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東日本大震災に伴う労働基準法等に関するQ&A(第3版)

先月4月27日に、労働基準法の取り扱いに関するQ&Aの第3版が発表されています。

東日本大震災に伴う労働基準法等に関するQ&A(第3版)

追加された内容は下記のとおりです。

(追加 1)
震災の影響で、会社を休んでいますが、会社から出勤しなければ退職願を出すよう求められています。これに応じる必要はあるのでしょうか。
        ↓
退職の意思表示については、あくまで労働者の自発的な意思表示によるものである必要があります。労働者の自由な意思を妨げる退職勧奨は、違法な権利侵害に当たると判断された裁判例が存在することを踏まえ、対処いただくことが望まれるものです。使用者が一方的に労働契約を解除する解雇については、労働契約法等によって規律されたルールに従う必要があります。

なお、労働者と会社との間の労働契約に基づき出勤することとされた日(所定労働日)については、法定の年次有給休暇や会社の特別の休暇などを利用して休む場合を除き、原則として事業主に対して、労務を提供する義務があります。労働者がこうした年次有給休暇等によらずに会社を休む際は、欠勤する理由を会社に説明し、欠勤について理解を得るよう努めることが望ましいと考えられます。
(追加 2)
勤め先企業が、被災が比較的少なかった地域にあり、営業・操業が再開しつつありますが、現在避難所にいるため通勤できません。このような中、雇用主から「出勤できなければ解雇する」と言われ、困っています。何か対応策はあるのでしょうか。
         ↓
震災を理由とすれば無条件に解雇や雇止めが認められるものでは、ありません。

解雇については、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利の濫用として無効となります(労働契約法第16条)。

この点について、労働者が避難所にいるために通勤が困難であることのみを理由に解雇をすることは、一般的には相当でないと考えられます(ただし、最終的には個別の事情を総合的に勘案して判断されます)。

まずは、労使がよく話し合って、労働者の不利益を回避する方策を見いだすよう努力いただくことが重要です。

(追加 3)
今回の地震で、①事業場の倒壊、②資金繰りの悪化、③金融機関の機能停止等が生じた場合、労働基準法第24条の賃金の支払義務が減免されることはあるでしょうか。
         ↓
労働基準法第24条においては、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならないとされています。

御質問については、労働基準法には、天災事変などの理由による賃金支払義務の減免に関する規定はありません。

(追加 4)
会社が地震等により損壊し、事業活動ができません。社長とも連絡が取れません。これまで働いた分の賃金を支払ってもらうことはできるのでしょうか。また、失業給付は受けることができるのでしょうか。
         ↓
労働基準法第24条においては、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならないとされています。既に働いた分の賃金は、当然に支払われなければなりません。可能であれば、会社の経営者などに連絡をとり、支払を求めることをお勧めします。

なお、事業活動が停止し、再開の見込みがなく、賃金の支払の見込みがないなど、一定の要件を満たす場合には、国が事業主に代わって未払賃金を立替払する「未払賃金立替払制度」を利用することができます。詳しくは、最寄りの労働基準監督署にご相談下さい。

また、休業となり、就労することができず、賃金を受けることができない状態にある方については、激甚災害の指定に伴う雇用保険の特例を御利用いただける可能性があります。一方、離職となった場合には、通常の失業給付について、要件を満たせば受給できます。事業主が所在不明であること等により、手続に必要な離職票がもらえない場合は、ハローワークに御相談ください。

なお、その他失業給付の具体的な手続方法等は、お近くのハローワークに御確認ください。

(追加 5)
被災地への義援金を社内で募る場合、募金額を各労働者から聞いて取りまとめ、賃金から控除することは問題ないでしょうか。
         ↓
賃金からの控除については、労働基準法第24条においては、賃金の全額を直接労働者に支払うことが原則とされていますが、その例外として

① 法令に別段の定めがある場合
事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等との書面による協定がある場合

に限り、賃金から一部の金額を控除することが認められています。

上記②の労使協定により控除できるのは、社宅や寮の費用など、労働者が当然に支払うべきことが明らかなものとされています。労働者が自主的に募金に応じる場合は、一般的にはその労働者が当然に支払うべきことが明らかなものと考えられるため、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等との書面による協定を締結し、その労働者の賃金から募金額を控除することは可能です。

なお、②の労使協定があったとしても、募金に応じる意思がない労働者の賃金から義援金として一律に控除することは認められず、労働基準法違反となりますので注意が必要です。

(追加 6)
労働基準法第25条の「災害」には、今回の地震による災害も含まれるでしょうか。
         ↓
労働基準法第25条では、労働者が、出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求する場合は、賃金支払期日前であっても、使用者は、既に行われた労働に対する賃金を支払わなければならないと定められています。

ここでいう「疾病」、「災害」には、業務上の疾病や負傷のみならず、業務外のいわゆる私傷病に加えて、洪水等の自然災害の場合も含まれると解されています。

このため、労働基準法第25条の「災害」には今回の地震による災害も含まれると考えられます。

(追加 7)
労働者又はその家族が被災し、又は居住地区が避難地域に指定される等により、住居の変更を余儀なくされる場合の費用は、労働基準法第25条の「非常の場合の費用」に該当するでしょうか。
          ↓
御質問にあるような費用は、災害によるものとして、労働基準法第25条の「非常の場合の費用」に該当すると考えられます。

(追加 8)
今回の震災により、被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインの早期復旧のため、被災地域外の他の事業者が協力要請に基づき作業を行う場合に、労働者に時間外・休日労働を行わせる必要があるときは、労働基準法第33条第1項の「災害その他避けることができない事由によって、臨時の必要がある場合」に該当するでしょうか。
          ↓
労働基準法第32条においては、1日8時間、1週40時間の法定労働時間が定められており、これを超えて労働させる場合や、労働基準法第35条により毎週少なくとも1日又は4週間を通じ4日以上与えることとされている休日に労働させる場合は、労使協定(いわゆる36協定)を締結し、労働基準監督署に届けていただくことが必要です。

災害その他避けることのできない事由により臨時に時間外・休日労働をさせる必要がある場合においても、例外なく、36協定の締結・届出を条件とすることは実際的ではないことから、そのような場合には、36協定によるほか、労働基準法第33条第1項により、使用者は、労働基準監督署長の許可(事態が急迫している場合は事後の届出)により、必要な限度の範囲内に限り時間外・休日労働をさせることができるとされています。労働基準法第33条第1項は、災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定ですので、厳格に運用すべきものです。

なお、労働基準法第33条第1項による場合であっても、時間外労働・休日労働や深夜労働についての割増賃金の支払は必要です。

御質問については、被災状況、被災地域の事業者の対応状況、当該労働の緊急性・必要性等を勘案して個別具体的に判断することになりますが、今回の震災による被害が甚大かつ広範囲のものであり、一般に早期のライフラインの復旧は、人命・公益の保護の観点から急務と考えられるので、労働基準法第33条第1項の要件に該当し得るものと考えられます。

ただし、労働基準法第33条第1項に基づく時間外・休日労働はあくまで必要な限度の範囲内に限り認められるものですので、過重労働による健康障害を防止するため、実際の時間外労働時間を月45時間以内にするなどしていただくことが重要です。また、やむを得ず長時間にわたる時間外・休日労働を行わせた労働者に対しては、医師による面接指導等を実施し、適切な事後措置を講じることが重要です。
(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101104-1.pdf)

なお、災害発生から相当程度の期間が経過し、臨時の必要がない場合に時間外・休日労働をさせるときは、36協定を締結し、届出をしていただくこととなります。

(追加 9)
震災直後には十分な企業活動ができなかったことを受けて、現在、業務量が増加し、36協定で定めた延長時間を超えることになりそうですが、どのように対応すればよいでしょうか。
          ↓
労働基準法に定める労働時間の原則は、1日8時間、1週40時間とされていますが、労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、協定で定める範囲内で1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて、労働させることも可能です。

36協定を締結し、届け出ている場合であっても、36協定で定める範囲を超える時間外労働をさせることはできないので、36協定で定める範囲外の時間外労働を可能とするには新たに36協定を締結し直し、届け出ることが必要です。ただし、36協定で延長できる労働時間の限度については、大臣告示(限度基準告示)が定められており、36協定の内容は、限度基準告示に適合したものとするようにしなければならないとされています。

(参考)限度基準告示について
(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/040324-4.html)

また、時間外・休日労働はあくまで必要の限度において認められるものですので、過重労働による健康障害を防止するため、実際の時間外労働時間を月45時間以内にするなどしていただくことが重要です。また、やむを得ず長時間にわたる時間外・休日労働を行わせた労働者に対しては、医師による面接指導等を実施し、適切な事後措置を
講じることが重要です。
(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101104-1.pdf)

(追加 10)
今回の震災による影響を受けて、会社から年次有給休暇を取得するよう命じられました。どうすればよいのでしょうか。
         ↓
労働基準法第39条第1項では、使用者は一定期間継続して勤務した労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならないと定められています。

この年次有給休暇については、使用者は、労働者が請求する時季に与えなければならないと定められており(同条第5項本文)、使用者に命じられて取得するものではありません。

なお、労働基準法においては、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時季に年次有給休暇を与えることができる(同項ただし書)こととされ、また、年次有給休暇のうち5日を超える分については、労使協定により計画的に与えることができる(同条第6項)とされています。ただし、これらは年次有給休暇について使用者が一方的に労働者にその取得を命じることができることを定めたものではありません。

(追加 11)
今回の震災に伴う復旧・復興の業務等のため、労働者から請求のあった日に、年次有給休暇を与えることが困難な場合にはどのようにすればよいでしょうか。
          ↓
年次有給休暇については、使用者は、労働者が請求する時季に与えなければならないと定められています(労働基準法第39条第5項本文)。

ただし、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時期に年次有給休暇を与えることができると定められています(同項ただし書)。

したがって、今回の震災に伴う復旧・復興の業務等への対応を行うに当たって、労働者が請求する時季に年次有給休暇を与えることが、事業の正常な運営を妨げる状況にある場合には、他の時期に与えることができます。

事業の正常な運営を妨げる状況であるか否かについては、労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきであると考えられ、震災後の事業を取り巻く状況も踏まえて個別に判断されます。

(追加 12)
飲食店を経営していますが、震災により店舗の被災はなかったものの、来客数が激減し、売上げが大幅に下がっています。このため、従業員の賃金を引き下げようと考えていますが、問題はありますか。
          ↓
労働契約や労働協約、就業規則、労使慣行に基づき従来支払われていた賃金、手当等を引き下げることは、労働条件の不利益変更に該当します。

このため、労働者との合意など、賃金について定めている労働契約や労働協約、就業規則等のそれぞれについての適法な変更ルールによらずに、賃金の引下げをすることはできません。

すなわち、賃金引下げなどの労働条件の変更は労働者と使用者の個別の合意があればできますが、就業規則の変更により賃金の引下げを行うには、労働者の受ける不利益の程度、変更の必要性、変更後の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況等に照らして合理的であること、また、変更後の就業規則を労働者に周知させることが必要です(労働契約法第8条、第9条、第10条)。また、労働基準法では、就業規則の変更の際には、労働者の代表等の意見を聴くこととともに、労働基準監督署への届出が義務付けられています(労働基準法第89条、第90条)。

(参考)労働契約法について
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/keiyaku.html)

(追加 13)
今回の震災の被害により労働者が出勤できなかった場合、出勤しなかった日の賃金の支払は必要でしょうか。
        ↓
労働契約や労働協約、就業規則等に労働者が出勤できなかった場合の賃金の支払について定めがある場合は、それに従う必要があります。

また、例えば、会社で有給の特別な休暇制度を設けている場合には、その制度を活用することなども考えられます。

このような定めがない場合でも、労働者の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労働者の不利益をできる限り回避するように努力することが大切です。

以上が今回追加された部分です。

いずれも状況が状況なために、事業主にとっては厳しい話が多いですが、こういう時こそ、普段からの社員の方とのコミュニケーションのあり方や、経営者の労働者への思いが問われるのかもしれません。

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