Faith to Face  ~オレキケ社労士の日々ウダウダ!!~

社会保険労務士として、日々奮闘中のT&Dが、日々起こる話をウダウダ語ります。

危機の経営 などなど (お勧めの一冊)

本日のおすすめの一冊は「危機の経営」(畑中洋太郎・吉川良三 著)等です。



本書は、韓国の企業「サムスン」の経営について元常務の吉川さんが自身の経験をベースにその内情を語ったものです。



今月上旬、サムスンが減収減益になったという記事が掲載されていました。



サムスンの躍進はスマホが成長の原動力となっていただけに、スマホ市場の成長の鈍化と市場競争の激化が、今後いっそうサムスンの経営を厳しくするのではと危ぶまれているわけですが、本当にサムスン電子はもう限界なのでしょうか?



先日、ZETAコンサルティング様が主催された「桜橋ビジネス勉強会」という勉強会に参加させていただき、このテーマについて、学ぶ機会をいただいたのですが、その時の推薦の一冊がこの本でした。



勉強会では立場や業界が違う多くの方が集まり、実に多様な角度からの意見を聞くことができるなど、大変勉強になり、とてもいい刺激を受けることができました。


勉強会の話の中では「サムスンが意外に日本と似ている部分がある」「思っているほど、成果主義一辺倒ではないなど意外な側面がある」「日本企業がグローバル市場で苦戦しているのは語学の問題がある(英語だけでは不十分)」「サムスンのグローバル人材育成の為の投資が原動力となっている」「今サムスンは経営の岐路に立たされているがこれからの不安要素も多く今後は厳しいのではないか」、など様々な意見がなされ、どれもこれも、それぞれの経験などを踏まえたものですので、大変参考になるものでした。



さて、その様な様々な意見を聴いたり、本を読んで考えた結果、サムスンの未来について私はどのように感じるかというと、確かにこれからの不安要素は多く、国内事情等を鑑みると厳しい部分がありますが、「それでもなんとな乗り越えるのではないのかな~~」と、あまり悲観していません。



と、言いますのは、本書を読んで、サムスンの経営の取り組みの内容、イズムなどを知り、彼らの危機感を持ち続ける文化や経営に対する貪欲さ・力強さ・したたかさなどを見ると、これから新たに来る危機も乗り越えていけるような風土がサムスンにはあるのでは、と感じたからです。



サムスンはイ・ゴンヒ会長の「妻と子供以外はすべて変えろ」というような強力なビジョンの元、組織の改革を断行しようとしていたところ、1997年のIMF危機で痛みの伴うリストラを断行せざるを得なくなり、この時、強い屈辱感を味わったそうです。



この時のCEOユン・ジョンヨンが行った大胆なリストラ断行はサムスン社員に「絶え間のない危機感」を植え付け、グローバル化時代に勝ち抜く今日の体制を築く為の大改革の礎になったようです。
(ユン・ジョンヨンは2013年 世界のCEOベスト100にもスティーブ・ジョブス、ジェフリー・P・ベゾス、に続いて第3位と高い評価を受けています)



まずは人のイノベーション。



数百人が泊まれる研修施設「人力開発院」をつくったり、自己啓発のために全社員に毎月2万円の補助金を支給したり、発展途上国をはじめとする市場となる国の現地文化を理解するために地域専門家という人たちを育成するなど、人材育成に莫大な投資を行います。



その一方で、40代管理職は2年で結果を出せなければ退職しなければいけない風土を築くなど徹底した競争を促しました。(入社から40くらいまではじっくり人を育てるようです。そのあたりはメリハリが聞いているように感じました。また、管理職になって辞めた人の多くがサムスン時代の人脈をうまく利用して、ベンチャーを立ち上げるなど独立して成功している人も多いようです。)



ただし、社内アンケートを見ると、社員から「人材育成について、サムスンマンになるために研修はあまり影響を与えていない((影響力の中では最下位)」という意見が多いようなので、どの程度の効果があったのかは不透明ですが・・・
(ちなみに日本の企業でも同様の意見をよく聞きますが、サムスンマンになるためにキーファクターとしては「同僚や後輩」と多くが回答しています。研修の位置づけって難しいですね。)



そして製品とプロセスのイノベーション



3DCADなどの普及により、情報がデジタル化できるようになると、これらを積極的に取り入れることで部門を超えて社内全体で情報が共有できる仕組みを作り、それまでの「串焼き鳥」方式のものづくりから、商品企画やデザイン等の各部署が、それぞれの情報をオンタイムで共有しながら、並行して仕事を始める「刺身方式」に切り替えることで、モノづくりのスピードを格段に引き上げることに成功しました。



また、事業の選択と集中を徹底して行い、もの作りより、マーケティングを重視した経営にシフトします。


莫大な投資と時間がかかる技術開発と開発設計を放棄し、他社の開発をもとに、リバースエンジニアリングを徹底することで、基礎的な技術力を補いながら、市場のニーズに合った製品開発を他社に負けないスピードで実現できるような体制を築きました。



これらの取り組みや現地の文化やニーズにあった製品設計をする『地域型モノづくり』の徹底により、今やサムスンは技術大国日本の名だたる企業を抑え込み、今や世界のブランドランキングで8位になるほどの成長を成し遂げたのです。


これらの改革がすべてうまくいったとは言えませんが(スマートホン市場の急増な伸びによって、これまではうまく回っていましたが、本質的な課題がいろいろありますので)、このような改革を成し遂げた「存続は常ではない」という経営意識を持ち続けるイズムが残っている限り、確かに技術力で弱みがあり、スマートホン市場の飽和によって経営危機を迎える可能性はあるものの、いくつもの失敗と成功を繰り返すなかで、変化を繰り返し、生き残っていくのではないかと感じるのです。



むしろ、私は今回のサムソン危機は、これを対岸の火事とみてはいけないと考えています。



このところ、アベノミスクによる景気向上に包まれている感がありますが、これらは、国の積極的な補助等に支えられている側面も強く、多くの日本企業の本質的な課題が解消されているわけではない可能性があるためです。


優れた技術力はあるもののスマホやタブレットに代わる市場を見出すことができず、迷走しているという部分は、サムスンだけでなく日本の企業も例外ではない、と言われています。


確かに今は、サムスンは窮地にありますが、グローバル市場での劇的な成長を遂げたサムスンの危機意識や戦略思考、グローバル企業に切り込む泥臭さ、強かさ、などからは、日本企業も大いに学ぶべき点があるのではないかと本書を読んで考えるのでした。



ご興味のある方は是非・・・


礼賛論

危機の経営 ~ サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション危機の経営 ~ サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション
(2009/09/17)
吉川 良三、畑村 洋太郎 他

商品詳細を見る




非難論 


週刊 ダイヤモンド 2013年 11/16号 [雑誌]週刊 ダイヤモンド 2013年 11/16号 [雑誌]
(2013/11/11)
不明

商品詳細を見る



中立論  


Samsung Electronics and the Struggle for Leadership of the Electronics IndustrySamsung Electronics and the Struggle for Leadership of the Electronics Industry
(2011/09/02)
Anthony Michell

商品詳細を見る

指導することと伝わる事の違いPageTopちょっとお勧めこのお店 128 (チッチーノ ciccino)

コメント

コメントの投稿

 管理人だけに表示する

トラックバック

http://facetofaithsrtd.blog76.fc2.com/tb.php/1305-224b7678

プロフィール

労務管理は社会保険労務士事務所・オフィスT&D Faith(フェイス)経営労務事務所

オフィスT&D

Author:オフィスT&D
オフィスT&D Faith(フェイス)経営労務事務所は、大阪市北区に事務所を構える社会保険労務士事務所です。最適な人事労務管理など、様々なご要望にお応えいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カテゴリ

最新記事

リンク

このブログをリンクに追加する

J-NET21

オレキケブログへようこそ!!

RSSリンクの表示