Faith to Face  ~オレキケ社労士の日々ウダウダ!!~

社会保険労務士として、日々奮闘中のT&Dが、日々起こる話をウダウダ語ります。

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ジョブ・クラフティングのすすめ

「ジョブ・クラフティング」は20年ほど前に米国の経営学者たちが提唱したもので、「働く人自身が仕事や人間関係、仕事への見方を変えていくこと」を意味します。

簡単に言うと「仕事が面白くなるように、やり方や関係性、捉え方を変えよう!」という感じでしょうか?

仕事って作業と思うとおもんない・・・

でも、どんな仕事も、「いつもより早く」とか「いつもより多く」なんて自分で目標をもって工夫ができると俄然楽しくなります。

ゲーミィフイケーションという言葉もありますが、それの進化版的な考え方かな?

ジョブクラフティングがうまくいくと、仕事に対するミスマッチ感が減少し、有意味感がアップ!結果、エンゲージメントがあがって、チーム・組織の成果がよりよくなったり、個人のウェルビーイング(幸せ感)が上がると考えられています。

<ジョブクラフティングの3類型>
「業務クラフティング」:タスクの内容や方法を変更してみよう! 
   → 仕事を見える化したり、反応が分かるようにしたり、
                これまでより効率的なやり方を見つけたり
「関係性クラフティング」:仕事で関係する人との関係を増やしたり質を変えてみよう!
   → 誰がやっているよ~という事が分かることにより、
                お礼の返事が届いたり、協力し合える関係になったり
「認知的クラフティング」:仕事に対する捉え方を変えてみよう!
   → やって当たり前、できて当然みたいに捉えていたものが、
               この仕事が多くの人々を支えている、と捉えられるようになったり

じゃ、どうすればジョブ・クラフティングに個々が取り組めるようになるのか?

ジョブクラフティングに関するワークショップや研修を行うという方法もありますが、それよりもっと本質的なものとして

① 仕事に対しての権限移譲・裁量の付与

② 上司やリーダー層、同僚によるサポート

があげられます。

②はもう少しわかりやすく言うと、何か新しいことや新しいやり方にチャレンジすることを、良しとして、応援する、そんなサポートのことです。

せっかく、「よりよく変えよう!やり方変えてチャレンジ!面白くしよう!」と頑張っても上司や周囲が出る杭を打つようなムードいっぱいで、自発的な行動をネガティブにとらえるような感じだと、クラフティングする人もいなくなっちゃいます。

ほんの些細な変化でも、上司や同僚が、温かい目でちゃんと見てて「オッ頑張ろうとしてるな!いいぞ」と応援する行動や発言に溢れていると、新たな提案や最初はドキドキしながらのチャレンジも、積極的になってくるというものです。

上司には、部下の自律性や主体性を尊重する環境づくりのための言動や行動、イベントなどを意図的計画的に発信していくことが求められます。

また、裁量を与え、自律的に仕事をしてもらった結果、個々人がバラバラの方向性に向かっちゃうと、組織は崩壊しちゃいます。

そういうことにならないよう、組織としてのパーパス、ミッションやビジョン、バリューをきっちり共有しておくことは、ジョブクラフティングが進んでいく上での土台となります。

これらを推し進める人事施策としては、社内FA制度や社内公募制度が有効といわれますが、より効果があるものとして「社内副業制度」があげられます。

自分の強みの発揮や関心に沿った業務に従事することが、本来業務へのクラフティングに繋がったり、他の部署に所属することで関係性クラフティングのきっかけになる可能性があり、また、他の部署や人と触れ合うことで、これまでとは違った視点で業務を捉えなおすことができるようになることで認知的クラフティングが起きることも期待できる制度です。

最後に、ジョブクラフティングは自分の仕事も未来も楽しくしていくものとして、素敵な事ですが、クラフティングにはまりすぎて「こだわり過ぎ」たり「偏り過ぎ」たり、「抱え込み過ぎ」たりという、副作用も指摘されています。

みんなで仕事を共有したり、最初に方向性を共有しておいたり、という工夫を進めることで、これらのデメリットを克服。

ワクワク、楽しく、褒められる、そんな時間を増やして、「毎日が嬉し~~」そんな日々を過ごしていきましょう!

グローバル化の中における解雇規制

ツイッター 日本法人でも解雇者か

先日Twitter社が世界的なリストラを実施し大きな話題になっています。

この対象には日本法人の社員も含まれるようで、このような突然の解雇がまかり通るのか?というようなトピックがネット上に溢れています。

この問題。

そもそもの労基法における予告等の義務がどこまでできているのか?というところも気にはかかりますが、当然これらはクリアしている前提として、今後、どの程度大きな問題になるのでしょうか?

日本の企業であれば、このような突然の解雇はそもそもが「まかりならんのだ」という空気感から話が始まるように想像できるのですが、今回は「整理解雇」でもあり保障もそれなりにするとなると、グローバル企業で働く社員の皆さまは日本法人の人であっても、「そもそも企業とはそういうものだ」「リストラというものは嫌だけれども、こういうことはあるかもしれない事なのだ」という捉え方でさっさと次のステップに進む人も多いような気がします。

解雇規制については、どこと比較するのか?にもよりますが、かなり日本は独自路線が強い内容になっています。

手厚く守られるメリットもありますが、グローバル化への対応という観点から考えると組織や社会の流動性をなくしてしまうことや、本来の趣旨とは異なる権利の主張などをするトラブル社員の問題が話題になるなど、負の側面も議論されているところです。

今回の件のインパクトが多くの方に伝わることにより、日本の企業においても「グローバル社会というものは、こういうものなのだ」という空気感が生まれ、これまで岩盤のようにそびえたっていた解雇規制が「溶けていく」始まりになるのではないか・・・・と

そんなことを少し感じながら注視している事案です。

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令和4年版 過労死等防止対策白書

働き方改革は推進されて数年。

コロナ禍がこれを急速に進めました。

結果、長時間労働の問題は一定解消する方向にあるように感じます。

しかし、深刻な人手不足に陥っている企業では、現状を維持する為の無理が発生し、まだまだこの問題がなくなったとは言えません。

むしろ、クラウドによる時間管理が進む中で、実態がわかりにくい労働に変化しつつあるので注意が必要にもなっています。

そんな今日この頃ですが、政府が、「令和3年度  我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(令和4年版 過労死等防止対策白書)を閣議決定し、その内容を公表しています。

-「令和4年版 過労死等防止対策白書」の主な内容―

1.「過労死等の防止のための対策に関する大綱(令和3年7月30日閣議決定)」に基づき、新型コロナウイルス感染症やテレワークの影響に関する調査分析等について報告。

2.長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組を中心とした労働行政機関などの施策の状況について詳細に報告。

3.企業における長時間労働を削減する働き方改革事例やメンタルヘルス対策等、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介。

内容を簡単に見ていくと、労働者一人当たりの年間総労働時間は減少傾向の中で、令和3年は増加に転じたようです。

このあたり、コロナ禍が落ち着きつつある中で、令和4年は一層の増加が起きているかも・・・

また、月末1週間の就業時間60時間以上の割合などを見ていると、30代・40代の男性に偏っている傾向が見受けられます。

ただ、全体的に長時間労働は減少している中で、労災の請求件数・支給決定件数ともに、減少傾向にあるので、やはり労働時間との因果関係は明確で、労災が減ること自体は良い事かと考えられます。

ただ、反面、精神障害の労災認定はうなぎのぼりで、令和3年度も過去最高となっています。

キャプチャ

働きかたも含め、様々な外部変化なども影響しているのでしょうか?

ICT化、クラウド管理、AIの普及により物理的な環境がリッチになって行く中で、世の中は「物」から「心」の時代に変わってきているように感じます。

やりがいをもって、ワクワクをもって、1日を充実できる職場環境を作っていく為に、「法律」への対応だけではなく、その趣旨を鑑みた、社員一人一人の心に寄り添う仕組みを経営として考えることが重要になってきています。

表層的に起こっている事象に一歩踏み込んで、真因とをとらえた解決能力・専門能力が問われつつあります。

本白書には、過労死防止のための基本的な対策事例もたくさん載っていますので、今日よりよい明日を創っていく為に参考にして頂けましたら幸いです。

令和4年版過労死等防止対策白書(本文)

不正のトライアングル

この仕事をしていると、不正事案に出会うことが少なくありません。

不正をなくしていくにはどうすればよいのか?

今日はそのヒントを。

米国の犯罪学者 ドナルド・R・クレッシー (Donald R. Cressey) が犯罪者への調査を通じて導き出した要素を、W・スティーブ・アルブレヒト (W. Steve Albrecht) 博士が図式化 (メタモデル化) した「不正のトライアングル」という理論があります。

この理論では不正行為は①「機会」②「動機 (プレッシャー/インセンティブ)」③「正当化」の3つの不正リスク (不正リスクの3要素) が揃ったときに発生すると考えられています。

逆に言うと、この3つのリスクを一つ一つ潰していけば、不正は起きにくくなるという事が言えます。

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① 「機会」:不正行為の実行を可能または容易にする客観的な環境はないですか?

・現金や商品がなくなっていても、チェックする機能がない。
・一人の担当者に、現金などを取り扱う権限が集中している。(その取扱いが隠蔽できる。または、誰にもわからない)
・経費申請や立替払請求に対して、適切なチェック機能が働いていない。

② 「動機 」:不正行為をしなければいけない、同期を持っている社員はいませんか?そんな社員へのフォローはできていますか?

・個人的に金銭上の問題を抱えている。(借金の返済、病気で医療費がかかる 等々)
・ノルマに対する強いプレッシャーが強い。達成できないと解雇されたり、契約を打ち切られたり、叱咤されたりする。
・プライドなどが高く、失敗や失速を表に出したくない、また、出しにくい職場風土がある。

③ 「正当化」:不正行為をするひとが、是認しやすい主観的な事情が作りやすい環境にありませんか?

・報酬や待遇、処遇に不公平感がある。
・会社や仲間ののために仕方なくやっている。暗黙の裡に会社や上司がそういう指示をしている。


適切なチェック機能、不正事項の周知徹底、困った時の相談窓口の設置等々、一人で悩まなくていい環境を制度として整備することで、この不正のトライアングルから抜け出すことができます。

上場企業の早期・希望退職者募集が急増

 今世の中は人不足と言われていますが、その一方で大企業が続々と早期退職者や希望退職者を募集しはじめています。

 東京商工リサーチの調査によれば、2019年1月~11月に早期・希望退職者を募集した上場企業は36社にのぼります。対象人数は1万1351人。過去20年で最小だった18年(1~12月)と比べると、どちらも約3倍に増加しているようです。

 新聞でも大きく取り上げられていたところもありますが、募集人数が最も多かった企業は富士通で2850人。次いでルネサスエレクトロニクス(1500人)、東芝(1410人)、ジャパンディスプレイ(1200人)と続いています。

 調査によれば、退職募集を行った36社のうち、16社が募集発表時の直近通期決算で最終赤字を計上しています。ただ、経営の先通しが悪いから、というだけではなく、カシオ計算機やキリンビールを含むキリンHDなど、業績が堅調な業界でも、将来を見据えて「先行型」の募集を行う企業も多く見られます。

 また、日立金属や味の素など7社が、20年以降に早期退職を実施することを明らかにしています。

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 法律上、解雇に関する規制は厳しいこの国ですが、順序だてた「整理解雇」については、別物です。当然、それに見合う手厚い対応ができてこそのことですが、少子高齢化も含め大きく事業環境が変わることが予見される今、この流れはおそらく一層進んでいくと考えられます。

 政府は一生懸命、高齢者活用を促そうとしていますが、それは企業にとって必要な人材に限られることであって、「定年制」という慣習は上から、急速に溶けていくでしょう。

 これまでの「それなりに全体の幸せ」が制度上ある程度確保されていた時代も終わり、実力主義が徹底されていく世の中で、この国の社会保障制度をはじめとする、セーフティネットの在り方も急速に変化を求められるのかもしれません。

あがり続ける初任給

採用難が続き、これに連動する形で学卒初任給が上昇し続けています。

厚生労働省がおこなう日本最大の賃金統計調査である賃金構造基本統計調査結果を見てもこのことはわかります。

令和元年の学歴別初任給は次のとおり。

■男女計
大学院修士課程修了 238.9千円(対前年増減率 +0.1%)
大学卒 210.2千円(対前年増減率 +1.7%)
高専・短大卒 183.9千円(対前年増減率 +1.4%)
高校卒 167.4千円(対前年増減率 +1.4%)

■男性
大学院修士課程修了 239.0千円(対前年増減率 ▲0.4%)
大学卒 212.8千円(対前年増減率 +1.3%)
高専・短大卒 184.7千円(対前年増減率 +1.0%)
高校卒 168.9千円(対前年増減率 +1.4%)

■女性
大学院修士課程修了 238.3千円(対前年増減率 +1.8%)
大学卒 206.9千円(対前年増減率 +2.1%)
高専・短大卒 183.4千円(対前年増減率 +1.7%)
高校卒 164.6千円(対前年増減率 +1.4%)

大学院修士課程修了(男性)のみが前年比マイナスで、その他はすべてプラス。

大卒は21万を超えるような感じです。

初任給の引き上げと共に社内全体の給与のバランスも考慮していかなくてはいけない為、今の賃金の在り方を一度見直す時期に来ているのかもしれません。

令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況

ながら運転に関する罰則の強化等

スマートフォンの普及等に伴い、ながらスマホによる交通事故は増加の一方です。

便利すぎるが故に、メリハリをつけず、運転中も利用していると、注意散漫により大きな事故に繋がります。

その様な不注意によって、被害者になってしまうと、人生は元に戻らないのですから、いかような理由も理由にはならないような気がします。

そんな、悲しい事件をなくそう、という事かと考えられますが、運転中の携帯電話使用等に関する罰則が本日(2019年12月1日)より強化されるとともに、同違反に係る基礎点数および反則金の額が引き上げられています。


(1)罰則の強化等
■携帯電話使用等(交通の危険)
違反内容:携帯電話等の使用により道路における交通の危険を生じさせたもの
罰則:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
違反点数:6点(免許停止)
備考:非反則行為としてすべて罰則の対象

■携帯電話使用等(保持)
違反内容:携帯電話等を使用し、または手に保持して画像を表示して注視したもの
罰則:6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金
違反点数:3点
反則金の額:
 大型 25,000円
 普通 18,000円
 二輪 15,000円
 原付等 12,000円

(2)運転免許の仮停止の対象行為に追加
 携帯電話使用等(交通の危険)の違反をして、交通事故を起こして人を死傷させた場合、免許の効力の仮停止の対象となりました。これにより、交通事故を起こした場所を管轄する警察署長は、30日以内の範囲で免許の効力を停止(仮停止)することができることとなりました。

業務の中に運転がある会社は特に、このような法改正の内容を社員に周知すると共に、社内の安全運転教育に反映させていくひつようがあるのではないでしょうか?


「心」の病が増えています

 公益財団法人日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所が、2002年から概ね隔年で実施している「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を公表しています。

 中身を見てみると、13年振りに増加しているようです。

 ・増加傾向 32.0%(前回比+7.6ポイント)

 ・横ばい  54.7%(前回比▲5.0ポイント)

 ・減少傾向 10.2%(前回比▲0.2ポイント)

 ・わからない 3.1%(前回比▲1.7ポイント)

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これらを年齢層別に見てみると、

10-20代 30.6%(前回比+2.7ポイント)
30代 33.3%(前回比+0.7ポイント)
40代 29.6%(前回比▲6.2ポイント)
50代 6.5%(前回比+2.8ポイント)

となっていて、40台が大幅に減る一方、10-20代と50代の増加が目立ちます。

 「心の病の増減傾向」と「組織の状態」「取り組み」の項目をクロス集計すると、「職場の生産性向上」、「長時間労働対策」、「健康増進(健康経営)」、「場所に縛られない働き方改革」など、メンタルヘルスを直接の目的としない施策でも、メンタルヘルス問題の減少に繋がっているという結果がでています。

 このような結果を見ると、働き方改革への取組が「心」の健康にも繋がるのかもしれません。

 年代別の傾向を勝手に分析すると、20代は学生時代から社会人に代わっていく中で、そのギャップについていけないという部分が以前にもまして拡大しているような気がしています。社会は、スマホの情報ほどには、全体が進化しているわけではありませんので、そのギャップや未来に対する不安があるのでしょうか?はたまた、「ゆとり教育」の影響もあるのかもしれません。

 50代の増加については、社会人として過ごした多くの時間の常識が急速に変わっていく中での変化を求められるストレスのようなものがあるのかもしれません?

 入社をした時は、PCなどない時代。

 リゲインを飲んで、死ぬほど頑張るが「是」とされた時代を経験していた人が、ここにきて長く信じていた価値観を否定し、変わっていくという事は難しい事なのかもしれません。

 そういう意味では、今の30代、40代というのは、デフレから社会に入った世代であり、ある意味最初から多くを望んでおらず、かつ、まだ変化に柔軟性を持てる世代の為、このような数字となっているのでしょうか?

 少子高齢化、年功序列の崩壊、社会保険制度の危機、年金の不安定さ、口にすると、暗くなるような話ばかりが目立ちますが、未来が楽しくなる、明るい希望に国も、私たちも目を向けることも大切なような気がする今日この頃です。

第9回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果

人手不足の転換期が始まりつつあります。

リーマンショック以降、人手不足が進行し、非常に厳しい採用環境が続いてきましたが、ここにきて少し変化が起きてきています。

帝国データバンクが先日公表した「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」より、現在の人手不足の状況を見ると、次の要か回答がでているようです。(調査実施期間は2019年10月17日~31日、調査対象は全国23,731社、有効回答企業数10,113社(回答率42.6%))

(1)正社員の過不足状況
不足 50.1%(1年前比▲2.4ポイント) 適正 41.1%(1年前比+1.0ポイント) 過剰 8.8%(1年前比+1.4ポイント)

(2)非正社員の過不足状況
不足 29.3%(1年前比▲4.8ポイント) 適正 62.6%(1年前比+2.9ポイント) 過剰 8.1%(1年前比+1.9ポイント)

正社員・非正社員ともに、少し改善しているようです。

また、業種的にみるとより顕著なものがあります。

「製造」では

正社員不足割合 1年前から▲9.1ポイントの39.3%

非正社員不足割合 同▲11.5ポイントの22.8%

となっていて、随分改善が見られます。


「非製造」では

正社員 同0.2ポイントプラスの54.3%

非正社員 同▲1.9ポイントの32.2%

と横ばいです。

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おそらくですが、非正社員と言っても「サービス」「小売り」「運輸・倉庫」といったような業種が人手不足をけん引していて、事務職等になるとまた大きく数字も変わってくるような気がいたします。

ここにきて、有効求人倍率が低下してきていることもあり、採用環境が好転するのかもしれません。

このような動きの背景には、景気の影響もあるかもしれませんが、各企業が業務の在り方等を見直し、改善した結果が出てきているということが考えられます。

こういった改善や機械化は今後も各企業で一層進んでいくと想定されます。

今後は、今以上に労使共に合理的かつ生産性を意識した働き方が求められていく事は間違いがないような気がいたします。

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」

70歳までの就業機会確保義務

「70歳まで働かないといけない・・・」

そんなんホンマに考えているの?という声も聴きますが、政府は本気のようです。

2019年9月以降、労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会の中で70歳までの就業機会確保を義務化する法案についての検討が、まじめに議論されています。

現状では次のような感じの議論がなされているようです。(2019年11月15日開催資料より)

(1)70歳までの就業機会の確保について
 70歳までの就業機会の確保に係る事業主の努力義務(第一段階として努力義務化、その後、改めていわゆる義務化を検討)として、65歳までの雇用確保措置と同様の措置に加えて、新たな措置を選択肢として盛り込むにあたり、以下のような点について検討が必要である。
(a)定年廃止
(b)70歳までの定年延長
(c)継続雇用制度導入(現行 65 歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用を含む)
(d)他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
(e)個人とのフリーランス契約への資金提供
(f)個人の起業支援
(g)個人の社会貢献活動参加への資金提供


(2)法律上の努力義務を負う事業主
 70歳までの就業確保措置の責務については、65歳までの雇用確保措置の責務が、特殊関係事業主で継続雇用される場合であっても60歳まで雇用している事業主にあることから、70歳までの就業確保についても、60歳まで雇用していた事業主が、法律上、措置を講じる努力義務を負うと解することが適当でないか。

(3)対象となる労働者
 70歳までの就業確保措置では、成長戦略実行計画において、第二段階の法制整備(いわゆる義務化)の段階において、健康状態が良くない、出勤率が低いなどで労使が合意した場合について、適用除外規定を設けることについて検討することとされているが、これらを踏まえて、どのような仕組みが適切か検討すべきではないか。

(4)措置として事業主が実施する内容について
 事業主が70歳までの就業機会の確保に当たり具体的に実施する措置については、例えば、それぞれ以下のような内容が考えられるのではないか。
■「定年廃止」、「定年延長」、「継続雇用制度の導入」については、65歳までの雇用確保措置と同様のものが考えられるのではないか。
■「他の企業への再就職の実現」については、特殊関係事業主による継続雇用制度の導入と同様のものが考えられるのではないか。
■「個人とのフリーランス契約への資金提供」及び「個人の起業支援」については、事業主からの業務委託により就業することが考えられるのではないか。
■「個人の社会貢献活動参加への資金提供」については、事業主が自ら又は他の団体等を通じて実施する事業による活動に従事することが考えられるのではないか。
※事業主が委託、出資する団体が行う事業に従事させる場合は、当該団体との間で、定年後又は 65歳までの継続雇用終了後に事業に従事させることを約する契約を締結する。

(5)新たな制度の円滑な施行を図るために必要な準備期間について
 65歳までとは異なる新たな措置が選択肢として盛り込まれることに伴う、措置の導入に向けた個別の労使による話し合いや事前の周知のほか、どのような点に留意する必要があるか。過去の高年齢者雇用安定法改正で努力義務を新設した際(※)は、改正法の公布後4か月~5か月で施行。


この法律案ですが予定では年明けの通常国会に法案が提出の予定です。

(5)の内容を考えると、最短で2021年4月の施行も考えられます。

人口減の歯止めに待ったなし、という事はわかりますが、誰もが「老いる」という現実問題を考えると個人差が大きいので一律で法律化することが現実的なのかどうか?どんな部分にも興味がある話です。

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