する労働者の多くは5日未満の取得日数であることや、子の病気のために利用した各種休暇制度の取得日数の状況、男女の休暇の取得状況等を参考に、1年間の取得日数は現行の5日(子が2人以上の場合は年10 日)を維持するべきである。
子が診療を受けた日数の状況等を勘案して、取得可能な子の年齢については、小学校3年生の修了までに引き上げることが必要である。
なお、この点について、子が小学校高学年であっても、子を単独で療養させることはできないことから、取得可能な年齢をさらに引き上げるべきではないかとの意見もあった。一方で、男女の休暇の取得状況等を参考にすると、女性に育児負担の偏りにつながりかねないことから、一律に取得可能な子の年齢を引き上げるべきではないとの意見もあった。この点、例えばひとり親等において子の預け先の確保が困難などの事情が個別にある場合には、後述の労働者の個別の状況に配慮した対応が検討されるべきである。
子の看護や行事等への参加等のニーズは、労働者の勤続年数にかかわらず存在することから、労働移動に中立的な制度とする等の観点からも、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって除外できる仕組みは廃止することが必要である。
2.仕事と育児の両立支援制度の活用促進
(1)制度の活用をサポートする企業や周囲の労働者に対する支援
《具体的な措置》
育児休業や短時間勤務を活用する労働者の業務を、外部からの代替要員や周囲の労働者によりカバーする場合に、代替要員の雇用や周囲の労働者の負担軽減を行う中小企業に対する助成措置の強化や、企業規模にかかわらず、制度利用者がいる職場の業務量・達成目標の見直しや体制の整備などに関するノウハウの共有などが必要である。
(2)育児休業取得状況の公表や取得率の目標設定について
《具体的な措置》
現在、常時雇用する労働者が 1,000 人超の事業主に対して男性の育児休業取得状況の公表が義務付けられたが、女性活躍推進法などを参考に、さらに 300人超の事業主についても、公表の義務付けが必要と考えられる。
ただし、企業規模が小さい場合には、一定期間内に育児休業を取得しうる者(配偶者が出産した者等)が限られる場合があるため、公表時期を2年度に1度とすることや、公表時に社内の状況についても説明できる仕組みを設けるなどの配慮を行うことが必要と考えられる。
また、政府において男性の育児休業取得率の目標を掲げる場合には、取得率だけでなく、男性の育児休業取得日数や育児・家事時間等も含めた目標の検討が必要である。
3.次世代育成支援に向けた職場環境の整備
《具体的な措置》
常時雇用する労働者 101 人以上の企業に策定が義務付けられている一般事業主行動計画について、行動計画策定指針上は数値目標の設定が望ましいことやPDCA サイクルの確立が重要であるとされている。各職場での取組をさらに促進していくため、上記のような手法を、指針ではなく法律上の仕組みとして規定することが必要である。
一般事業主行動計画の策定に当たっては、今後の次世代育成支援において重要なのは「女性が働きやすい職場」であるだけではなく「男女がともに仕事と子育てを両立できる職場」であることという観点を明確にすることが必要である。そのため、策定に当たっての基本的な考え方として、男性育児休業の促進、子育て期を含めた全ての労働者の時間外労働の縮減や柔軟な働き方の促進等の事項を盛り込むことについて具体的に示すことが必要である。
ヒアリングを通じて把握してきた好事例等の内容を踏まえ、行動計画に盛り込むことが望ましい事項として、以下のような項目を策定指針で示すことが必要である。
A 企業全体の方針
ⅰ 育児休業期間や短時間勤務などを活用する期間の評価に関すること
ⅱ 育児休業取得時や短時間勤務活用時等の業務の分担や代替要員確保に関する企業としての方針(本人及び周囲の労働者に対する周知方法を含む)
ⅲ 育児休業からの復職後に復帰するポジションに関する納得感の向上に向けた取組に関すること(原職や原職相当のポジションへの復帰や、意欲・能力を活かす仕組み)
ⅳ 多様な状況にある子や親の両立支援に関する取組に関すること
ⅴ 育児に必要な時間帯や勤務地に対する配慮に関すること
ⅵ 両立支援に対するニーズを反映するために、トップダウン・ボトムアップでの取組、当事者間のつながりによるコミュニティと
のコミュニケーションなど、多様な手段を活用すること
B 両立支援制度の利用者に対する取組
ⅶ 育児を予定している労働者や育児中の労働者が、今後のキャリアの希望に合わせて、両立支援制度の利用や配偶者との育児分担等について検討することを促すためのキャリア研修
C 個々の職場の管理職や上司に対する取組
ⅷ 育児休業取得者等の周囲の労働者に対するマネジメントや評価に関すること
ⅸ 制度利用者本人のキャリア形成・能力開発の観点や、円滑な制度利用のために周囲の労働者の業務見直しや評価等への配慮を行うことで職場でのあつれきが生じないようにする観点から、上司向けの情報提供や研修に関すること
4.介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等
(1)仕事と介護の両立支援制度の情報提供や、制度を利用しやすい雇用環境の整備の在り方
《具体的措置》
家族の介護の必要性に直面した労働者が申出をした場合に、当該労働者に対して、企業が、仕事と介護の両立支援制度等に関する情報を個別に周知することが必要である。また、その際に、両立支援制度の本来の目的を十分に説明した上で、仕事との両立に必要な制度が選択できるよう労働者に対して働きかけることも必要である。
両立支援制度に加えて、労働者が介護保険制度についての基本的な知識をもつことは仕事と介護の両立を図る上でも有効である。企業が、介護保険の第2号被保険者となる 40 歳になるタイミングをとらえるなどして効果的な時期に、労働者に対して、両立支援制度の情報を記載した資料などを配付するなどの情報提供を一律に行うことが必要である。その際、介護保険制度の内容をあわせて周知することが望ましい。
企業が、介護保険制度や両立支援制度に関する社内セミナーや研修の開催、相談窓口の設置など雇用環境の整備を行うことが必要である。
その他、企業における仕事と介護の両立支援制度を利用しやすくしている個別の取組を好事例として共有できるようにすることも必要である。
(2)介護休業
《具体的措置》
介護休業に関しては、制度の目的の理解促進が重要であり、(1)による情報提供等に取り組むことが必要である。
加えて、各企業で就業規則等において制度を定める際に、「介護休業」の名称を「介護準備休暇」、「介護休業・介護体制準備休業」というように、企業独自で決めることも、法律上の取得要件等を満たしていれば問題はない。こういった名称の変更により、制度の趣旨が伝わりやすくなる工夫が考えられる旨、周知していくことが望ましい。
(3)介護期の働き方(介護休暇や短時間勤務等の選択的措置義務、テレワークの在り方等)
《具体的措置》
介護休暇について、介護体制構築後の通院等の日常的な介護ニーズなどにスポット的に対応するものとして設けられているが、こうしたニーズは、労働者の勤続年数にかかわらず存在することから、労働移動に中立的な制度とする等の観点からも、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって除外できる仕組みは廃止することが必要である。
テレワークについては、通勤時間が削減されたり、遠隔地に住む家族の家から業務を行ったりすることが可能となることで、介護休業や短時間勤務を利用する代わりにフルタイムで働く日を増やしていくことも可能になるという効果が期待されるため、介護期の働き方として選択肢の一つとして位置付けていくことが望ましい。
一方で、テレワークにより労働者が恒常的に自ら介護を行うことは、要介護者が家族である労働者本人に過度に依存することを助長する恐れもある。
以上を踏まえて、介護期の働き方として、テレワークを選択できるように努めることを企業に求めることが必要である。
5.障害児等を育てる親等、個別のニーズに配慮した両立支援について
《具体的な措置》
① 現行の仕事と介護の両立支援制度の運用の見直し
子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合にも、子が要介護状態の要件を満たせば、介護休暇等の制度も利用可能であることや、介護休業若しくは介護休暇に関する制度又は介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じて、介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずる努力義務が事業主に課されていることについて、周知を強化するべきである。
現行の要介護状態の判断基準について、主に高齢者介護を念頭に作成されており、子に障害がある場合等では解釈が難しいケースも考えられることから、具体的な障害の状態等を踏まえて、さらに検討することが今後の課題である。
② 育児中の労働者に対して個人の意向を尊重する配慮
企業や労働組合、当事者団体へのヒアリングを通じて、労使での話合いや、様々なコミュニケーション手段を活用したニーズの把握などにより、企業が個々の労働者への配慮を行う事例も見られた。
これらを参考として、社内の制度以外に、勤務時間帯や勤務地、制度の利用期間などに関する希望など、個人の意向を聴取するよう企業に義務付けることが必要である。また、個人の意向を聴取したあと、企業はその意向を尊重することが適当である。
その際、子に障害がある場合等に限らず全ての労働者を対象とすることが適当である。そのため、個人の意向を聞く機会は、個々の家庭のニーズに配慮できるよう、妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出時の育児休業取得に関する意向確認の際に一律に行うこととすることが必要である。さらに、育児休業からの復職時の定期的な面談時などの際にも行うことも望ましいと考えられる。
6.仕事と育児・介護との両立支援に当たって必要な環境整備
(1)プライバシーへの配慮
《具体的な措置》
妊娠・出産等、家族の介護に関する情報が適切に管理されるよう、社内で共有する範囲を定めるといった配慮を事業主に求めることが望ましい。
(2)心身の健康への配慮
《具体的な措置》
仕事と育児の両立のためにテレワークやフレックスタイム制などを活用する場面では、夜間の勤務等を理由に心身の健康の不調が生じないよう、事業主の配慮(勤務間の休息時間(いわゆる勤務間インターバル)や勤務時間外の業務へのアクセス状況の確認、面談による労働者の健康状況への配慮等)を促すことが望ましい。
また、事業主による配慮だけでなく、労働者自身も、自身の健康にも留意しながら働き方を見直していくことも求められるため、セルフケアなどを促すことも望ましい。
(3)有期雇用労働者の育児休業取得等の促進
《具体的な措置》
有期雇用労働者の育児休業制度に関する周知を引き続き行うことが必要である。その際には、女性労働者が産前・産後休業に関する制度を知らずに退職することで、育児休業を取得できない場合もあることを踏まえ、産前・産後休業の制度と併せて周知していくことが重要である。
なんだか後ろのほうになるほど、トーンが下がっていく気がしますが(-_-;)、企業にはこれまで以上に育児・介護に関する配慮が求められることになりそうです。
こういう話が出てくると、企業の負担の多さが言われますが、子供を社会で育てる中で、企業もそのメンバーであると考え前向きに取り組んでいくことが重要になりそうです。
また、随所にテレワークという言葉が出てくることから、もはや場所や時間を選ばない働き方は企業が避けて通れない課題の一つになることも予見されます。
ライフワークバランスやウェルビーイングという価値観が浸透し、個々の労働者が素直に自信を表現することが当たり前になりつつある今、採用活動・人材定着の観点からも、できることから一つ一つ前向きにチャレンジしていくことが未来を創っていくことになりそうです。
第8回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会
報告書骨子(案)
報告書(案)
報告書(案)関係資料
補足資料
死傷病報告や定期健診結果報告書等の電子申請が原則義務化
<死傷病報告書の報告原則義務化>
労働災害統計や政策の企画・立案の基盤となる労働者死傷病報告(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第97条:様式第23号、様式第24号)について、報告者(事業者)の負担軽減や報告内容の適正化、統計処理の効率化等をより一層推進するため、デジタル技術の活用により、報告は原則として電子申請とするよう労働安全衛生法が改正されます。
※電子申請によることが困難な場合における紙媒体での報告については経過措置として規定
【報告の円滑化、負担軽減のための方策】
・スマートフォン等からでも電子申請が可能となるよう、「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」のシステム改修を行い、e-Govと連携。
・パソコン、スマートフォン等を所持していない事業者は、労働基準監督署に設置しているタブレットにおいて、電子申請ができる体制を整備する。
<その他書類の報告原則義務化>
以下の報告についても、労働者死傷病報告同様、原則電子申請によることとなります。
※電子申請によることが困難な場合における従来様式での報告については経過措置として規定
・じん肺健康管理実施状況報告
(じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)第37条・様式第8号)
・総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告
(安衛則第2条、第4条、第7条及び第13条・様式第3号)
・ 定期健康診断結果報告書(安衛則第52条・様式第6号)
・有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(安衛則第52条・様式第6号の2)
・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(安衛則第52条の21・様式第6号の3)
・有機溶剤等健康診断結果報告書
(有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)第30条の3・様式第3号の2)
<労働者死傷病報告の報告内容も改正されます>
(1)電子申請の原則義務化
(2)報告内容の改正
ア 事業の種類欄の改修
事業の種類欄を日本標準産業分類の分類コード4桁で入力できるよう修正
イ 職種欄の改修
職種欄を日本標準職業分類の分類コード3桁で入力できるように修正
ウ 災害発生状況及び原因の欄のテキスト保持
災害発生状況及び原因の欄を以下の①~⑤に沿って入力できるように修正
①どのような場所で
②どのような作業をしているときに
③どのような物又は環境に
(化学物質による被災の場合、化学物質の名称を記載すること)
④どのような不安全な又は有害な状態があって
(保護具を着用していなかった等を記載すること)
⑤どのような災害が発生したか
※休業4日未満の報告については、従来、様式には含まれていなかった「労働保険番号」、「被災者の経験期間」や「国籍・在留資格」など、災害データの更なる活用に当たって必要な事項を報告事項に追記されます。
この改正は公布が令和5年6月上旬(予定)施行が令和7年1月1日(予定)とされています。
(出所)じん肺法施行規則等の一部を改正する省令案の概要 (労働者死傷病報告等の電子申請の原則義務化等関係)ー第154回安全衛生分科会資料 厚生労働省
労働災害統計や政策の企画・立案の基盤となる労働者死傷病報告(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第97条:様式第23号、様式第24号)について、報告者(事業者)の負担軽減や報告内容の適正化、統計処理の効率化等をより一層推進するため、デジタル技術の活用により、報告は原則として電子申請とするよう労働安全衛生法が改正されます。
※電子申請によることが困難な場合における紙媒体での報告については経過措置として規定
【報告の円滑化、負担軽減のための方策】
・スマートフォン等からでも電子申請が可能となるよう、「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」のシステム改修を行い、e-Govと連携。
・パソコン、スマートフォン等を所持していない事業者は、労働基準監督署に設置しているタブレットにおいて、電子申請ができる体制を整備する。
<その他書類の報告原則義務化>
以下の報告についても、労働者死傷病報告同様、原則電子申請によることとなります。
※電子申請によることが困難な場合における従来様式での報告については経過措置として規定
・じん肺健康管理実施状況報告
(じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)第37条・様式第8号)
・総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告
(安衛則第2条、第4条、第7条及び第13条・様式第3号)
・ 定期健康診断結果報告書(安衛則第52条・様式第6号)
・有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(安衛則第52条・様式第6号の2)
・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(安衛則第52条の21・様式第6号の3)
・有機溶剤等健康診断結果報告書
(有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)第30条の3・様式第3号の2)
<労働者死傷病報告の報告内容も改正されます>
(1)電子申請の原則義務化
(2)報告内容の改正
ア 事業の種類欄の改修
事業の種類欄を日本標準産業分類の分類コード4桁で入力できるよう修正
イ 職種欄の改修
職種欄を日本標準職業分類の分類コード3桁で入力できるように修正
ウ 災害発生状況及び原因の欄のテキスト保持
災害発生状況及び原因の欄を以下の①~⑤に沿って入力できるように修正
①どのような場所で
②どのような作業をしているときに
③どのような物又は環境に
(化学物質による被災の場合、化学物質の名称を記載すること)
④どのような不安全な又は有害な状態があって
(保護具を着用していなかった等を記載すること)
⑤どのような災害が発生したか
※休業4日未満の報告については、従来、様式には含まれていなかった「労働保険番号」、「被災者の経験期間」や「国籍・在留資格」など、災害データの更なる活用に当たって必要な事項を報告事項に追記されます。
この改正は公布が令和5年6月上旬(予定)施行が令和7年1月1日(予定)とされています。
(出所)じん肺法施行規則等の一部を改正する省令案の概要 (労働者死傷病報告等の電子申請の原則義務化等関係)ー第154回安全衛生分科会資料 厚生労働省
給与明細電子化の同意についての改正
国税庁より、令和5年4月版の「源泉所得税の改正のあらまし」が公開され、令和5年度の税制改正により、給与明細電子化の同意に関する取扱いが変更されています。
これまでは、給与支払明細書及び給与所得の源泉徴収票に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合、その旨の承諾が必要でしたが、これが「給与等の支払をする者が定める期限までにその承諾をしない旨の回答がないときはその承諾があったものとみなす」旨を通知し、その期限までに回答がなかったときは、その承諾を得たものとみなす方法が加えられています。
いちいち、書面等でのやり取りが面倒でしたが、それが省略されるので、より一層電子化が進めやすくなりますね。
この改正は、令和5年4月1日以後に行う通知について適用されます。
また、「給与所得者の扶養控除等申告書」についても、その申告書に記載すべき事項がその年の前年の申告内容と異動がない場合には、その記載すべき事項の記載に代えて、その異動がない旨の記載によることができるようになります。
これで同じことを何度も毎年書かなくてはいけないルーティン業務から解放されますね。
この改正は、令和7年1月1日以後に支払を受けるべき給与等について提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」について適用されます。
「従たる給与についての扶養控除等申告書」についても、同様の改正が行われています。

<給与明細電子化の同意に関する具体的事項は下記の通り>
(問7)
源泉徴収票等の受給者等への電子交付を検討しているが、受給者等から承諾への回答がない場合どうすればよいか。
(答)
源泉徴収票等の電子交付を行う場合、受給者等からその承諾を得る必要がありますので、承諾の可否について確認を行ってください。
(注)令和5年度税制改正において、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」については、支払者が受給者から電子交付の承諾を得ようとする際に、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾があったものとみなす」旨の通知をあらかじめ受給者に行った場合、上記期限までに受給者からの回答がなかった際は、電子交付の承諾があったものとみなされることとなりました(所規95の22)。
(問8)
「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」の受給者への電子交付を行う場合の、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾したものとみなす」旨の通知について、回答期限は具体的にどの程度必要か。
(答)
法令上、回答期限の定めはありませんが、受給者の方の勤務状況等を考慮し、回答に必要な期間を十分に見積もっていただくようお願いします。
(問9)
「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」の受給者への電子交付を行う場合の、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾したものとみなす」旨の通知については、どのように行えばよいか。また、制度周知に当たり、就業規則等に記載する必要はあるのか。
(答)
通知の方法については法令上、規定されていませんので、受給者の方への確実な通知を前提に、適宜の方法(例えば、電子メール、書面等)で行って差し支えありません。
なお、制度周知に当たり、就業規則への記載についても、法令上特段求められておりません。
源泉所得税の改正のあらまし
これまでは、給与支払明細書及び給与所得の源泉徴収票に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合、その旨の承諾が必要でしたが、これが「給与等の支払をする者が定める期限までにその承諾をしない旨の回答がないときはその承諾があったものとみなす」旨を通知し、その期限までに回答がなかったときは、その承諾を得たものとみなす方法が加えられています。
いちいち、書面等でのやり取りが面倒でしたが、それが省略されるので、より一層電子化が進めやすくなりますね。
この改正は、令和5年4月1日以後に行う通知について適用されます。
また、「給与所得者の扶養控除等申告書」についても、その申告書に記載すべき事項がその年の前年の申告内容と異動がない場合には、その記載すべき事項の記載に代えて、その異動がない旨の記載によることができるようになります。
これで同じことを何度も毎年書かなくてはいけないルーティン業務から解放されますね。
この改正は、令和7年1月1日以後に支払を受けるべき給与等について提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」について適用されます。
「従たる給与についての扶養控除等申告書」についても、同様の改正が行われています。

<給与明細電子化の同意に関する具体的事項は下記の通り>
(問7)
源泉徴収票等の受給者等への電子交付を検討しているが、受給者等から承諾への回答がない場合どうすればよいか。
(答)
源泉徴収票等の電子交付を行う場合、受給者等からその承諾を得る必要がありますので、承諾の可否について確認を行ってください。
(注)令和5年度税制改正において、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」については、支払者が受給者から電子交付の承諾を得ようとする際に、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾があったものとみなす」旨の通知をあらかじめ受給者に行った場合、上記期限までに受給者からの回答がなかった際は、電子交付の承諾があったものとみなされることとなりました(所規95の22)。
(問8)
「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」の受給者への電子交付を行う場合の、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾したものとみなす」旨の通知について、回答期限は具体的にどの程度必要か。
(答)
法令上、回答期限の定めはありませんが、受給者の方の勤務状況等を考慮し、回答に必要な期間を十分に見積もっていただくようお願いします。
(問9)
「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」の受給者への電子交付を行う場合の、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾したものとみなす」旨の通知については、どのように行えばよいか。また、制度周知に当たり、就業規則等に記載する必要はあるのか。
(答)
通知の方法については法令上、規定されていませんので、受給者の方への確実な通知を前提に、適宜の方法(例えば、電子メール、書面等)で行って差し支えありません。
なお、制度周知に当たり、就業規則への記載についても、法令上特段求められておりません。
源泉所得税の改正のあらまし
技能実習制度の方向転換
4月19日に行われた、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第6回)」にて、中間報告(案)が公表されています。
その内容の中で、「現状では人材育成を通じた国際貢献」とされている制度目的や在り方を変更していく事が検討されています。
〇現行の技能実習制度は廃止して人材確保と人材育成(未熟練労働者を一定の専門性や技能を有するレベルまで育成)を目的とする新たな制度の創設(実態に即した制度への抜本的な見直し)を検討
〇特定技能制度は引き続き活用する方向で検討し、新たな制度との関係性、指導監督体制や支援体制の整備などを引き続き議論
利用されている実態から感じる違和感について、これを直視し、実際の在り方に改めましょう、という事かと考えられます。
特定技能は残るので、喫緊の国難の課題である労働力不足を補う側面も強い内容です。
また、技能実習生の転籍は現状は原則不可ですが、新たな制度では緩和されるかもしれません。
〇人材育成に由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置付けることから、制度趣旨と外国人の保護の観点から、従来より緩和する(転籍制限の在り方は引き続き議論)
これらの内容は令和5年秋を目途に最終報告書に取りまとめられる予定です。
中間報告書(案)概要
技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第6回)

その内容の中で、「現状では人材育成を通じた国際貢献」とされている制度目的や在り方を変更していく事が検討されています。
〇現行の技能実習制度は廃止して人材確保と人材育成(未熟練労働者を一定の専門性や技能を有するレベルまで育成)を目的とする新たな制度の創設(実態に即した制度への抜本的な見直し)を検討
〇特定技能制度は引き続き活用する方向で検討し、新たな制度との関係性、指導監督体制や支援体制の整備などを引き続き議論
利用されている実態から感じる違和感について、これを直視し、実際の在り方に改めましょう、という事かと考えられます。
特定技能は残るので、喫緊の国難の課題である労働力不足を補う側面も強い内容です。
また、技能実習生の転籍は現状は原則不可ですが、新たな制度では緩和されるかもしれません。
〇人材育成に由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置付けることから、制度趣旨と外国人の保護の観点から、従来より緩和する(転籍制限の在り方は引き続き議論)
これらの内容は令和5年秋を目途に最終報告書に取りまとめられる予定です。
中間報告書(案)概要
技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第6回)

マイナンバーカードと健康保険証の一体化
4月27日、健康保険証を廃止しマイナンバーカードに一本化することなどを盛り込んだ、マイナンバー法改正案が衆議院で可決されています。
これから参議院で審議され、法案が成立すれば2024年秋ごろを目途に施行されることとなります。
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案
今回の改正ではマイナンバーの利用に関して社会保障制度、税制及び災害対策以外の行政事務において利用の推進が図られることになりそうです。
またマイナンバーの利用及び情報連携においても幅が広がりそうです。
法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務(事務の性質が同一であるものに限る)についても、マイナンバーの利用を可能とする。
慎重な表記がされていますが、準ずる、というのはどこまでの話となるのかちゃんと確認が必要ですね。
肝心な、. マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、次のような事が記載されています。
① 乳児に交付するマイナンバーカードについて顔写真を不要とする。
② 健康保険証を廃止するとともに、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を
受けることができない状況にある方が、必要な保険診療等を受けられるよう、
本人からの求めに応じて「資格確認書」を提供する。
→ いろんな意見が垣間見せる健康保険証の廃止ですが、自身でちゃんと手を上げないと
「資格確認書」は発行されないので、希望される方は自己責任での対応が必要となりそう
です。

ちなみに「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案」も出されていて、この法案では次のような事が記載されています。
〇改正の概要
健保則の一部改正
<1>
健保則第 24条に規定する被保険者の資格取得に関する届出について、これまで様式において定めていた個人番号等の記載事項を規定中に列挙することで明確化するとともに、適用事業所の事業主が届出を行うために必要があるときは、被保険者に対し、個人番号の提出を求め、又は記載事項に係る事実を確認することができるものとする。
<2>
資格取得の届出等を受けた保険者は、被保険者及び被扶養者が保険医療機関等でオンライン資格確認を受けることができるようにするため、当該届出を受けた日から5日以内に、被保険者等の資格に係る情報を、電子情報処理組織を使用する方法等により、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に提供するものとする。
施行期日等
〇 公 布 日:令和5年5月下旬(予定)
〇 施行期日:令和5年6月1日
デジタル社会への変革において大切なマイナンバー、一方で、情報漏えいや国家による個人管理などの懸念も訴える声も聞こえてきます。
より良い未来に向けて、政治と国民が良い対話を繰り返し、良い制度になると良いですね。
これから参議院で審議され、法案が成立すれば2024年秋ごろを目途に施行されることとなります。
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案
今回の改正ではマイナンバーの利用に関して社会保障制度、税制及び災害対策以外の行政事務において利用の推進が図られることになりそうです。
またマイナンバーの利用及び情報連携においても幅が広がりそうです。
法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務(事務の性質が同一であるものに限る)についても、マイナンバーの利用を可能とする。
慎重な表記がされていますが、準ずる、というのはどこまでの話となるのかちゃんと確認が必要ですね。
肝心な、. マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、次のような事が記載されています。
① 乳児に交付するマイナンバーカードについて顔写真を不要とする。
② 健康保険証を廃止するとともに、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を
受けることができない状況にある方が、必要な保険診療等を受けられるよう、
本人からの求めに応じて「資格確認書」を提供する。
→ いろんな意見が垣間見せる健康保険証の廃止ですが、自身でちゃんと手を上げないと
「資格確認書」は発行されないので、希望される方は自己責任での対応が必要となりそう
です。

ちなみに「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案」も出されていて、この法案では次のような事が記載されています。
〇改正の概要
健保則の一部改正
<1>
健保則第 24条に規定する被保険者の資格取得に関する届出について、これまで様式において定めていた個人番号等の記載事項を規定中に列挙することで明確化するとともに、適用事業所の事業主が届出を行うために必要があるときは、被保険者に対し、個人番号の提出を求め、又は記載事項に係る事実を確認することができるものとする。
<2>
資格取得の届出等を受けた保険者は、被保険者及び被扶養者が保険医療機関等でオンライン資格確認を受けることができるようにするため、当該届出を受けた日から5日以内に、被保険者等の資格に係る情報を、電子情報処理組織を使用する方法等により、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に提供するものとする。
施行期日等
〇 公 布 日:令和5年5月下旬(予定)
〇 施行期日:令和5年6月1日
デジタル社会への変革において大切なマイナンバー、一方で、情報漏えいや国家による個人管理などの懸念も訴える声も聞こえてきます。
より良い未来に向けて、政治と国民が良い対話を繰り返し、良い制度になると良いですね。
労働契約書に記載が必要な内容が変更されます
2024年4月1日より労働契約の締結・更新のタイミングの 労働条件明示事項が追加されます。
具体的には次のような内容の記載が必要です。
<全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時>
・就業場所・業務の変更の範囲の明示 【労働基準法施行規則5条の改正】
全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、これらの「変更の範囲」についても明示が必要になります。
※「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。
<有期労働契約の締結時と更新時>
・更新上限の明示 【労働基準法施行規則5条の改正】
有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要になります。
→ 併せて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明が必要
<無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時>
・無期転換申込機会の明示 【労働基準法施行規則5条の改正】
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)の明示が必要になります。
※初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も有期労働契約を更新する場合は、更新のたびに、
今回の改正による無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示が必要になります
・無期転換後の労働条件の明示 【労働基準法施行規則5条の改正】
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。
<均衡を考慮した事項の説明>
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の賃金等の労働条件を決定するに当たって、他の通常の労働者(正社員等のいわゆる正規型の労働者及び無期雇用フルタイム労働者)とのバランスを考慮した事項(例:業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととなります。
今回の法改正で、もともとあった法律を確実に周知し、履行していく事が促進されることが予見されます。
他の改正もそうですが、今後「労働者」を雇用するということは、過去の労働基準法の存在がそれほど多くの人に認識されていなかった数十年前とは大きく変わり、より厳格化されていることを認識することが必要となります。
「労働者」なのか「フリーランス」なのか、はたまた第三の働きかたなのか、これから、雇用する側、される側がそれぞれの在り方を考える機会が増えそうです。
パンフレット
通達
モデル:労働条件通知書
具体的には次のような内容の記載が必要です。
<全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時>
・就業場所・業務の変更の範囲の明示 【労働基準法施行規則5条の改正】
全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、これらの「変更の範囲」についても明示が必要になります。
※「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。
<有期労働契約の締結時と更新時>
・更新上限の明示 【労働基準法施行規則5条の改正】
有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要になります。
→ 併せて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明が必要
<無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時>
・無期転換申込機会の明示 【労働基準法施行規則5条の改正】
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)の明示が必要になります。
※初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も有期労働契約を更新する場合は、更新のたびに、
今回の改正による無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示が必要になります
・無期転換後の労働条件の明示 【労働基準法施行規則5条の改正】
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。
<均衡を考慮した事項の説明>
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の賃金等の労働条件を決定するに当たって、他の通常の労働者(正社員等のいわゆる正規型の労働者及び無期雇用フルタイム労働者)とのバランスを考慮した事項(例:業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととなります。
今回の法改正で、もともとあった法律を確実に周知し、履行していく事が促進されることが予見されます。
他の改正もそうですが、今後「労働者」を雇用するということは、過去の労働基準法の存在がそれほど多くの人に認識されていなかった数十年前とは大きく変わり、より厳格化されていることを認識することが必要となります。
「労働者」なのか「フリーランス」なのか、はたまた第三の働きかたなのか、これから、雇用する側、される側がそれぞれの在り方を考える機会が増えそうです。
パンフレット
通達
モデル:労働条件通知書
対話が必要になる専門業務型裁量労働制
来年4月1日以降、裁量労働制を導入・継続する場合に新たな手続きが必要となります。
具体的には次の内容を労使協定に追加することが必要となります。
【専門業務型裁量労働制 】
・本人同意を得ることや、同意をしなかった場合に不利益取り扱いをしないことを
※ 企画業務型裁量労働制では、これらを労使委員会の決議に定めることがすでに義務づけられています。
【専門業務型裁量労働制 ・ 企画業務型裁量労働制 】
・同意の撤回の手続きと、 同意とその撤回に関する記録を保存すること
上記以外にも【企画業務型裁量労働制】では次のような事が必要となります。
<労使委員会に賃金・評価制度を説明する>
対象労働者に適用される賃金・評価制度の内容 についての使用者から労使委員会に対する 説明に関する事項
(説明を事前に行うことや説明項目など)を 労使委員会の運営規程 に定める
・対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更する場合に、労使委員会に変更内容の説明を行う ことを労使委員会の決議
に定める
<労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行う>
・制度の趣旨に沿った適正な運用の確保に関する事項 (制度の実施状況の把握の頻度や方法など)を 労使委員会の運営規程
に定める
<労使委員会は6か月以内ごとに1回開催する>
・労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とする ことを 労使委員会の運営規程 に定める
<定期報告の頻度変更>
・定期報告の頻度について、労使委員会の決議の有効期間の始期から起算して初回は6か月以内に1回、その後1年以内ごとに1回
上記追加した協定書を裁量労働制を導入・適用するまで(継続導入する事業場では 2024 年3月末まで )に労働基準監督署に協定届・決議届の届出を行う 必要があります。
法律の立て付け上おかしさを感じますが、法改正前のものでも2023年4月をまたぐものに関しては、上記に対応した形での届出が必要なようですので、注意が必要です。
裁量労働制については、本当に裁量が確保されていればよい制度ですが、「残業代を支払わなくてよい」という事を理由に導入することは、本来の制度の趣旨と異なりますし、かつ、隠れ残業による過重労働を生んでしまう可能性があります。
今回の改正により、労使双方の合意をきっちりと得て、双方が制度を理解し納得したうえで導入していく、という事になりますので、本来の趣旨で適切に取り組んでいる事業所にとっては大きな影響はないように考えられます。
これ以外にも企画業務型裁量労働制については今回の法改正では留意事項として様々な事が追加されており、例えば「健康・福祉確保措置」の中から、事業所の対象労働者全員を対象にする措置、と個々の対象労働者の状況に応じて講ずるをそれぞれ下記の中から1つずつ以上を選んで実施することが望ましいとされています。
【事業場の対象労働者全員を対象とする措置】
(イ)勤務間インターバルの確保
(ロ)深夜労働の回数制限
(ハ)労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の制度の適用解除)
(ニ)年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めたその取得促進
【個々の対象労働者の状況に応じて講ずる措置】
(ホ)一定の労働時間を超える対象労働者への医師の面接指導
(ヘ)代償休日又は特別な休暇の付与
(ト)健康診断の実施
(チ)心とからだの健康問題についての相談窓口設置
(リ)適切な部署への配置転換
(ヌ)産業医等による助言・指導又は対象労働者に産業医等による保健指導を受けさせること
パンフレット
通達
裁量労働制に係る省令・告示の改正
具体的には次の内容を労使協定に追加することが必要となります。
【専門業務型裁量労働制 】
・本人同意を得ることや、同意をしなかった場合に不利益取り扱いをしないことを
※ 企画業務型裁量労働制では、これらを労使委員会の決議に定めることがすでに義務づけられています。
【専門業務型裁量労働制 ・ 企画業務型裁量労働制 】
・同意の撤回の手続きと、 同意とその撤回に関する記録を保存すること
上記以外にも【企画業務型裁量労働制】では次のような事が必要となります。
<労使委員会に賃金・評価制度を説明する>
対象労働者に適用される賃金・評価制度の内容 についての使用者から労使委員会に対する 説明に関する事項
(説明を事前に行うことや説明項目など)を 労使委員会の運営規程 に定める
・対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更する場合に、労使委員会に変更内容の説明を行う ことを労使委員会の決議
に定める
<労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行う>
・制度の趣旨に沿った適正な運用の確保に関する事項 (制度の実施状況の把握の頻度や方法など)を 労使委員会の運営規程
に定める
<労使委員会は6か月以内ごとに1回開催する>
・労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とする ことを 労使委員会の運営規程 に定める
<定期報告の頻度変更>
・定期報告の頻度について、労使委員会の決議の有効期間の始期から起算して初回は6か月以内に1回、その後1年以内ごとに1回
上記追加した協定書を裁量労働制を導入・適用するまで(継続導入する事業場では 2024 年3月末まで )に労働基準監督署に協定届・決議届の届出を行う 必要があります。
法律の立て付け上おかしさを感じますが、法改正前のものでも2023年4月をまたぐものに関しては、上記に対応した形での届出が必要なようですので、注意が必要です。
裁量労働制については、本当に裁量が確保されていればよい制度ですが、「残業代を支払わなくてよい」という事を理由に導入することは、本来の制度の趣旨と異なりますし、かつ、隠れ残業による過重労働を生んでしまう可能性があります。
今回の改正により、労使双方の合意をきっちりと得て、双方が制度を理解し納得したうえで導入していく、という事になりますので、本来の趣旨で適切に取り組んでいる事業所にとっては大きな影響はないように考えられます。
これ以外にも企画業務型裁量労働制については今回の法改正では留意事項として様々な事が追加されており、例えば「健康・福祉確保措置」の中から、事業所の対象労働者全員を対象にする措置、と個々の対象労働者の状況に応じて講ずるをそれぞれ下記の中から1つずつ以上を選んで実施することが望ましいとされています。
【事業場の対象労働者全員を対象とする措置】
(イ)勤務間インターバルの確保
(ロ)深夜労働の回数制限
(ハ)労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の制度の適用解除)
(ニ)年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めたその取得促進
【個々の対象労働者の状況に応じて講ずる措置】
(ホ)一定の労働時間を超える対象労働者への医師の面接指導
(ヘ)代償休日又は特別な休暇の付与
(ト)健康診断の実施
(チ)心とからだの健康問題についての相談窓口設置
(リ)適切な部署への配置転換
(ヌ)産業医等による助言・指導又は対象労働者に産業医等による保健指導を受けさせること
パンフレット
通達
裁量労働制に係る省令・告示の改正
「デジタル給与」解禁にむけて
先日、労働政策審議会第181回労働条件分科会が開かれました。
ここでは巷に噂のデジタル給与の話がされていて、今回「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案」が公開されました。
キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進んでいますが、これにあわせる形で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用する流れがでてきています。
今回の話し合いでは労働者の同意を得た上で、一定の要件を満たした場合は、労働者の資金移動業者の口座への賃金支払が可能となる予定です。
公布日令和4年11月・施行期日令和5年4月1日の予定。

人によるニーズの格差がある部分ですが、将来的に「紙」というものをなくすことで、お金のシームレスな流動化を図りたいという様々なプレイヤーの意図も垣間見えます。
これらの改正が進むにつれ、個々が利便性以外の、メリット・デメリットをちゃんと考えてうまく利用する、そういう知恵が求められるようになりそうです。
■ 労働基準法施行規則の一部を改正する省令案の概要
■ 労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱
■ 資金移動業者の口座への賃金支払について
■ パブリックコメントでの主なご意見と考え方
■ 第181回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
ここでは巷に噂のデジタル給与の話がされていて、今回「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案」が公開されました。
キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進んでいますが、これにあわせる形で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用する流れがでてきています。
今回の話し合いでは労働者の同意を得た上で、一定の要件を満たした場合は、労働者の資金移動業者の口座への賃金支払が可能となる予定です。
公布日令和4年11月・施行期日令和5年4月1日の予定。

人によるニーズの格差がある部分ですが、将来的に「紙」というものをなくすことで、お金のシームレスな流動化を図りたいという様々なプレイヤーの意図も垣間見えます。
これらの改正が進むにつれ、個々が利便性以外の、メリット・デメリットをちゃんと考えてうまく利用する、そういう知恵が求められるようになりそうです。
■ 労働基準法施行規則の一部を改正する省令案の概要
■ 労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱
■ 資金移動業者の口座への賃金支払について
■ パブリックコメントでの主なご意見と考え方
■ 第181回労働政策審議会労働条件分科会(資料)