昨日4月10日、4月1日以降の拡充される雇用調整助成金について正式に公表されています。
内容としては、事前にアナウンスされていた内容を踏襲し、かつ大幅に手続き書類が削減されています。
※1 対象労働者1人1日当たり8,330円が上限です。(令和2年3月1日現在)
※2 助成額は、前年度の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額等から算定される平均賃金額に
休業手当支払率(休業の場合は60%以上、教育訓練の場合は100%)を掛け、1日当たりの助成額単価を求めます。
※3 【助成内容と対象の拡充をします】の②を参照ください。
※4 出向は当該助成率は適用されません。
※5 雇用保険被保険者のみが対象となります。
※ 風俗営業等関係事業主への支給も可能とします。今回の対応は、今のところ、令和2年4月1日から令和2年6月30日まで(緊急対応期間)の休業等に適用されます。
変更の内容は次の通りです。
<助成金の内容や対象の拡大等について>
① 休業又は教育訓練を実施した場合の助成率の引き上げ
【中小企業:2/3 ⇒
4/5へ】 【大企業:1/2 ⇒ 2/3へ】
② 以下の要件を満たし、解雇等しなかった事業主に助成率を上乗せ
【中小企業:4/5 ⇒
9/10へ】 【大企業:2/3 ⇒ 3/4へ】
ア.1月24日から賃金締切期間(判定基礎期間)の末日までの間に事業所労働者の
解雇等 (解雇と見なされる有期契約労働者の雇止め、派遣労働者の事業主都合による中途契約
解除等を含む。)
をしていないこと ⇒ 派遣の中途解除も解雇等とみなされますので、ご注意ください!! イ.賃金締切期間(判定基礎期間)の末日における事業所労働者数が、比較期間(1月24日から
判定基礎期間の末日まで)の月平均事業所労働者数と比して4/5以上であること
⇒ 解雇等をしていなくても、自発的にやめる退職者があまり多いとだめですよ!という意味
です。③ 教育訓練を実施した場合の加算額の引き上げ
教育訓練が必要な被保険者の方について、自宅でインターネット等を用いた教育訓練もできるようになり、加算額が引き上げ
【中小企業:2,400円】【大企業:1,800円】
※ 教育訓練の内容はかなり限定的と考えられますので、事前の確認が必要不可欠です。
④ 新規学卒採用者等も対象に
新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が
6か月未満の労働者についても助成対象になります。(※本特例は、休業等の初日が令和2年1月24日以降の休業等に適用されています。)
⑤ 支給限度日数に関わらず活用できます
通常は、本助成金の対象となる休日には上限があるのですが、今回の「緊急対応期間」に実施した休業は、1年間に100日の支給限度日数とは
別枠で利用可能になります。
⑥ 雇用保険被保険者でない労働者も休業の対象に
事業主と雇用関係にある週20時間未満の労働者(パート、アルバイト(学生も含む)等)なども対象となります。
⇒ 「
緊急雇用安定助成金」という名称で、通常の雇用調整助成金とは、
助成金額の算出方法等
が異なりますので、ご注意ください。
【受給のための要件緩和】
① 生産指標の要件緩和
ア.【これまで】生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で10%の減少
⇒ 対象期間の初日が緊急対応期間である令和2年4月1日から令和2年6月30日までの間
は、これが
5%に
イ.生産指標の確認期間を3か月から1か月に短縮
(※生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で確認)
② 最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象になります。
③ 雇用調整助成金の連続使用を不可とする要件(クーリング期間)を撤廃
⇒ 過去に受給したことがある事業主について、前回の支給対象期間の満了日から1年を経過
していなくても助成対象に
④ 事業所設置後1年以上を必要とする要件を緩和
⇒ この場合の、生産指標の確認は提出があった月の前月と令和元年12月を比べます
⑤ 休業規模の要件を緩和します
【これまで】休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、
1/15(大企業)以上
⇒ 1/40(中小企業)、1/30(大企業)以上に緩和
※ 全体で1日くらいの休日でもあまり気にしなくてよいようになりました。<その他>
① 事後提出を可能とし提出期間を延長
⇒ すでに休業を実施し、休業手当を支給している場合でも、
令和2年6月30日までは、
事後に提出可能 (※生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で確認)
② 短時間休業の要件を緩和
【これまで】 労働者が一斉に休業することが必要
⇒
事業所内の部門、店舗等施設毎の休業も対象とする等緩和
(短時間休業緩和のパターンと事例)
① 立地が独立した部門ごと の短時間一斉休業 が可能に
例:客数の落ち込んだ店舗のみの短時間 休業、製造ラインごとの短時間休業
② 常時配置が必要な者を除いた短時間休業が可能に
例:ホテルの施設管理者等を除いた短時間休業
③同じ勤務シフトの労働者が同じ時間帯に行う短時間休業が可能に
例 :8時間 3 交代制を6時間 4 交代制 に して 2 時間分 を短時間休業と扱う
③
残業相殺制度が当面停止されます
これまでは、本助成金の受給時に支給対象となる休業等から時間外労働等の時間を相殺(残業相殺)して計算する必要がありました。つまり、「休業してるのに、残業するのっておかしくない?だから、その残業した分は休業した分から差し引いて助成金額を算出するよ!」という仕組みだったのですが、これが非常に面倒で大変な処理でしたが、今回はそんなことも言ってられない、ということか、当面の間、残業相殺がされなくなりました!
今は、多くの企業もそこで働く人も、ご苦労されていると思います。
それらの苦労に対して、ほんのわずかな支えにしかならないかもしれませんが、本助成金をお役に立てていただき、未来への希望に繋がればと思います。
特例の概要簡素化について雇用調整助成金ガイドブック(緊急対応期間4月1日~6月30日分)