Faith to Face  ~オレキケ社労士の日々ウダウダ!!~

社会保険労務士として、日々奮闘中のT&Dが、日々起こる話をウダウダ語ります。

会社経営は楽しい?


企業経営者は楽しくて楽しくて、仕方がないのか?


先日、経営者の本質を少し垣間見ることができる良い記事がありましたのでご紹介します。



ログミー「GMO熊谷社長「20年間毎日が修羅場…90%以上は苦しかった」起業家としての人生を振り返る」より

業界の第一線で活躍し続ける経営者4名―オプト・鉢嶺登氏、GMOインターネット・熊谷正寿氏、ヤフー・川邊健太郎氏、日本交通・川鍋一朗氏が一堂に会して「企業の成長と経営者の成長」をテーマに意見を交わしたセッション。

本パートでは、創業から現在に至るまでの「経営者の修羅場経験」について振り返りました。(IVS 2014 Fall より)

経営者の修羅場経験

司会:ではお時間となりましたので、本日最後のセッション4を開始させていただきたいと思います。「企業の成長と経営者の成長」、モデレーターは株式会社プロノバ代表取締役社長の岡島悦子様にお願いしたいと思います。岡島様、どうぞよろしくお願いいたします。

岡島悦子氏(以下、岡島):皆さんこんにちは。セッション4を始めていこうと思います。「企業の成長と経営者の成長」ということで、スピーカーの方をご紹介いたします。株式会社オプト、鉢嶺さん。
 
鉢嶺登氏(以下、鉢嶺):よろしくお願いします。

岡島:よろしくお願いします。GMOインターネット株式会社、熊谷さん。

熊谷正寿氏(以下、熊谷):よろしくお願いします。

岡島:そして日本交通、川鍋さん。

川鍋一朗氏(以下、川鍋):よろしくお願いします。

岡島:お願いします。ヤフー、川邊さん。

川邊健太郎氏(以下、川邊):よろしくお願いします。

岡島:4人の豪華なゲストをお迎えし、今回は「企業の成長と経営者の成長」がテーマです。4人の経営者「個人」の成長にもフォーカスしてうかがっていこうと思います。たくさんお話をうかがいたいんですが、3つくらいに分けていこうと思います。長年やってらっしゃる経営者の方が多いので、どんなふうに皆さん修羅場の経験をされてきたのか。

経営者の成長といったとき、修羅場経験みたいなものから学ばれたことはたくさんあるんだろうなというところ。それからぶっちゃけ金銭的には十分に成功なさっていて、働き続けるということをやっていくときに、何をモチベーションにやってらっしゃるのかというところもうかがいたいです。

最後に、ご自身はどんなふうに時間を使っているのか、今後の課題をどのように考えていらっしゃるのかということを、全体でうかがっていきたいなと思います。 会場の皆さんからもたくさんQ&Aを受け付けようと思っておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、修羅場経験を鉢嶺さんからうかがっていきたいと思うのですが。

鉢嶺:はい。

チーム経営に変えたことで成長した

岡島:長年やってこられて、修羅場もたくさん経験されてこられたと思うのですが、どうでしょう。資料もいただいたんですけども、どこでご自身がグッと成長したかというところからお話しいただいてよろしいでしょうか。

鉢嶺:私は1994年に創業してますので、もう20年になるんですね。会社がガッと伸びているところがフォーカスされがちですけども、1994年から2000年まで利益がほとんど出ませんでした(笑)。

売り上げも最高3億円くらいしかいかなくて、四六時中会社の成長のことばっかり考えてるのに、まったく利益が出ない。経営者として僕は向いてないんじゃないのという状況になったのが、第一で最初の創業期ですね。

自分の中では資金繰りとの戦いという状況がありました。で、2001年を皮切りに一気に成長していくんですけども、ここで何があったかというとチーム経営に変えたんですね。自分が創業者で全部引っ張っていくところから、4人のメンバーで役割分担しながらやる。

僕は実務があまり得意ではないので、経営の執行実務は得意なパートナーに任せるという形をとってからガッと伸びるんですけども、逆に任せることにより僕はストレスがすごく溜まる場面があったりして。

そこが成長期。最後は上場した後で、大企業さんとの提携があるんですけどそこでいろいろバトルもありまして。組織の力学的なこととか、大企業の考え方とか、いろいろ学ばせていただいたという。大きくはその3つですかね。

岡島:やっぱり権限委譲する難しさというか。組織は社長の器以上にはならないみたいなことを、皆さん悩んでらっしゃるようなところもあって。今おっしゃっていたように、チーム経営にされて良かったことと、フラストレーションが溜まられたみたいなことでは、ご自分の成長でいうと……。

川鍋:ちなみに、チーム経営した人というのは元からいらした方なんですか? それともそのときに外から招いた……?

鉢嶺:創業のときに、出資だけしてくれたメンバーです。そのメンバーが僕を含めて全部で5人いたのですが、2年目に1人ジョインしてくれて、3年目に1人、5年目に1人。

岡島:昔からのお仲間もいらっしゃった感じですよね。

川鍋:じゃあ基本的にわりと知ってた。

鉢嶺:そうです。

岡島:でもストレスは溜まりますよね。知ってる仲間だからということもあって。

鉢嶺:ストレスというか、会社がバーッと伸びていくんで「ハッチ、すごいじゃん! オプトすごい急成長してるじゃん」みたいに言われるんですけど「そうみたいね、僕がやってるわけじゃないから」という状態になるじゃないですか。

あとは、今まで自分で全部ジャッジできていたものが、結局はジャッジできなくなるわけですよね。全部、任せたCOOなりCMOなりCFOなりに「僕はこうなると思う、こうしたいんだけど」と言って、僕から全社には意思表示できないという状態が何年か続いたので。そこはすごいストレスでしたね。

岡島:社員からも「鉢嶺さんは何やってんのかな」みたいな感じで見えてたりしたんですかね。

鉢嶺:そうかもしれませんね。

岡島:本当ですか?

鉢嶺:(笑)。

大企業病との戦いが起きた

岡島:でも業績、成長がすべてを癒すみたいなところもあるから、業績が良いとそこは越えていけるというのも社員の方はあった感じですかね。

鉢嶺:そうですね。それもあると思います。

岡島:そこから大変革に入ってくるんですよね?

鉢嶺:上場した後ですね。見づらいかもしれませんが、黄色い折れ線グラフのほうが社員数なんですけど、上場するまで70人の社員だったのが3年で700人になりました。やっぱりここで大きく歪みがあって、一番はやっぱり社風ですね。

今までは社風を大事にして、70人なのでオプトイズム、ベンチャーマインドみたいなものがあうんの呼吸で伝わっていたところが「前の会社でこんな福利厚生があったのになんでオプトにはないの」「なんでこんな人事制度がないの」というのがどんどん入ってきて、その人たちのほうがマジョリティになっちゃって。

岡島:ちょっと後出しジャンケン的なことが出てきて。

鉢嶺:自分たちが良かれと思っていた文化、価値観が「あれ、ちょっと違うのかな」という揺らぎがあって。大企業病のようになっていってしまったというところがあります。

岡島:それで2010年から改革に入られたということですよね。大企業病との戦いというか、イズムを取り戻すというか。この辺は熊谷さんもすごくお詳しいと思いますけれども(笑)。

こういうことをやられて、その間での自身の成長というのかな。これはある意味戦いだと思うんですけど、ご自身で「グッと成長したな」「忍耐力がついたな」とかいろいろおありだったんじゃないかと思うんですけど。

鉢嶺:どうなんですかね。あんまり「ここですごく成長した」っていうのはないですね。

岡島:じゃあご自身の成長は、当初のところとチーム経営にしていくところ、そこからまた戻していくところの修羅場でという感じですかね。

鉢嶺:はい。

岡島:ご自身の成長という意味では、何が一番変わられた感じですか?

鉢嶺:何ですかね?(熊谷氏のほうを向きながら)忍耐強さ?

岡島:胆力とか、みんな言いますよね。

熊谷:ねえ。

鉢嶺:あんまり自覚がないですね。

熊谷:僕は歳のせいかもしれないんですけど、経営者として何が変わったかというと、辛抱強くなったことですかね。10年前、20年前の自分と比較すると。

事業家は毎日が修羅場

岡島:では次に熊谷さんにうかがいたいと思います。どこが修羅場だったのか、どこで辛抱強くなったのかという話をお聞かせください。

熊谷:ちょうど今年(2014年)の12月で、僕はインターネットで事業を開始して20周年になりました。20年目に入りましたので、皆さんいろいろありがとうございます。

(会場拍手)

熊谷:どこが修羅場だったかっていうと、ぶっちゃけ事業家やっていると毎日修羅場なんですよ。だから「熊谷さん、楽しいですか? 事業家やってて」って若い起業家の方からご質問をいただくんですけど「ぶっちゃけ事業家経験を振り返ると、90%以上苦しいよ」と。

絶えず苦しい。なぜならば、やっぱり高い目標があれば絶えずそことギャップがあって、自分が立てている目標を上回ってる時期なんてありえないんですよね。そういうのありました? 絶えず下回ってるじゃないですか。だとすると苦しくて当たり前で、自分自身で安らげる時間というのは20年を振り返ってないですよね。

岡島:ないんですか!?

熊谷:ないです。その中で特に苦しかったのは谷間のところとかなんですけど、まあ……事業家ってこういうものなんでしょうね。そう思います。

岡島:それでも、目標を下げればだいぶ楽になるわけじゃないですか。

熊谷:そりゃそうですね。でもそんなの全然誰も楽しくないし、特に上場してたら会社は成長しないと全員の笑顔を得ることはできないので、やっぱり成長しない状況とかは見過ごすわけにはいかなくて。そうすると高い成長をし続けなきゃいけなくて、絶えず苦しいという。

岡島:それはどうマネージしてるんですか?

熊谷:マネージはしてないですよね。それに耐えるために絶えず運動してるとか。

鉢嶺:そのためなんですか?(笑)

熊谷:そうですよ。その日のことを忘れようと思ってワインを飲んだりしますけど。

岡島:根本的な解決にはならない。

熊谷:ならないですよ(笑)。単に睡眠薬代わりにワイン飲んでるってだけで。プレッシャーに耐えるために何をしてるのかというと、僕は基本運動してますよね。絶えず。ベンチプレスも「くっそー、絶対やってやる!」と思ってドーンと上げてますから(笑)。そういう人生です。

岡島:そういうことを重ねると、自分の胆力のようなものがついてきたり、成長の実感のようなものがおありなんですか? 振り返ると。

熊谷:僕個人のことというか組織の成長、会社の成長というのがまたひとつのテーマだと思うんですけど、会社の成長=関わる人々の成長じゃないですか。関わる仲間の成長ですよね。

それって、自分自身からすると「やれ」じゃなくて「やる」と言ったことを信じて任せる。で「いつまでにやる」という一定の期限が過ぎるまではグッとこらえて、我慢して見守るという胆力。それが経営者として必要な能力なんだろうなと思うんですよね。

普通と同じことはしない

岡島:どんどんグループ会社の数も増えてこられて、先ほどのチーム経営じゃないですけど、どんどん権限委譲型になって経営者を量産していく形に変えられていくと、ご自身では「さみしい感」みたいなのはないんですか?

熊谷:まったくないですね(笑)。自分が好きでデザインしている組織の図なので、そこはさみしい感とかはなくて、むしろもっとそうしなきゃと思ってるんですけど。今、権限委譲って言葉をお使いになったんですけど、ウチのグループの形は「権限委譲」というよりも「権限の分散」なんですね。

「委譲」っていうのは、大きなピラミッドを意味するじゃないですか。僕はどちらかというと、スピードを維持するために程よいピラミッドをたくさん作って、基本は全部お任せして、全体のスピードを上げていくってやり方なんですよ。その一番良い事例として、ウチのグループって上場企業多いじゃないですか。

岡島:8社とか。

熊谷:そうですね。ちょうど8社今月で上場させていただくんですけど、そういう形で全体のスピードを担保してるということなんですよね。

鉢嶺:グループ会社の上場が8社というのは素晴らしいと思います。ただ、一般的、金融的な概念からすれば「全部IPOせずに100%子会社化したほうが無駄がないのではないの?」って言う人がいると思うのです。それはなぜ……。

熊谷:よく言われます(笑)。要は、僕たちのグループ会社の上場っていうのは「人の力を最大化するための上場」なんですね。確かに純粋に最終利益のことだけ考えると、グループ会社が上場するとその分だけ外部持分比率が高くなって最終利益がマイナスなんですけど、仮にそれが3割マイナスだとしても、3割以上の人や組織のパフォーマンスが上がって稼げれば同じことですよね。

だから全体のスピードとかそういうものを考えて、そういうふうにしてるんですね。

岡島:人材を育てていくみたいなことも考えて。なるほど。

熊谷:よく言われるんですけど、証券コードの検索欄で「住友」「三井」「三菱」と入れると、ちょうどピッタリ各財閥のグループが20社ずつ出てきますよ。ずらずらって。今日現在、20社ずつ。やっぱり日本の産業って、そういうグループ会社の上場の歴史なんですよね。

10年後20年後というスパンで考えると「GMO」って入れていただいたら20社くらい出てきて、それぞれの事業領域で社会にすごく貢献する良い会社になってたらいいなというのが、僕のイメージなんですよ。よく、一般的なことを言われるんですね。「最終利益考えたら、グループ会社の上場なんてしないほうがいいんじゃないですか」って。僕はそんなことないと思うんですよね。

岡島:そこには熊谷さんのフィロソフィーみたいなものが流れている感じはしますよね。

熊谷:僕のフィロソフィーとして「普通と同じことはしない」というのは絶えず考えてて。会社って、帝国データバンクのデータだと5年で7割消えちゃうんですよ。10年で97%くらい消えちゃって、20年保ってる会社はコンマ数パーセントですよ。

だから、普通の会社と同じことやってたら消えるんですよ。普通の会社と違うことやってたほうがよくて、一般的なことをやってたら絶対ダメ。

岡島:そこをブラさずに言い続けられる、信じさせられているというところがすごいですよね。

熊谷:まあ、それは僕の役割分担なので。

岡島:ありがとうございます。


売り上げがゼロのときもあった

岡島悦子氏(以下、岡島):川鍋さんにも伺っていきたいんですが、今おっしゃっていた長く続く会社という意味では、まさに86年やっている会社の家業を継がれた。日本交通さんでの修羅場と、ご自身の成長みたいな話をお願いします。

川鍋一朗氏(以下、川鍋):いちおうIVSなんですけどね(笑)。お2人の話を伺っていて、やっぱりすごくベンチャーだなと思ったんですよ。自分はあんまりそこに苦しみを感じてないというか(笑)。

私の場合は三代目なので、生まれて物心がついてから「継ぐぞ!」と決めて、それから逆算してどうしたらいいかって一生懸命考えたんですよね。

アメリカに行ってビジネススクールでMBA取らなきゃいけないし、その後はコンサルティング会社で働くのが一番良さそうだと。で、レジュメ的には絵を描いたので、小学校から慶応に行ったボンボンの中では、一応一生懸命やったつもりなんですね。

1回も落第してないですし(笑)。我々の仲間はたいてい3人に1人落第してますから。それで日本交通に入ったわけですけど、バブル崩壊後でゴルフ場とか自動車教習所とかホテルとか、いわゆる不良債権がたくさんあって。

体質も古いし、私が入って1ヶ月くらいでバーンとはね返されるわけです。「何、この会社。こんなの知らねえよ」と思って、当時はベンチャーがわっと出てきた時代だったので「俺もベンチャーだ」と勝手に思いまして。

岡島:2000年?

川鍋:2000年に立ち上げるんですね。「日交マイクル」という。

岡島:愛宕グリーンヒルズの下とかに結構ありましたよね。

川鍋:でもそこは私の甘いところで、ベンチャーキャピタルを回ったわけでもなく、父親という名前の下で「ちょっとこれ、やるから」「おお」と言ってそれで終わりなんですね。資金調達も何もなく。ところが、当然上手くいかない。

銀色のミニバンを使って、朝から「グッモーニン!」って英語しゃべれる乗務員を雇って。これ、今でもコンセプト自体は悪くないんですよ。ところが前職がコンサルタントだったんで、いいことをすれば3ヶ月でバーンといくと思って、いきなり50台の車を買って50人雇って、売り上げがゼロのときもあった。

1ヶ月目から2000万円ずつの赤字がずっと出て、1年間で2億100万円かな。結局3年半で閉じたんですけど、累計で4億5000万円。

「返せないものは返せない」と言い切った

岡島:いきなりですよね。

川鍋:いきなり。ベンチャーキャピタルだったら、シードとかもうちょっと段階的になるじゃないですか。「誰か止めてくれたらよかったのに」なんて後で思ったり(笑)。

そこで何を思ったかというと「MBAとかマッキンゼーとか、関係ねえじゃん!」みたいに、つくづく……。かっこいいこと言ってもダラダラ赤字出して、僕の話を聞いてくれる人の目がどんどん「こいつもか」みたいに。

打ちひしがれる感というか、30年間準備してきたらダーンと落とされて。同時に、自分が抱えた負債4億5000万円と、親父が作った1900億円というのが……。

岡島:ケタが違いますよね(笑)。

川鍋:親父のほうが偉かったんです、そういう意味では(笑)。ちょうど小泉政権ができて「構造改革なくして景気回復なし」と唱えて、いきなり銀行からの締め付けが「返せ返せ!」とガッと来て。

そのダブルパンチの5年間というのは一番厳しくて、何が身に付いたかといえば忍耐という話になると思うんですけど。もう「恥ずかしいことはねえ」と。MBAだの何だのそういうことはあんまり関係なくて、とにかく最後は人と人との勝負なんで。

銀行の「金返せ!」って言ってる人に、当時まだ29歳とかでしたけど、「返せないものは返せないんですよ!」と言い切る。

(会場笑)

川鍋:そう言われると、向こうも結構びびったりしてね。こっちはこっちでずっと「日本交通の川鍋さん」と、母親もそう言われてるから。なくなっちゃったらやばいと。「一朗ちゃん頑張って」なんて。

マッキンゼーでは学べないことがリアルで起きた

岡島:銀行からも人が送り込まれてきたりするわけですよね。

川鍋:そうなんですよ。最後のほうの3年間は、銀行から人が3人送られてきましたので。毎日会社に行くと「一朗さん、今バルクで売ったら全部きれいになっちゃいますから、あとは利益を配しましょう。楽になっちゃいましょう」みたいなささやきもあって。

でも、それは直感的に「この人の言うことを信じちゃいけない」っていう。直感だけで戦ってたような気がしますけど、それを通じて銀行の人も……私はエクイティ調達じゃないんでデットなんですけど、銀行の人もちゃんと目を見て話せばわかると。半分以上はわかってくれないんですけど、中にはわかってくれる人もいて、そこから光明が。

ここの銀行が出してくれたから次も出してくれる、と繋がっていく。リースとかも、全部計画を持って回って。10社回れば1社2社は「そこまで言うならちょっと繋ぐよ」とか、それが大事かなと思ったというのがあります。

岡島:時間がかかるところを、ずっとひとつひとつ返していくっていう。

川鍋:まあ、4億5000万円は自分でしたけど1900億円は父親ですから(笑)。「ダメでもしょうがないじゃん」と。

岡島:どこかのファンドに買ってもらおうとか、そういう気持ちになったりしなかったんですか。

川鍋:ないと言えば嘘になるんですけども。実際そういう提案もあって、弱いときにそういうのが来るとちょっとぐらつくんですよね。「いったい自分は何のために戦ってるんだろう?」「もしかしたらファンドになったほうが社員も幸せなんじゃないか」「自分だけのために戦ってるんじゃないか」と。

でも、もしかしたら自分はそれでいいかもしれないけど、母親とか自分の周りは「日本交通の川鍋さん」で生きてきて。エゴイスティックなんですけど、自分の母親がそれがなくなっちゃったら終生復帰できないな、かわいそうじゃんと。人間としての正義はあると勝手に思って、やりましたけど。

岡島:そういう意味では、家業は本当に抜けられないっていうのが大変ですよね。

川鍋:良い面もありますよ。最初から結構大きな会社ですから。でもそのかわり、小さい頃から知ってるような人たちをリストラしたりするわけです。そういう意味では、また別の……。

岡島:マッキンゼーでは絶対に学べないようなことが、リアルで(起きた)。

川鍋:(笑)。最初のうちは「何なんだよ、全然誰も教えてくれなかったな」と思いながらやってましたね。それが少し良くなって成長のステージになったら、マッキンゼーとかMBAで学んだことが大変役に立ってますけど。

修羅場は経験しなかった

岡島:そんなことを思ってるうちに、またUberとかいろいろ……。

川鍋:そこまでいっちゃいます、もう?(笑)

岡島:そういうのが来るんですけど、後ほど戻ってこようと思います(笑)。

岡島:川邊さん、お待たせしました。川邊さんは修羅場はあったんですか?

川邊健太郎氏(以下、川邊):私は何もないです! 楽しく幸せに仕事をしてきましたね。毎日楽しいです。

岡島:「チッ」って熊谷さんは言ってますけど。

川邊:この3人は本当の修羅場がありますよね。特に川鍋さんの話は……僕は2時間じっくり夕飯を食いながら聞いたことがあるんですけど、やばいですよね。私はないです!

川鍋:それがすごい(笑)。

川邊:日本自体はあまり成長しない……。僕も94年にMosaic(インターネット黎明期のWebブラウザ)を自分で触って、20周年なんですよ。日本全体がシュリンクしていく20年でしたけど、インターネットは伸び続けた20年なんで、右肩上がりの高度成長期に仕事ができちゃった金の卵みたいな感じでずっとやってきましたよね。すごく幸せなんですけど、成長してるかもわからないです。

岡島:めちゃめちゃ成長してらっしゃると思いますけど。

川邊:成長してることがあるとすれば、インターネットが伸びていく中で、先ほど熊谷さんがおっしゃっていたような「さらに伸びる挑戦」。困難な課題を達成していく、難しいことに挑戦していくというテーマを持っていたのと、あと周りに働いているのが変態的な人たちが多かったので、それが成長と取れるのかも。

孫正義は考えていることが宇宙人

岡島:そのあたりも聞きたいんですよね。周りにいらっしゃる変態的な、変わった方々からすごく触発されていると思うんですけど、どういう方々が……。

川邊:初期の頃は、電脳隊を一緒にやっていたメンバーですよね。田中祐介であるとか。ヤフーと会社を合併するわけですけど、そこはまず井上(雅博)さんです。たぶんヤフーって、最短で会社の価値を一番大きくした会社だと思うんです。

このお二方(鉢嶺氏・熊谷氏)は相当やりあったと思いますけど。まあ、食えないオジサンじゃないですか。あれを社内でやってると、より食えないわけですよ。ああいう人とやりあって。最近だと孫さんですよね。さらに最近だとニケシュ・アローラというのが来たわけですよ。

岡島:インド出身で、グーグルからソフトバンクに来た。

川邊:そう。あれがまた、強烈なわけですよ。

岡島:ちなみに、どんな感じなんですか。

川邊:やばいですね。やばいばっかり言ってると猪子(寿之)みたいですけど。まあ、頭が異常に良いですよね、みんな。井上さんなんかも数字に対する直感的理解がすごくて、パパパッと計算して「こうだろ、間違ってるだろ」ってなるし、孫さんに至っては宇宙人ですよね、考えてることが。

ニケシュは切れ者で、ある種一番インターネットビジネスのことを……まあ、この10年間のグーグルを仕切ってた人間ですから、すごくピンポイントに痛いところを言ってくるんですよ。

「今、ヤフーってこの数字どうなの」って一番聞かれたくない数字を聞かれて、それを答えると「あー、終わってるね。どーすんの」って言われるわけですよ。それに対して「いや、こうでこうで……」って知的な格闘をグループ内ですごく繰り広げてる感じですよね。それが一番成長になってる。

岡島:やっぱりめちゃくちゃ揉まれますよね。

川邊:揉まれますね。あと、2週間前に孫さんと一緒に中国に行ってきたんです。アリババのジャック・マーに会ってきた。ジャック・マー以下幹部がみんないて、こっちもソフトバンク・ヤフーグループの幹部がいて、相対したんですけど。

アリババは時価総額約30兆円で今をときめく会社ですよ。めちゃくちゃ鼻息が荒いわけですよ。「Yahoo!ショッピングって取り扱いがどれくらいあるの」って聞かれて「○千億円です」みたいな話をすると、「うん? per day?(1日で?) per week?(1週間で?) per month?(1ヶ月で?)」みたいな(笑)。

(会場笑)

岡島:感じ悪すぎますよね(笑)。

川邊:で、下を向きながら「per year(1年で)なんですけど……」。

(会場笑)

川邊:そういうのとやりあわなきゃいけない。皆さんの本物の命がけの苦労とは違うんですけど、その環境の中で生き残んなきゃいけないという。それが成長の源泉でしょうね。あとは高いテーマ。「Yahoo! BBやろう」「ボーダフォン買おう」「共同通信が抜けちゃったけどYahoo!ニュースどうすんだ」とか、いろんなテーマに鍛えられてます。

満足したら終わり

熊谷正寿氏(以下、熊谷):そういう意味では、自分を高めるための課題をどんどん行くといいんだろうね。やっぱり。

川邊:そうそう。環境ですね。

熊谷:満足したら終わりだと。

川邊:満足したら終わりですね。本当に熊谷さんのおっしゃるとおりだと思っていて、常にギャップがあるんですよ。ソフトバンク・ヤフー用語だとギャップを埋めることを「ギャップフィル」っていうんですけど、久々にグループ内の人と会うと「今、何をギャップフィルしてんの?」って必ずそういう話になる。

岡島:ドMな会社ですよね。

川邊:そうそう。何のギャップをお前は埋めてるんだと。そういう話しかしてないわけですよ。そういう環境に身を置けば、皆さんほどの胆力はつかないですけど、少なくとも何かやろうっていう。

岡島:しかも、先ほどの運動でトレッドミルの角度が上がっていくじゃないですけど、どんどん険しい山になっていくってところですよね。

川邊:大変なことになってるわけですよ。だって、営業利益倍って大変ですよ? 一生懸命逆算してやってますけど。そういうのを考えながら、僕の場合は背景が大変なことは正直あんまりないので、高い挑戦を自分から掲げてなんとかやっていく。それをまったくほめてくれない周りのすごい人たちと、またやりあうと。

熊谷:今のお話をお聞きして思うんですけど、「全然苦労がない」って言っちゃうこのポジティブシンキング。これは経営者にとって本当にマストだし、頭の線が1本切れてるみたいな、抜けてるみたいな。

川鍋:やっぱりバカそうじゃないとダメですね。明らかに。

川邊:人生楽しいですよ! 1回しか人生はないですからね。なるべく常にトラックレコード、自己ベストが出るような挑戦をする。健康なうちはね。

インターネット業界に命を捧げている

岡島:皆さんきっとドMなのかもしれないですけど……。IVSも10年やってきて、卒業していってる人たちもいたり、経営者が変わられるみたいなこともあるじゃないですか。それが、飽くなき挑戦をやり続けられるモチベーションの源泉はどこか? ときどき人間だからつらくなったりとか、逃げたくなったりとか、お休みしたくなったりすると思うんですけど、何ですかね。

川邊:僕は「インターネットが大好き」。インターネットが初期の頃に自分が社会人になれて超ラッキーだと思ってるし、今でも大好き。社会を変えるようなものがインターネットを軸にどんどん発明されて……。

岡島:良い時代に生まれましたよね。

熊谷:同じく。

鉢嶺登氏(以下、鉢嶺):本当は、業界の人はみんな好きなんじゃないですか。将来こうなるとか、革命だとかみんな思ってますよね。それはワクワクしてる。

川邊:産業革命が出た頃に生きてたら、それはそれで楽しかったと思いますけど。それ並みの……。

岡島:産業革命の時代でも実は楽しめるっていう(笑)。

川邊:まあね。とにかく、インターネットが大好きっていうのがありますね。

岡島:それが、やっぱり燃やし続けるエンジンになってるのかな。

川邊:(川鍋氏に)どうですか? ファミリービジネスは。

川鍋:インターネットは楽しいですよ、やっぱり(笑)。

(会場笑)

川邊:日本交通のアプリが150万ダウンロード。

川鍋:明らかにスピードが違うんですよね。しかも中身を直しながらできるというのは、感覚としてものすごく新しくて。アプリを始めて4年になるんですけど、これは楽しい。だって数字って普通そんなに出ないですよ? 出ないというか、如実には色々なデータが揃わないんですよね、普通のビジネスって。

岡島:やっぱり、PDCAがわかりやすいですし回しやすい。

川鍋:そうなんですよ。出した途端に如実に顧客からフィードバックが来る状況って、ものすごくモチベートされて。嬉しいのはそれがアプリの評判に留まるもののではなく「タクシーにも及んだぜ、ラッキー!」みたいな(笑)。私の場合、皆さんみたいに「タクシーが大好き!」って言い切れるかというとちょっと(微妙な顔で)「う、うん……」なんですけども。

(会場笑)

岡島:さっきのインタビューでは「タクシー大好き」って言いましたけど(笑)。

川鍋:タクシー、大好きなんですよ? でも、ほら、私の場合はひとつの日本的な家業というか逃げられない道としてあるから。いずれにせよタクシーって、すごくモバイルなんですよ。車が動いてますし、人も動いてますし。「ラッキー!」と思いましたよ、本当に。これでタクシーは相当変わるぞと。

それで、タクシー配車アプリは世界各国で今ボンボン増えているのですが、日本だけなんだか全然反応が薄くて。ウチがやっていますけど、時価総額とかそういうのから離れたところにいて「やばい」と感じます。先輩方にいろいろ教わらないといけないところなんですけどね。

目標を達成した図に癒される

岡島:「インターネット大好き」ということだと、皆さんずっとやっていかれる感じですよね。飽くなき挑戦という。熊谷さんは?

熊谷:そりゃそうですね。命を捧げようと決めてますんで、この業界に。

岡島:(鉢嶺さん)も?

鉢嶺:ワクワクするのは間違いないと思うので、そうでしょうね。ただ、僕は150%で一生頑張れるとは自分でも思っていません。。どこかで息抜きはしたいですし。

岡島:皆さんどうしてるんですか? インターネット大好きはよくわかったんですけど、人間なのでぶっちゃけ心が折れたりすることもあるんじゃないかなと。まあ熊谷さんはスポーツ(で癒される)……?

熊谷:先ほどおっしゃった「数字がすべてを癒す」ということに加えて、周りに関わるお客さんだったり仲間たちだったり、あと株主さんも含めてなんだけど、「笑顔」と「数字」が心を癒しますよね。みんなハッピーでいてくれる図と、目標をきちんと達成してる図とで、安らぎを覚えますよね。

岡島:鉢嶺さんどうですか? 心が折れることはないんですか。

鉢嶺:いや、あるんじゃないかな。

岡島:どうしてるんですか?

鉢嶺:どうなんでしょう?。40歳までは僕は会社のことが頭の90%以上を占めてたと思います。「会社をどうやって大きくするんだ」ってことばかり考えていたけど、40歳くらいを境に「人生をどう謳歌するか」という視点は入ってきたと思います。

仕事も大きくしたいし、プライベートや家庭を含めて自分の人生をどう充実させるのかって視点は、あると思いますね。

岡島:川邊さんどうですかね。釣りとか、狩りとか、そっちも楽しんでるような気がするんですけど、心が折れたときにどうしてるのかって……折れないんですね?

川邊:心が折れたことはないですけど、まあ息抜きはしてますよ。趣味がいっぱいあるんで、そういうことをしながらボケーッと何も考えないということはありますよね。


仲間がいればなんでもできる「ONE PIECE経営」

岡島悦子氏(以下、岡島):いま伺っていると、もちろんインターネットっていう素晴らしい時代で皆さんやってらしてワクワクする、ここでチャレンジしなくてどうするというのはわかるんですけど、ただ長いゲームなんで……。

川邊健太郎氏(以下、川邊):あと、仲間がいるかどうかは重要かもしれない。すごい挫折があったりひどい目にあったときに笑ってくれる「大変な目にあったね! なんでそんな目にあっちゃったの!」とか言ってくれる仲間がいて、話してゲラゲラ笑えるのが大事。それは家族でもいいんですよ、もちろん。それがいないとキツいかもしれないですね。

岡島:そういう意味では、ドリームチームみたいにヤフーにたくさん良い人が戻ってきたりとか、一緒にやってる仲間もいらっしゃるし。

川邊:そうですね。ONE PIECE経営と思ってやってますから、仲間がいればなんでもできるという気がしますけどね。

岡島:ありがとうございます。そういう意味では、皆さんの中ではご自身の成長と企業の成長ということでいうと課題感「ここからどうしようかな」とか「自分の成長が心配だな」みたいなことはあんまりないですかね。なさそうな感じ?

川鍋一朗氏(以下、川鍋):私はすごくありますけど(笑)。とにかくいまタクシーアプリを始めてから、86年間顔見知りの相手を敵として戦ってたら、いきなり黒船がやってきた……「Uberが来た!」みたいな、全然次元の違う戦いを強いられているんですよね。やっぱりスピード感も違うし、当然時価総額もそうだけど、お金を使う感覚が全然違って。

そこに対して、どのくらいの戦力を注いでどう戦っていくのかを常に考えてる。自分の戦略として元々なかったですからね。いま必死になってソフトウェアエンジニア、ハードウェアエンジニアとか募集して、そっちの領域での戦い方を確立しつつある最中なんですよ。

これはここにいる皆さんに教えてもらいたいくらいで、まったく私も経験がなくて。まだ4年しかやっていないんで、これは全然異次元ですね。

そういう意味では、自分的にはちょっとうれしいんですよ。14年間タクシーをやってきて「もうタクシーはちょっと……」(笑)。来る日も来る日も同じ課題なんですよね。「新しいのが出てきた、よしサンフランシスコ見に行くぞ」とか、こないだも「ロンドン見に行くぞ」とか、うれしいなと思ったり(笑)。

でも、そこで見て如実に「ちょっとアプリ見せてください。あっ、Hailo入ってる」とか「どうやって使ってます?」「これとこれを使い分けてるよ」とか「そういうプロポジションなんだ」とか、そういうところをすぐにウチに帰ってエンジニアに「こうなってたから、もうちょっとこうやろうよ」って。

川邊:完全にネット企業ですよね。

川鍋:(笑)。自分としては新たな局面に入って楽しくて、ワクワクしてますけどね。IVSに来ました。それで。

川邊:初参加。ネット企業。

岡島:本当にウェルカムな感じで(笑)。ついにやってきました。

川鍋:よろしくお願いします。皆さん、絶賛募集中ですので(笑)。

岡島:仲間も集うみたいな感じですね。

学生時代、部下が40万人いたアリババのジャック・マー

川邊:成長の課題は常に感じますよね。会社の課題はサービスが本当に生き残っていけるのかということと、ユーザーに対しては良いソリューションを提供できるのか。競合に対しては……次から次に出てくるじゃないですか。今日のIVSだって。

そういうのにちゃんと勝っていけるのかという。それをやり切るのは結局経営者の力なんで、自分がそれに対して成長できるのか常に考えますよね。まともな答えはダメですか?

岡島:期待していた以上にまともな答えだったんで、どうしようかなと(笑)。課題があるから燃えてやっていくっていう、さっきのギャップフィルみたいな話なんでしょうけど。

川邊:そうですね。あとインターネットはグローバルで、海外が本当に規模を活かしてやってくるんで、そういうのとどう戦うか。ヤフーは非常に特殊な要因も含めて悩ましいですね。アリババとかは次元が違うんですよ。規模も何もかも。ああいうのとどう戦っていくか。戦うためには経営者にならなきゃいけない。

岡島:どんなすごさなんですか? ジャック・マーは。

川邊:顔がやばいですよね、ジャック・マー。

(会場笑)

岡島:いやいやいや(笑)。

川邊:なんかやっぱり、思わず見ちゃうような顔をしてますよね。

川鍋:具がつまってる感じで。

岡島:脳みそがつまってて、脳にしわがいっぱいあるだろうなって感じは確かに。

川邊:昔、孫さんが「ジャック・マーというのはすごいやつなんだよ」「何がすごいんですか?」「あいつ、学生のときに部下が40万人いたんだよ」って言うんですよ。

岡島:40万人!?

川邊:「どういう意味ですか?」って聞くじゃないですか。「あいつは学生運動やってて、そのときの部下が40万人いたんだ。40万人、学生の頃からマネジメントできるやつなんだ」って。まあアリババについては、規模もビジネスモデルもスピード感も何もかもケタ違いですね。

上場するまでみんなわかってなかっただけで、出資してたソフトバンクはわかってたんですけど。アマゾンとかあんまり見てないんですよ。そういう新鮮な情報が入ってくるから、触発されてもっとやらなきゃと思って。

先ほどから説明しているポジティブな、気楽な、楽観的なフィードバックループになってるんですけどね。僕の場合は。

IVSに登壇する経営者は「ドM」

岡島:ありがとうございます。皆さんのご質問に移る前にもう1個だけ聞いておきたいのが、IVSにいらしている経営者の方たち……私も200人くらいの方からいろんな相談を受けてるんですけど、2種類の人がいて。

「やってもやっても楽しくて」と言ってる、ある意味ドM的な方と、だんだん人にやってもらう、分散していったときに「姉さん、そろそろ私自身は何をやったらいいかわからなくなってきました」という、経営のトップとして何が自分の役割なのかよくわからなくなってきちゃったタイプの人も結構いるんですよ。

いま皆さんが見えてる世界観の中から、それぞれ時間はどうやって使っていて、日頃は何をやっているのかをちょっとだけ教えていただいていいですか? 熊谷さんから伺いたいんですけど。

熊谷正寿氏(以下、熊谷):時間をどうやって使ってるか?

岡島:時間の配分……マインドセットでもいいんですけど、実質的にやってらっしゃることは、たぶん経営会議に出ているとか、意思決定をしているとかがあると思うんですけど、一方ではサブリミナルに考えてらっしゃることもあると思うので、意識として時間をどういうふうに使ってるのか。

(音声トラブルが起きる。「地声でいきましょう」の声)

熊谷:ワー。聞こえますか? 大丈夫ですか?

(会場笑)

岡島:良い声(笑)。

熊谷:僕は時間の使い方に結構こだわりを持っていて、同じ質のものを同じ時間にやると心がけてるんです。例えば「会議の時間」「メール処理する時間帯」「人と会う時間帯」という感じですね。自分で足りてないと思うのが、新しい情報を吸収する時間と、それを頭の中で発酵させる時間で、そこは経営者としてもうちょっと……。

(音声が戻る)

熊谷:聞こえました?

岡島:もう1回ちょっと言っときますか。

アイデアを発酵させる時間がほしい

熊谷:わかりました。時間の使い方は結構こだわっていろいろ考えてるんですけど……まあ考えてもあんまり変わらないと思うんですけどね。まあこだわってまして、まずは同じ質のものを同じ時間帯にぎゅうぎゅう詰めにしてやってるという。

岡島:生産性をすごく上げるみたいなことがおありですよね。

熊谷:はい。やっぱりAのことやってBのことやってCのことやってとなると、立ち上げに時間がかかるじゃないですか。

そこを排除したくて、例えば人に電話するときは「電話する時間」、メール処理するときは「メール処理する時間」、ミーティングのときは「ミーティングの時間」というような形で、それぞれを効率的にやるようにしてるんですね。

いま経営者としてそういうふうにはやってるものの、自分では足りない感をすごく持ってまして。何が足りないかっていうと、新しいことを吸収する時間と、それを寝かす時間だと思ってます。考えるよりもどちらかというと「寝かす」「発酵させる」時間が足りないと思ってて、そこは何とかしたい自分の課題でもあります。

岡島:発酵させる時間というのは、(熊谷さんは)どんどん着手されるというか、わりと早めに実行に入られるようになっていくから、ご自身で不足していると……。

(再び音声トラブル)

熊谷:ほらきた。

岡島:地声といったりきたり。

熊谷:僕はEvernoteの愛用者なんですが、弊害が出てて。Evernoteに打ち込むじゃないですか。そのまま、情報に触れることがないんですよ。みんなメールでバンバン送りつけて、そのまんまという。

昔はスクラップしてたじゃないですか。スクラップって、ペンで(枠線を)引いて、カットして、そのカットをするときに読んで、台紙に貼るときに読んで、ファイリングするときに読んでって、1つの情報で4回くらい目にする。

鉢嶺登氏(以下、鉢嶺):頭の認識が違う。

熊谷:そうそう。

(音声が戻る)

岡島:音声きたかも。

熊谷:昔はひとつの情報で、それがファイリングされるまでに4回くらい目にしたので、頭の中でアイデアとして発酵したんですね。最近はEvernoteにどんどんぶち込んじゃってて、接触頻度が1回になっちゃって発酵しないんです。それが、ちょっとだけいけないなと自分で思ってることですね。

岡島:他の方々はどうですか? 川鍋さんどうぞ。

川鍋:それぞれだと思うんですけど、私が最近やらなければと思ってやってるのが、週の中で運動の時間と回復の時間を担保するということ(笑)。運動の時間を入れ、そして回復のためにマッサージと週1回鍼を入れるとか。

これをまずブロックしないと、永遠になくなってしまうと思いますね。いま風邪をひいたりしてるんですけど、それでだいぶ良くなったりして。

なぜかというと、人の意識の移り変わりのグラフを見たときに、40代以降は自分の健康のマインドシェアが上がってくるんですよ。ここをケアしていかないと経営にも影響が出るな、これを先にやっておかねばというのが最初にきますよね。

それと、いまは東京のタクシー協会の会長もやらせてもらってるので、これに実質3割くらい取られて。取られてっていうのも失礼なんですけども。業界を引っ張るというのは大変で、何度もやめたいと思うんですけど(笑)、これをやりつつ自社の経営もしています。

岡島:それも回り回って、またご自分の仕事のところに戻ってくるからという。

川鍋:そう信じてます。信じてやらないとやってられないというか。詳しくはまた別途(笑)。

チームのズレを整えることでうまくいく

川邊:僕は経営者として質的な転換があったとすれば、たったの一度しかなくて。その前までは、自分でサービスを作るのが大好きだったわけですよ。

細かいところまで含めて全部自分でやって、ユーザーの反応を見て「ああ楽しい。これがインターネットだよね」と思ってたんですけど、GyaOの社長やって、その後ヤフーの副社長になったあたりから、それで規模を出していこうと。

そういうふうに質的に切り替わったんですね。最初は嫌だったんですけど、だんだんそっちが楽しくなってきて。今はそういうふうに切り替わってるので。

なるべく具体のことよりかはそれをやる人たちのケアであるとか、組織で上手く流れていない問題を解決することが多いんですけど、そっちに時間を充てる。

岡島:池の水の環境整備みたいな話ですかね。

川邊:そうですね。あと人材開発ですね。これになるべく時間を充てるようにしてますね。

岡島:徹底的に環境整備をするっていう。

川邊:そうですね。そう変われたのが、この数年の自分にとって最大のマイレボリューションで。そんなもん、絶対に楽しくないと思ってたんですよ。

岡島:何で変われたんですかね。そこの葛藤がある経営者は結構たくさんいて。

川邊:「もう無理」と思ったんですね。GyaOの赤字が半端なくて、最初の半年くらいは自分で引っ張って、なんとか黒字にしようと思ってやってたんですけど、もう無理だと思った。USENから来た人もヤフーから来た人も優秀なやつはいっぱいいるから、すがるような思いでやってみたみたいな(笑)。

やると、異才のあるやつも微妙な人間関係とかチームのズレで上手くいかないこととかもあるので、それを整えるとフッと上手くいったりする。「なんかマネージメントってすごいな」と思って。

ヤフーの副社長になったらそれが5000人になったんで、それをやるとすごい効果が出てくるわけですよ。昔は嫉妬して「俺がやるほうが絶対上手くできる」とか思ってたんですけど、最近は……。

今日は珍しく何人かヤフーの人間が来ていますけど、そいつがすごい成果を出してくれるほうが「あー嬉しい」となってくる。それが、唯一の今日僕が語れる成長なんで。それにとにかく時間を費やす。

岡島:良い話ですね。

川邊:ありがとうございます。

岡島:鉢嶺さん、時間を何に使ってます?

鉢嶺:時間というよりも、僕の中で1番大事な仕事は、大きな夢とか目標とかビジョンを設定して、それを鼓舞し続けることだと思っています。だから自分の中でまず腹落ちさせなきゃいけないし、心底「これやろうぜ、やったほうが世の中いいじゃん、意義あるじゃん」ということを、腹落ちさせた上でみんなに言いまくる。

そうすると、それに賛同してくれる人がだんだん増えてくると思っています。それだけかもしれないですね。

GMOの社歌は小室哲哉氏が作曲した

岡島:歩くDNAみたいな感じですよね。ビジョンを語っていくっていう。最後はそれに尽きるのかなと。熊谷さんが大きくうなずいておられますが。

熊谷:経営者として1番時間を割かなきゃいけないのは、夢・ビジョン・フィロソフィを組織に定着させて、イズムに昇華させるまで浸透させるということで、鉢嶺さんがおっしゃったことはまったく間違ってないと思います。それが経営者として1番大事なところで、そこをなくして組織の成長、人の成長はないですよね。

岡島:よくおっしゃっている「制度に落としていくこと」もすごく大事なんだろうけれど、運用のところは文化で担保されているというところですよね。

熊谷:夢・ビジョン・フィロソフィというのをきちんと定着させるためには仕組み作りが大事で、何回か前のIVSでもお話ししたと思うんですけど、ウチはいくつかの仕組みを作って定着を図ろうとしていますね。

川鍋:社歌も。

熊谷:そうなんですよ(笑)。小室哲哉さんにご相談したら社歌を作ってくださったんで。国歌みたいな社歌を作ってくださって、1月の新年会のときに発表しようと思ってるんですけど。

岡島:メロディラインができたんですか?

熊谷:そうです。社歌の歌詞は数年後に入れようと思ってるんですけどね。

川邊:こういう、GMOさんの話が大好きなんですよ。もっといろいろ聞かせてほしいんですよ。

熊谷:(笑)。

岡島:私も大好き。

社歌の歌詞は数年かけて作っていく

川邊:これから歌詞を入れるのに4年くらいかけるんでしょ?

熊谷:そうですね。歌詞を入れたらこれからずっと残ってきますから、まずはメロディラインを……。

川邊:普通逆じゃないですか(笑)? 普通、社歌って歌詞が大事じゃないですか。

熊谷:まずはメロディラインから。

川鍋:その間はどうやるんですか? みんな鼻歌なんですか。「フンフフン~♪」って。

熊谷:いやいや。僕の考えをお話しして小室さんが作曲してくださって、こないだハリウッドで映画の音楽を演奏してるオーケストラをチャーターして、音入れを行ったんです。

川邊:僕、世界中のネット企業をいっぱい知ってますけど、社歌があるのはGMOだけだと思いますよ、絶対。

岡島:しかも、これから言葉は4年……?

熊谷:まあ、数年間かけてどういう歌詞にするかを考えていきますね。

川邊:素晴らしいですね! 尊敬します。

(会場笑)

熊谷:曲のタイトルは「Internet for everyone」。

(会場笑)

岡島:インターネット・フォー・エヴリワン……。

熊谷:1995年から、僕らは「すべての人にインターネットを」というのを会社のフィロソフィー・キャッチコピーとして20年言ってるんで。Internet of Thingsの時代になって、やっと時代が追いついてきてくれたなと思って。

川邊:GMOの株主総会は、そういう熊谷さんの話がいっぱい聞けるんですか?

岡島:でも、これが1番長く続く感じですよね。

熊谷:よく僕が言うんですけど……。会社って金剛組(社寺建築で世界最古の会社として知られる会社)は約1400年ですけど、通常の会社は20~30年続いたら長いほうですよね。

昔、日本経済新聞かなんかで『会社の寿命』という本がベストセラーになりましたけど。実際には5年で7割なくなるので、そういう意味では長く続く組織にいろいろ学んだほうがいいと思って。その中のひとつが、みんなで美しいメロディライン、感動的なメロディラインを共有するという(笑)。

岡島:素晴らしいです。ありがとうございます。

熊谷:ぜひ一度聴いてください。今ビデオ作ってますんで。

ワークスタイルに身近なものほど反対される

岡島悦子氏(以下、岡島):ではご質問を会場のほうからお受けしたいと思います。ご質問がある方、ぜひお願いいたします。企業の成長と経営者の成長というテーマです。お願いします。

質問者:FiNCの溝口です。本日は、大変学びのあるお話をありがとうございました。僕から皆さんに質問したいのは、経営者になって上に上がれば上がるほど実際に孤独が深まって、理解してくれる人が少なくなるって聞きますけど。

皆さんが下した今までの意思決定の中で、仲間や社員に最も理解してもらえなかったものは何かをお伺いしたいと思いました。

川邊健太郎氏(以下、川邊):経営ってそういうのあるよねって話なんですけど、今起きてまして。2016年にオフィスを引っ越すんですよ。引っ越し隊長なので、パーテーションをなくそうと思ってます。

オープンイノベーションというか、イノベーティブにするためにはもっとコミュニケーションを増やさなきゃいけなくて、今のパーテーションというのは、ちょっと前のシリコンバレーのトレンドじゃないですか。それを変えなきゃいけないんです。

岡島:やるまでがって感じですよね。

鉢嶺登氏(以下、鉢嶺):当社もフリーアドレスにしたときにかなり反対でしたけど、いまは全くOKです。

川鍋一朗氏(以下、川鍋):だから言うわけじゃないですけど、ウチも赤坂の自社ビルを全部売り払って、品川の借地というか、大井競馬場の脇にある営業所の中に本社機能を移したときに一番反対があって。特に財務部から明確に書面で反対が出てきた。

「我々は赤坂に残ります」って。「もし3時の振込の時間に振り込めなくて、資金がショートしたら社長は責任が取れるんですか?」って言われて。

川邊:すごい話ですね。

川鍋:まだ29歳だったので一瞬びびって「そんなことあるのかな」と思って。でも、某先輩経営者に相談したら「やれ」って言われて、やったらもちろん何のことはない、大丈夫なんですけど(笑)。

川邊:やっぱり生活に身近というか、仕事のワークスタイルに身近なものほど反対されちゃいますね。

川鍋:いえ、意外と本質だと思いますよ。袖机を取るのが一番反対を受けるみたいな、そういうことはありますよね。

岡島:ありがとうございます。もっとこの話を聞きたいんですけど、もう1問くらいいきましょうか。お願いします。

拡大戦略よりも大事にすべきこと

質問者:楽天の北川です。拡大戦略について、実はお聞きしたくて。もちろん皆さん株式会社・大企業の戦略としては成長していく、売り上げを伸ばしていくというのは基本的な方針だと思います。

例えば川邊さんはグローバルを考えたときに特殊な需要があるだとか、皆さんそれぞれ哲学的な観点から「拡大戦略なのか」と……。

「株主にお金を返すのが本当にすべての会社の目的なのか」みたいな感じで考え直されたことがあったか、また拡大戦略よりも大事にすることを考えられたことがあったか、そういうのがあれば教えていただきたいなと思います。

拡大戦略なら、インターネットであれば当然アメリカを取っていかなきゃいけないし、これから伸びていく中部を取っていかないといけないだとか、そういう観点で皆さんどう思われてるんだろうなと。ちょっとお聞きしたいです。

川鍋:一番差し障りがなさそうなタクシーから(笑)。でもタクシーも、ウチは東京なんですけど基本はどんどん全国展開しなきゃいけないという点では、そうであると思います。タクシーのサービスは絶対海外に輸出できるぞと思ってまして。

海外のタクシーは個人タクシーが多くて、あまり質は求められていません。でも本当にそうなのかって突き詰めていくと、やはりどうせなら良いサービス受けたほうが気持ちよく移動できるわけで。

日本のおもてなしサービスの輸出というのを今ものすごく意識していて、そうすると海外での売上案件もいっぱいあって。

ただ、いきなり海外に行ってウチがやってるみたいに「社是の唱和」とか朝から大声出してやるような日本のスタイルだと時間がかかるなと思っているので、日本のサービスをビデオとか音声認識とかでちゃんと数値化して、プロセスを再現できるかどうかというのを作り込んでから出て行くべきかなと考えています。

それはソフト・ハードとかいろいろ必要なのですが。そういうのをタクシーはやります。ビッグデータにも支えていただいて。よろしくお願いします。

営業利益はユーザー評価の現われ

川邊:営業利益っていうのは、便利に使ってくださったユーザーの評価の表れだと思ってるんですね。営業利益が拡大すればするほど、使ってくださっているユーザーの評価、課題解決が増えてるんだと思ってます。これはどんなビジネスでもそうかなと。

インターネットというのが関わると、インターネットのテクノロジーでより自由にしたり、利便性を高めたり、フラットにしたり、貧富の差をなくしたりしていってるわけで。

営業利益を拡大すればするほど、世界を便利にしたり刷新していっていることなんだと思って、だから拡大させようと。世界をデジタルとか情報という力でより変えていこうというのが、すなわち拡大だと思ってやっているつもりです。

熊谷正寿氏(以下、熊谷):北川さんのご質問は、拡大戦略を話せばいい?

質問者:むしろ、そうじゃないと思ったことはおありになるのかというのが、少し……。

熊谷:なるほど。北川さんね、僕は「拡大は結果でしかない」と思っていて。良いサービスを作ったり、良いプロダクトを投入してお客様にご支持いただいた結果として、売上もマーケットシェアも利益も拡大していくという考え方なんですね。

海外マーケットという話も起業家同士ではよく出てくるんですけど、日本で一番じゃないものを海外に持っていっても一番にはなれないので。

例えば、日本語圏と英語圏で14.6倍くらい人口が違うんですよ。だとすると自分と同じくらいの起業家が14.6人いると思ったほうがよくて、そんなところに一番じゃないサービスを持っていって勝てるわけがないんです。

だからやっぱり拡大は結果であって、それを目標にしてはいけないのではないかなというのが僕の……もちろん高い目標。夢を持つことは大事なんですけど、ここ(目標)ありきじゃなくて、ここは結果と思ったほうがいいと思うんだよね。

それが、自分の拡大に関する考え方とか心構えです。北川さん、よろしかったでしょうか。

質問者:ありがとうございます。

鉢嶺:いま答えが出てしまったのですが……僕は会社が大きければいいというものではないと思っています。それは結局、社長が「どういう会社を作りたいのか」に尽きると思うのです。

10人の少数精鋭で会社を作りたいというのであれば、それでもいいと思います。世の中によく「社員が幸せな会社の……」といった本が出てますが、ああいう会社は基本的に150人未満の会社が圧倒的に多いのではないかと思います。

それくらいの社員数で、とにかく「社員の満足度最優先の会社」を作りたいというのであればそうすればいいと思います。ここにいらっしゃる方々やネット系の企業の人たちは、たぶん「ネットは革命だから世の中を変えたい」「新産業を生み出したい」という思いがあるのではないでしょうか。

そうなると、結果として規模が大きくなければできないのではないでしょうか。僕はそういうくらいの思いで、結果としてやりたいという……最後は社長の意志だと思います。

岡島:ありがとうございます。もう1問だけ、もしあれば。そうでなければコメントを一言ずつ言っていただいて終わりにしたいと思うんですが。後ろのほう、手が挙がってますか。少し簡潔にお願いします。

自分自身はやらないで社員に任せる

質問者:チケットストリートの山本と申します。僕はいつも、熊谷さんに悩みを質問させていただいています。今ちょうど会社の規模が30人弱くらいになりまして、前回に「意志のブレに対してどうすればいいか」と聞いたら「ミッションを唱和しましょう」というお話をいただいたんですけども。

組織の成長に対して、僕の成長がちょっと今ついてきてないなと思っているところがあって。

先日優秀なマネージャーの評価をしていて、僕が「こういう方針で半期はやりましょう」という話をしたときに、マネージャーから「山本さんは僕にどんなメンタリングをしてくれるんですか」という話があって「まあそうなるよね」と。

レイヤーが増えていくにつれてどうやって引っ張っていったらいいかというところで、少し成長がついてきてないのかなと思っていて。

例えばスピーカーの方々の中で、組織の成長とか社会的なあり方に対して、自分の成長がついてってないなというのがもし経験としてあったらお聞かせいただきたいんですけども。

熊谷:じゃあ、ご指名いただいた僕から答えますね。どうぞお掛けください。まず「自分が成長しないと組織が成長しない」んですよ、確かに。

だけども、知識・行動量・発想、すべてが関わる仲間より上をいってないといけないかというと、スーパーマンじゃないからそんなことは絶対無理なんですよ。

今ウチは4100人くらい仲間がいるんだけど、4100人より僕がすべてを知ってるというのは無理なんです。つまり組織を作っていく以上、自分は組織がきちんと回る仕組みを作ることに全力を投じるべきだし。

自分がやると遠慮しちゃう人がいっぱい出てくるから、自分自身はむしろやらないで任せるというスタイルをとることがとても大事なんだと思うんですよ。

そうすると、自分の成長が追いつかないということよりも、仕組みを作るということに自分の頭を割けるようになってくるから。

関わるスタッフに誇りを持たせる

熊谷:で、どういう仕組みを作ったらいいかというと「自走式の組織」を作るというのがポイントで、それには3つのキーワードがあるんですね。会社が自走式になる3つのキーワード。

1つ目は「ほめること」。心の底から本当に感謝の気持ちを持って、ほめるべき場面でほめること。お世辞を言うことじゃないのね。本当に感謝すべき場面でほめること。

2番目のキーワードは「叱ること」。叱るっていうのは怒鳴るんじゃなくて、怒るんじゃなくて、成長を願って心の底から叱ること。成長を願う叱り。

これが2番目。一番大事なのは何かっていうと、経営者がやるべき一番大事な仕事というのは「関わるスタッフに誇りを持たせること」なんですよ。自分自身が誇りを持っていると、その人は放置しといても自走式でずっとお仕事ができるようになるんですね。

例えばウチのドメインを販売しているチームがいるんですけど、そのチームに「ドメインを売っている」ということを言ったことは一度もないんですよ。

「あなたたちはインターネットの情報を増やすお手伝いをしている」という説明の仕方をしてるんです。「ドメインを売っている」と言われるのと「インターネットの情報を増やす手伝いをしている」と言われるのでは、同じアクションでも考え方、見方によって全然違うわけですよ。

一橋の米倉(誠一郎)先生に教わったことがあって、そこからヒントを得てるんですけど、米倉先生は僕にこんな話をしてくれたんですね。「夏のすごく暑いとき、教会の前に2人の男がいた。1人に『このクソ暑いのに何を作ってるんですか?』と質問した。すると『あんた、このクソ暑いのに石を削ってるんだよ。見りゃわかるだろ』と答えた。

もう1人に同じ質問をしたら『暑いですけど、聖マリアの像を作ってるんです。多くの方の笑顔を見るために』と答えた」ということです。同じ行動でも見方・言い方・考え方によってまったく違って、自分の仕事の本当の意味を教えてあげることによって、誇りを持ってもらう。ほめて、叱って、誇りを持ってもらって自走式にする。

そうすることによって、まさに組織は自分の能力をはるかに越えて動き出すんですよね。たぶんこれが経営者として一番やらなきゃいけないことで、山本さんにおすすめしたいと思います。

(質問に対して)回答はドンピシャじゃないと思うけど、今回のメッセージということでぜひお持ち帰りいただけたらと思います。よろしかったでしょうか?

質問者:ありがとうございます。頑張ります。

岡島:ありがとうございます。ラスト1~2分ございまして、最後にコメントを一言ずついただければと思うんですが。川邊さんからいかがでしょうか。

適切なタイミングで適切な質問、問いかけをする

川邊:今の熊谷さんの話、非の打ちどころがない、そのとおりなんですけど、自分自身が思ってることを言うと、先ほど挙げられた3つに加えて「適切なタイミングで適切な質問、問いかけをしてあげる」これがもう1個重要かなと。

経営者が全部知ってるわけじゃないですから、答えを知らなくてもいいんですよ。答えは問われているほうにあるわけです。でも問うことはできるので、その人その人を見て適切なタイミングで適切な問いかけをしていく。

そういう経営者に自分もなりたいし……。この数年の最大の自分の成長は(それまで)「答えを得よう」ってずっとしてたんですけど、問いかけをして答えられそうなやつを見出して育てていくというのに軸足を移せたということだったんです。

岡島:ヤフーとしてもティーチングからコーチングメインみたいなことに。

川邊:そうそう、切り替えた。まあ最後は経営者のビジョンとかが重要なんですけど、そういうふうに切り替えたのがこの数年の経営者としての最大のシフトチェンジだったんで、何かの参考にしていただければなと思います。ありがとうございました。

岡島:鉢嶺さん、最後に一言コメントを。

鉢嶺:今日登壇されてる方もそうだと思うのですけど……。ギャップという話が出ましたけど、現時点での成長に誰も満足していないと思いますし、僕なんかも会社の業績的にはまったく成長できていません。

逆にここにいること自体が恥ずかしいですが……。ここにいるみんなも成長を目指されていると思います。みんなで頑張り、また次の時代の新しい産業を興すということで、一緒に頑張りたいなと思ってます。ありがとうございます。

岡島:ありがとうございます。川鍋さん。

リアルのサービスがネットによって変わっていく

川鍋:帰りは「全国タクシー配車」アプリを使って乗って帰ってください(笑)。意外とインターネット周りの方々って、その方々だけで集い、その方々だけで話し……というケースが多いと思うんですね。

熊谷社長が「これからだ」っておっしゃったのは、今後おそらくネットだけで完結しないリアルな、例えばタクシーとかがインターネットによって生まれ変わっていく。お客様の体験が変わっていくフェーズに入っていくと思うんですね。

そういうときにやっぱり外の世界を知ってほしい。外の世界はみんなそんなにポジティブじゃないし、そんなに速くないし、みんなもう少しウジウジしてるし。

いろんなしがらみがあるっていうのをひとつ飲み込んだ上でアクションをとっていただくと、世界が変わるスピードもより速くなるのではないかなと思うんですよね。

「世界を変える!」って言いながら「世界変える軍団」が「オーッ!」ってやって、ひとたび外に行っても、ネクタイ締めてる間にTシャツで入っていくみたいな(笑)。

それはそれでいいのですが……例えば、当社も4年前にアプリを始める前は、いきなりTシャツで来られるとそれだけで「おいおい、Tシャツの人が来たぞ」って。

川邊:受け入れられないですよね。

川鍋:86年やってる企業としては、まずそこで「うおっ」って。4年経った今はTシャツの人が来ても普通になって、ようやくこちらも変わりましたが。

そういうギャップがあるということを、少なくとも頭のどこかで理解して行動したほうが、世の中が変わるスピードが速くなると思うのですよ。

すごくもったいないのは、カルチャーにすごくギャップがあって、どちらもなかなかスタイルを崩さないで結局「よくわかんないよ」って両側が終わってしまうことですね。

そうじゃなくて、真ん中あたりにグワッと広がる大地があって、そこに誰が手を突っ込んでいけるかだと思うんですよね。

岡島:最後、熊谷さん、お願いします。

熊谷:IVSは毎回拡大して、皆さんここでたくさん情報交換させていただいて。IVSの運営チームの皆さんに……高いところからすいません、改めまして感謝したいと思います。本当にありがとうございます。呼んでいただいてありがとうございます。

(会場拍手)

岡島:ありがとうございます。ちょっと時間をオーバーしてしまいましたが「企業の成長と経営者の成長」ということで非常に本質的かつリアルなお話を伺うことができました。

素晴らしい話を伺わせていただきましたので、大きな拍手を4人のパネリストの方々にお送りください。ありがとうございました。

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