Faith to Face  ~オレキケ社労士の日々ウダウダ!!~

社会保険労務士として、日々奮闘中のT&Dが、日々起こる話をウダウダ語ります。

厚生年金保険料逃れに関する通達

先日、次のような事件がニュースに流されました(´;ω;`)


【都内のタクシー会社、海外ダミー会社悪用し厚生年金保険料逃れ】
都内のタクシー会社が香港に設立したダミー会社を悪用し、国に納める厚生年金保険料を低く抑えていたことが分かりました。

こうした手口が日本年金機構の調査で明らかになったのは初めてです。

厚生年金保険料を低く抑えていたことがわかったのは都内のタクシー会社です。

このタクシー会社は香港に事業を展開する名目で会社を設立しましたが、香港の会社から従業員を出向する形をとり、給与は都内の会社から基本給、香港の会社から深夜手当などが支払われていたということです。

香港の会社に従業員の勤務実態はなかったということですが、厚生年金は都内の会社から支払われた給与のみに適用されていて、「給与額に応じて納める保険料」が低く抑えられていたということです。

社保逃れ

厚労省は今年2月、会社側に対し、過去2年分の数千万円の保険料を支払うよう求め、会社は分割納付しているということです。

厚労省は日本年金機構に同様の疑いのある事業所への徹底した調査を指示したということです。


このお話、実は数年前から「こんな提案を受けたが、大丈夫か?」とよく聞かれました。


当然、本来の法の趣旨に反する潜脱行為の為、企業の安定的な成長と社員との信頼関係を損なうリスクを説明し、理解を促したものです。


そして、皆様、「そらそうだ」と提案にはのられませんでした。


しかし、法律的にどうなのだ?と言われると、当時は管轄行政に「このようなスキームをきいたが、おかしいのではないか?行政の方で指導が必要ではないか?」と確認しても「違法とは言い切れず限りなくグレーに近い黒としかいいようがない。だから、こちら(行政)としても動けない」というような見解の説明を聞いたのを覚えています(注:相談レベルなので、厚生労働省の正式な回答というわけではありません)


で、今回のような話になったわけで・・・・・・


「結局は2年以上前の社会保険料負担分が企業としては特になったのではないか!!」というような意見を述べられる方もいるかもしれませんが、社会的な制裁、風評被害を考えると、得した以上に今後の経営に深刻な影響を与えると思います。


当然、社員の皆様からすれば「信頼していた会社が違法をしていた」という事になると、モチベーションが高まるとは思えませんし、中には、2年以上前の保険料は遡って訂正されない為、「将来下がってしまう年金にたいして損害賠償を求める」、という訴訟話が出てきてもおかしくないのではないかと思われます。


企業経営は、決められたルールの中で頑張らないと(法律の枠の中で何とかしようと努力することまでは否定しませんが)、長い目で見た成長、生き残りは難しいのではないかと思います。


いずれどこかで修正が必要となり、その労力は、普通に苦労する時の数倍となるからです。


時代の流れもあるのかもしれませんが、これから、コンプライアンスが重視される傾向はますます強くなっていくと考えられます。


で、こんな事件があり、厚生労働省は新たに下記のような通達を出しています。


1.事業所調査の徹底について
職種、勤務形態、勤続年数等を考慮した結果、標準報酬月額が著しく低いと認められる被保険者が存在する適用事業所については、必ず事業所調査を実施すること。

適用事業所の事業主に対する質問調査の結果や、通報、告発等により標準報酬月額の基礎となっていない海外別事業所からの報酬があると見込まれる場合は、源泉所得税や労働保険料の申告、納付状況を必ず確認し、源泉所得税や労働保険料について適用事業所と海外別事業所からの報酬を合算して申告している場合は、標準報酬月額の基礎となる報酬について、海外別事業所からの報酬を合算していない理由を聴取すること。

2.事業所臨場による調査の徹底について
事業所調査の結果、下記①の事象のいずれかに該当する被保険者を確認した場合は、必ず事業所に臨場のうえ調査を実施し、賃金台帳等、下記②に掲げる書類の全てを調査するとともに、全ての写しの提出を求めること。

①事象
被保険者に対する報酬が、適用事業所と海外別事業所の二つの事業所から支払われている場合であって、次のいずれかに該当する場合。
(イ)
職種、勤務形態、勤続年数等を考慮して比較した結果、適用事業所から支払われる被保険者に対する報酬が、適用事業所の所在する地域の同業他社に所属する被保険者に対する報酬を著しく下回る場合

(ロ)
海外別事業所について事業主に質問調査した場合に、例えば、「海外法人設立や転籍・出向等は全て経営権の範疇であり、これを指摘するのであれば民事不介入の原則に反するのではないか。経営権に指摘できる法的根拠を教えてほしい。」等の申し立てにより回答を拒否した場合、又は、書類提出に応じない場合

なお、全ての被保険者が当該取扱いとしている場合のみならず、一部の被保険者のみに当該取扱いを適用していることも想定されるので留意すること。また、被保険者も協力している場合が想定されることから、被保険者からの回答が必ずしも参考になるものではないことに留意すること。

②提出が必要となる書類
(イ)
対象となる被保険者に係る賃金台帳、勤務時間管理簿、所得税及び労働保険料の源泉徴収状況が確認できる書類。

(ロ)
対象となる被保険者と適用事業所の間で取り交わされた雇用契約書、出向又は転籍に関する同意・取決めに関する書類。

(ハ)
対象となる被保険者と海外別事業所の間で取り交わされた雇用契約書、出向又は転籍に関する同意や取決めに関する書類。

(ニ)
適用事業所における報酬に関する規定、出向又は転籍に関する規定。(ホ)海外別事業所における報酬に関する規定、出向又は転籍に関する規定、海外別事業所の活動実態が確認できる資料。


事業所調査に応じない場合には、法令に基づいた罰則の適用があることも説明することとなっています。


場合によっては、立入検査も行うことになっています。


社会保険料の負担は、企業にも社員にも、とにかく重いものですので、「これを下げたい」という気持ちが湧くのは仕方がありませんが、法の趣旨を潜脱するのではなく、その負担を何とか他の部分で知恵を絞って競争してこそ、その組織の未来があるのではないでしょうか?

適用事業所の報酬調査の徹底について

[年末調整]平成30年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書PageTop最低賃金がでそろってます。

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