男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正され、平成29年1月から新たに妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについても防止措置を講じることが事業主に義務付けられます。
いわゆる、「マタハラ」といわれるものの対策も今回含まれています。
新たな法律は次のものとなります。
〈男女雇用機会均等法第11条の2(抄)〉
事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
〈育児・介護休業法第25条〉
事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
具体的には次のような事例があらたに防止すべき取組が必要となります。
典型的な例 ①
・産前休業の取得を上司に相談したところ、「休みをとるなら辞めてもらう」と言われた。
・時間外労働の免除について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた。
典型的な例②
・育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」と言われ、取得を
あきらめざるを得ない状況になっている。
・介護休業について請求する旨を周囲に伝えたところ、同僚から「自分なら請求しない。あなたもそうすべき。」と
言われた。「でも自分は請求したい」と再度伝えたが、再度同様の発言をされ、取得をあきらめざるを得ない状況に
追い込まれた。
典型的な例③
・上司・同僚が「所定外労働の制限をしている人にたいした仕事はさせられない」と繰り返し又は継続的に言い、
専ら雑務のみさせられる状況となっており、就業する上で看過できない程度の支障が生じている(意に反
することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む)。
・上司・同僚が「自分だけ短時間勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ。」と繰り返し又は継続的
に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている
(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む)。
典型的な例④
・上司に妊娠を報告したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた。
典型的な例⑤
・上司・同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返し又は継続的に言い、
仕事をさせない状況となっており、就業をする上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている。
(意に反することを明示した場合にさらに行われる言動も含む。)
・上司・同僚が「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で
看過できない程度の支障が生じる状況となっている。
(意に反することを明示した場合にさらに行われる言動も含む。)

今回の法改正に基づき、来年1月から事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針等が8月2日に公布されています。
この指針では、いわゆるマタハラ防止措置の適切かつ有効な実施を図ることが示されたことから、この指針に従い、いわゆるマタハラ防止措置を適切に講じることが求められるとして、話題になりました。
今回、これらの法改正に対応し、マタハラ防止等を実施するために必要な措置の内容や、就業規則等での対応事例などを紹介するパンフレットはが公開されています。
今回の改正の内容が分かりやすく説明されており、就業規則においてもいくつかのパターンが示されていますので参考になると思います。
子供は社会からの授かりもの。
社会全体で育てるという視点から、お互い様の心遣いで、互いに支えあっていきたいものですね。
職場における 妊娠・出産・育児休業・介護休業等に 関するハラスメント対策や セクシュアルハラスメント対策は 事業主の義務です!!妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置の内容について妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置の対象となる言動について事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して 雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成 29 年1月1日適用)○子の養育又は家族介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との 両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(抄)(平成29年 1月1日適用)