Faith to Face  ~オレキケ社労士の日々ウダウダ!!~

社会保険労務士として、日々奮闘中のT&Dが、日々起こる話をウダウダ語ります。

急がれる年金制度改革

ドイツの中央銀行にあたるドイツ連邦銀行が8月、公的年金制度を維持するため、退職年齢を69歳に引き上げるよう提言し、これをめぐって大論争が起きています。


同銀ではドイツの年金財政は現状では十分な状況にあるとしながらも、年金の継続性を考えると2060年をメドに退職年齢を69歳まで引き上げるのが妥当と主張しています。


現在のドイツの退職年齢は65歳となっていて、2029年までに67歳に引き上げられることが決まっています。


今回の提言はこれをさらに引き上げるというもの。


これらの動きを見ていると、日本の年金制度改革の遅れを強く感じることが出来ます。


年金制度には、自身が積み立てたお金を将来年金として受け取る積み立て方式と、若い世代が高齢者を支える賦課方式(世代間扶養)の2種類があり、賦課方式は現役世代の稼ぎを利用するという仕組みなのでインフレに強いというメリットがある一方、高齢者の割合が高くなってくると、現役世代の負担が過大になり、制度の維持が困難になるという致命的な欠点があります。


日本は現在賦課方式を採用しているのですが、実はドイツの公的年金制度も、日本とよく似ていて、賦課方式であるとともに、年金保険料の料率(被用者年金の場合)についても約19%と日本に近い水準で、企業と従業員が保険料を折半する点も同様です。


しかし、制度は似ているもののおかれている状況は大きく変わります。


ドイツの公的年金は受給者の給付金などの支出が2588億ユーロ(約30兆円)であるのに対して、現役世代からの徴収する保険料は1943億ユーロだそうです(2013年)。


年金給付額の75%を現役世代の保険料でカバーしており、足りない部分が国庫から補助されています。


これと比較すると、日本の公的年金の場合は、サラリーマンの人が加入する厚生年金と、主に自営業者の人が加入する国民年金に分かれています(公務員が加入する共済を除く)。


年金の給付額は厚生年金が約23兆円、国民年金が20兆円(厚生年金の基礎年金部分も含む)、全体では約43兆円となりますが、現役世代から徴収する保険料は、厚生年金が26兆円、国民年金が1.6兆円となっており、給付額の65%しか保険料でまかなえていません。(2014年)。


つまり日本の方が給付は手厚く財源は不足していると言うことが出来るかと思います。


バランス


ちなみにドイツの場合、不足分は基本的に国庫からの補填ですが、日本の場合には、国庫負担に加え、年金積立金の運用益による補填分があるます。


これは、いわゆる最近よく新聞を賑わせている、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用益のことですね。


この運用を、最近、国債中心の安全運用から、株式中心のポートフォリオに変更し、その結果、大きな運用損が出ていると騒がれているわけですが、なぜこのようなリスクを取らなくてはいけないのかと考えると、そこにはこのままでは、年金を維持できないと言う構造上の問題と、日本という国の財政上の問題があると指摘されています。


と、言いますのは、ドイツ政府の財政状況はとても健全と言われており、憲法にあたるドイツ基本法においても財政均衡が義務付けられていることから、GDP(国内総生産)に対する政府債務水準も極めて低くなっています。


ドイツの政府債務のGDP比は、政府が保有する資産と相殺したネットの数値で約50%(日本は約140%)、資産を相殺しないグロスではドイツが約70%(日本は約250%)となっていて、2014年度予算からは完全な財政黒字化を達成しており、事実上、国債発行はゼロとなっています。


このためドイツは財政的に余力があり、リスクの高い積立金運用に頼らなくても年金への国庫補助が可能となっているわけです。


これに対して、日本政府は2020年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという公約を掲げていますが、その道はかなりいばらの道です。


消費税10%への増税を再延期した事もあり、実現はほぼ不可能と言われている今、これ以上年金財源として国庫補助を増やす余裕はない状況にあるわけです。


ゆえに、現在ギャンブル状態で積立金を運用せざるを得ないというわけですね。


そんな状況を踏まえて、冒頭に戻りこれからの取り組みについて、ドイツと日本を比較しましょう。


ドイツは、財政は健全、余裕もありますが、未来を見越し、健全財政を維持するために、早め早めの対策として、定年の引き上げや年金受給開始時期の引き上げを検討しようとしています。


一方、日本はというと・・・・・


年金を10年でももらえるようにしよう、と負担が増える事ばかりがどんどん実現していきますが、年金引上げ等についてはなかなか現実化しません。


相変わらず、負担が増えるばかりの状況にあり、やっていることは、高リスクギャンブルでハイリターンを求め何とか穴埋めをしようというくらいで・・・・・(まるで借金で首が回らなくなった人が自暴自棄になり、さらにギャンブルにのめりこむような感じでしょうか)


私も含めて、貰えるものが減るのは誰もが嫌です。おそらくそのようなことを言うのもつらいでしょう。


しかし、将来の子供たちに責任を持った行動を考えるとすると、もう遅すぎるかもしれませんが、抜本的な制度改革は避けられないのかもしれません。


また、国民一人一人も、未来のことを自分事として捉え、厳しいこともある程度受け入れる覚悟が必要なのかもしれませんね。


ドイツでの記事からそんなことを考えざるを得ないのでした。


皆様はどのように考えられますか?

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