少し残念な記事が新聞に掲載されていました。リソースは共同通信社。
下記ご紹介します。
厚労省、「保険料逃れ」を是正 賞与分割で企業負担減
厚生年金と健康保険にかかる社会保険料の負担を軽くするため、一部企業が賞与(ボーナス)を分割し月々の「手当」として支給する手法を導入していたことが6日、厚生労働省などへの取材で分かった。
違法ではないが、制度の隙間を突いた「保険料逃れ」と厚労省は見ており、抜け道を防ごうと保険料算定のルールを見直し、全国の健康保険組合などに通知した。
サラリーマンの保険料は、給与と賞与にそれぞれ一定の保険料率をかけた額を、従業員と企業が原則的に半分ずつ負担している。
保険料逃れをすると企業の支出は減る。(共同通信)
私共のような仕事をしていますと、こういう話があることはよく聞きます。
社会保険料が高い!!
私らもらわれへんのに支払うと損や!!
そんな話をよく聞きますが、気持ちはよくわかります。
数年前からの年金問題や、最近でも個人情報の流出など、担当官庁をなかなか信用しがたい状況が続いているため、このような事を感じる心情はとても理解できますが、その事と、このような形で保険料を逃れるということは別問題かと思います。
何事も、許容範囲というものがあり、その範囲の中で、可能な限りの努力を尽くすことはビジネスにおいて大切なことですので、合法の範囲の中でこのような事を考えることを全て否定するつもりはありませんし、熾烈な競争を戦うビジネスにおいて綺麗ごとばかりを言うつもりもありません。
ただ、社会保険料というのはそもそも、儲ける儲けないの対象範囲外の事で、国が従業員の為に用意した社会保障制度の一環である事を考えると、この部分で「儲ける」という発想はあまりふさわしくないような気がします。
「何に使われるかわからん」「支払うの無駄や」「一方的に保険料が引き上げられて納得できん」というような様々なこの制度に対する心情は、何度も申し上げますように非常に共感する部分はあるものの、決められたルールをきっちり守って正しいビジネスをするからこそ、その企業に未来が生れるのではないかと考えています。
この手の話、いろいろ取り組んでいるケースのお話を聴くことがありますが、歪(いびつ)な事をすると、その歪(ゆが)みがだんだん大きくなり、結局は息づまる結果になることは自明の理ですので、私はこのようなお話の希望を聴いた場合は、その方に長期の観点で見て経営に有利になる事は何かを粘り強く説明します。(聡明な方は、きっちり話をすれば理解されます)
今回のケースでも同様の事が言えると思います。
いかに、合法の範囲であるといっても、本来の法の趣旨から考えれば歪な取扱い(通常では発生しない状況)なのですから、いずれおかしな部分は改められるのは当然です。
そうすると、このようなスキームに頼って、それを常態としていた企業が一度楽していたものを元の状態に戻す労力は、それまでに得た利益の何倍もの労力が必要になるかもしれません。(従業員の方の不信も募るでしょう)
また、現状維持を続けようとすれば、今度こそいよいよ脱法に手を染めてしまう可能性もあり・・・
その様な非常に髙いリスクを保有する事は長期の経営的視点を見てもプラスになることはなく、経済合理的に見ても結局は損をする事になろうかと思います。
ここからは推測でしかありませんが、このようなスキームは、社会保険に精通したものでなければなかなか気づきにくい事を考えると、もし我々の業界の中で、このようなスキームを積極的にアドバイスしている人がいたとしたら、それは寂しい事です。
先日発表がありましたが、今年の社労士試験の合格率の異常な低さなどを考えると、厚生労働省が本来、適正な取り扱いをアドバイスする専門家であるはずの「我々のあり方」を問うているのかな?と邪推してしまうのでした。
社会保険料節減スキーム対策についての通知<PageTop >ちょっとお勧めこのお店 192 (世界が麺で満ちる時)
コメント
トラックバック
http://facetofaithsrtd.blog76.fc2.com/tb.php/1782-b6d4a26e
コメントの投稿