Faith to Face  ~オレキケ社労士の日々ウダウダ!!~

社会保険労務士として、日々奮闘中のT&Dが、日々起こる話をウダウダ語ります。

事業場外はみなされない?

労働法で定められているみなし労働時間制。


営業の方を対象に多くの企業が利用している「事業場外のみなし労働時間制」


技術者やデザイナ-等専門職種を対象にした「専門業務型みなし労働時間制」


企画業務等を行う人を対象にした「企画業務型みなし労働時間制」



というような種類があるわけですが、このみなし労働時間制の適用は以前より法律が考える範囲以上に拡大解釈した形で実務上利用されています。



「みなし制度」というのは、簡単に説明すると、「社外で労働するなど労働時間の算定が困難な業務や、業務の遂行方法を労働者本人の裁量に委ねる必要がある業務などについて、労働時間を一定時間働いた」とみなす事ができる制度です。



例えば、営業の人、「外回りにいってきま~~す」と出たまま帰ってこないような場合は、どれだけ休憩をし、どれだけ働いたかがわからないような場合は、あらかじめ決めた一定期間、例えば「所定労働時間8時間とみなす」と定めておくと、実態時間の長短にかかわらず、その日の労働を8時間としますよ!!という感じです。



営業マンと事業場外みなし




このみなし制度の中でも「事業場外労働のみなし労働時間制度」について、そのの適用の可否について争った最高裁判決の判決文が公表されています。


【阪急トラベルサポート事件(第2事件)判決文】



そこには、事業場外みなしが適用できるかどうかの考え方について次のような事が述べられています。




本件添乗業務は,ツアーの旅行日程に従い,ツアー参加者に対する案内や必要な手続の代行などといったサービスを提供するものであるところ,ツアーの旅行日程は,本件会社とツアー参加者との間の契約内容としてその日時や目的地等を明らかにして定められており,その旅行日程につき,添乗員は,変更補償金の支払など契約上の問題が生じ得る変更が起こらないように,また,それには至らない場合でも変更が必要最小限のものとなるように旅程の管理等を行うことが求められている。


そうすると,本件添乗業務は,旅行日程が上記のとおりその日時や目的地等を明らかにして定められることによって,業務の内容があらかじめ具体的に確定されており,添乗員が自ら決定できる事項の範囲及びその決定に係る選択の幅は限られているものということができる。



また,ツアーの開始前には,本件会社は,添乗員に対し,本件会社とツアー参加者との間の契約内容等を記載したパンフレットや最終日程表及びこれに沿った手配状況を示したアイテナリーにより具体的な目的地及びその場所において行うべき観光等の内容や手順等を示すとともに,添乗員用のマニュアルにより具体的な業務の内容を示し,これらに従った業務を行うことを命じている。



そして,ツアーの実施中においても,本件会社は,添乗員に対し,携帯電話を所持して常時電源を入れておき,ツアー参加者との間で契約上の問題やクレームが生じ得る旅行日程の変更が必要となる場合には,本件会社に報告して指示を受けることを求めている。



さらに,ツアーの終了後においては,本件会社は,添乗員に対し,前記のとおり旅程の管理等の状況を具体的に把握することができる添乗日報によって,業務の遂行の状況等の詳細かつ正確な報告を求めているところ,その報告の内容については,ツアー参加者のアンケートを参照することや関係者に問合せをすることによってその正確性を確認することができるものになっている。



これらによれば,本件添乗業務について,本件会社は,添乗員との間で,あらかじめ定められた旅行日程に沿った旅程の管理等の業務を行うべきことを具体的に指示した上で,予定された旅行日程に途中で相応の変更を要する事態が生じた場合にはその時点で個別の指示をするものとされ,旅行日程の終了後は内容の正確性を確認し得る添乗日報によって業務の遂行の状況等につき詳細な報告を受けるものとされているということができる。



以上のような業務の性質,内容やその遂行の態様,状況等,本件会社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法,内容やその実施の態様,状況等に鑑みると,本件添乗業務については,これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないと解するのが相当である。

近年、ITが急速に発展し、多くの人がスマートフォン等高機能通信手段を保有しています。



また、GPS機能などを利用して、社員の行動が確認できるような状況にもあります。



このように時間の変化とともに、連絡手段が急速に発展している今、もはや労働基準法にさだめる「労働時間を算定しがたい場合」はほとんどなくなっているのが現実です。



結果、昔より利用されてきた事業場外みなし労働時間制の適用が極めて困難になってきています。



今後、この最高裁の判決を受け、厚生労働省は「事業場外みなし労働制適用」に関する通達を発出すると思われますので、営業さんの労働時間管理について、今一度考え直す必要があるのかもしれませんね。



今の時代、労働時間と賃金を結び付けた考え方には限界がある、というような声もあるだけに、今回の判決の行方はなかなか難しい問題を含んでいるのかもしれませんね。

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