Faith to Face  ~オレキケ社労士の日々ウダウダ!!~

社会保険労務士として、日々奮闘中のT&Dが、日々起こる話をウダウダ語ります。

今後の育児・介護両立支援の方向性

先日、今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会が開催され、報告書が発表されています。

この報告書の中では、今以上に育児や介護の負担を減らし、働き続けることができるよう、場所や空間に支配されずに働くことができるテレワークを導入することを求めるとともに、これまで労使協定で制限されていた制度をより幅広く気軽に使えるようにしようとすることが示されています。

具体的には次のような内容が案として示されています。

1.子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応
(1)子が3歳になるまでの両立支援の拡充

① テレワークの活用促進

《具体的な措置》
現在、努力義務となっている出社・退社時間の調整などに加えて、テレワークを企業の努力義務として位置付けることが必要である。

加えて、就業時間中は保育サービス等を利用して就業に集中できる環境が整備されるためには、例えば、保育所等への入所に当たり、居宅内での勤務と居宅外での勤務とで一律に取扱いに差異を設けることのないよう、保育行政において徹底していくことが必要である。

② 現行制度の短時間勤務制度の見直し

《具体的な措置》
短時間勤務制度について、現在の利用者だけでなく、今後新たに制度の利用を開始することになる労働者にとっても、企業にとっても、一定の基準があることが必要なことから、原則 1 日6時間とする措置を必ず設けなければならないとする現行の制度を引き続き維持することが必要である。

その上で、柔軟な勤務時間の設定に対するニーズもあり、勤務時間を柔軟化することは労働者のキャリア形成や職場管理面でメリットも大きいことから、原則1日6時間とする措置を設定した上で、他の勤務時間も併せて設定することを一層促していくことが必要である。

また、短時間勤務が困難な場合の代替措置の一つに、テレワークも追加することが必要である。

(2)子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充

① 柔軟な働き方を実現するための措置

《具体的な措置》

業種・職種などにより、職場で導入できる制度も様々であることから、短時間勤務制度又は、所定労働時間を短縮しないテレワーク、出社・退社時間の調整(フレックスタイム制を含む。)若しくは休暇などの柔軟な働き方を措置する制度の中から、事業主が各職場の事情に応じて、2以上の制度を選択して措置を講じる義務を設けることが必要である。

a)事業主が2以上の制度を選択することとする趣旨は、育児との両立の在り方やキャリア形成への希望に応じて、労働者が短時間勤務だけでなく、柔軟な働き方を活用しつつフルタイムで働ける制度を選ぶことができるようにするためである。

b)労働者は、事業主が選択した2以上の制度の中から、1つを選ぶことができる仕組みとすることが考えられる。
これは、事業主の措置義務であることから、法で定める最低基準としては全ての業種・職種で対応することを求める仕組みであるが、一方で、短時間勤務とテレワークなど、労働者が複数の制度を組み合わせられることはより望ましい。したがって、労働者が2以上の制度を選ぶことのできる社内制度とすることを、法を上回る措置として推奨していくことも求められる。

c)事業主が措置する制度を選択することができる仕組みではあるが、選択の際には、労働者からのニーズを把握することが重要である。過半数労働組合や過半数代表者、既存の労使委員会の仕組みを参考とした意見聴取の機会を設けることが必要である。
加えて、ヒアリングで聴取した実例から、子どもを育てる労働者の意見を把握することも、労使の現場において有効と考えられる。例えば、子どもを育てる労働者から構成される会からの意見聴取や、労働者へのアンケート調査などの活用も推奨していくことも求められる。

d)小学校就学前まで制度を利用していく中で、労働者の仕事や育児の状況や、キャリア形成に対する考え方なども変化していくことが想定される。労働者が選択して適用された制度について、その労働者自身にとって適切な選択となっているかの確認を促すために、定期的な面談などを通じて、見直しを行うことも促していくべきである。なお、このような定期的な面談などを通じ
た見直しは、子が3歳になるまでの期間においても実施されることが望ましい。また、労働者の心身の健康への配慮も必要である。

e)事業主が措置義務として短時間勤務制度を選択する場合には、3歳になるまでに措置されている現行の短時間勤務制度と同様、1日原則6時間とする措置を設けた上で、他の勤務時間も併せて設定することを促していくべきである。

f)事業主の措置義務として事業主がテレワークを選択する場合には、育児との両立に資すると言える環境を十分に構築するために、テレワークの頻度等に関する基準を設けることが必要である。
基準を設ける際には、例えば以下の考え方を参考にして検討することが考えられる。

・育児の時間を確保するために、出社が必須であれば短時間勤務を希望していた労働者が、テレワークを利用してフルタイムで働くことを可能となるような時間数や頻度に関する基準などが考えられる。

・1日中テレワークをすることのみを前提とせず、時間単位でテレワークができるなど、労働者がテレワークによる働き方を柔軟にできるような基準の設定の仕方が望ましい。

② 残業免除(所定外労働の制限)

《具体的な措置》
現在3歳になるまで請求できる残業免除(所定外労働の制限)について、3歳以降も請求を可能とすることが必要である。

請求できる期間については、他の労働者とのバランスや、短時間勤務制度からの移行期間という観点から、小学校就学前までとすることが適当である。 なお、この点について、
・特に小学校1年生など子が新たな環境になじむ期間も請求できるようにするべきではないかという意見や、
・小学校6年生までの期間は、教育面や安全面での配慮から、親子で過ごす時間を十分に確保する必要があることから、残業免除を請求できるようにするべきではなかという意見
もあった。

なお、長時間労働が常態化している職場で、育児中の特定の労働者にのみ残業を免除することは適当ではなく、職場の全ての労働者について残業がない働き方となることが望ましい。そのような考え方の下で、労使で取組を進めてい
くことができるような工夫もあわせて行っていくべきである。

(3)子の看護休暇制度の見直し

《具体的な措置》

子の看護休暇の取得目的については、現行の育児・介護休業法において育児目的休暇が努力義務となっていることや、コロナ禍で小学校等の一斉休校に伴い、多くの保護者が休暇を取得せざるを得なかったことを踏まえ、子の行事(入園式、卒園式など)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるよう、見直しを行うことが必要である。それに合わせて、「看護休暇」の名称の在り方も検討していくべきである。

子の看護休暇を取得する労働者の多くは5日未満の取得日数であることや、子の病気のために利用した各種休暇制度の取得日数の状況、男女の休暇の取得状況等を参考に、1年間の取得日数は現行の5日(子が2人以上の場合は年10 日)を維持するべきである。

子が診療を受けた日数の状況等を勘案して、取得可能な子の年齢については、小学校3年生の修了までに引き上げることが必要である。
なお、この点について、子が小学校高学年であっても、子を単独で療養させることはできないことから、取得可能な年齢をさらに引き上げるべきではないかとの意見もあった。一方で、男女の休暇の取得状況等を参考にすると、女性に育児負担の偏りにつながりかねないことから、一律に取得可能な子の年齢を引き上げるべきではないとの意見もあった。この点、例えばひとり親等において子の預け先の確保が困難などの事情が個別にある場合には、後述の労働者の個別の状況に配慮した対応が検討されるべきである。

子の看護や行事等への参加等のニーズは、労働者の勤続年数にかかわらず存在することから、労働移動に中立的な制度とする等の観点からも、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって除外できる仕組みは廃止することが必要である。

2.仕事と育児の両立支援制度の活用促進
(1)制度の活用をサポートする企業や周囲の労働者に対する支援

《具体的な措置》
育児休業や短時間勤務を活用する労働者の業務を、外部からの代替要員や周囲の労働者によりカバーする場合に、代替要員の雇用や周囲の労働者の負担軽減を行う中小企業に対する助成措置の強化や、企業規模にかかわらず、制度利用者がいる職場の業務量・達成目標の見直しや体制の整備などに関するノウハウの共有などが必要である。

(2)育児休業取得状況の公表や取得率の目標設定について

《具体的な措置》
現在、常時雇用する労働者が 1,000 人超の事業主に対して男性の育児休業取得状況の公表が義務付けられたが、女性活躍推進法などを参考に、さらに 300人超の事業主についても、公表の義務付けが必要と考えられる。

ただし、企業規模が小さい場合には、一定期間内に育児休業を取得しうる者(配偶者が出産した者等)が限られる場合があるため、公表時期を2年度に1度とすることや、公表時に社内の状況についても説明できる仕組みを設けるなどの配慮を行うことが必要と考えられる。

また、政府において男性の育児休業取得率の目標を掲げる場合には、取得率だけでなく、男性の育児休業取得日数や育児・家事時間等も含めた目標の検討が必要である。

3.次世代育成支援に向けた職場環境の整備

《具体的な措置》
常時雇用する労働者 101 人以上の企業に策定が義務付けられている一般事業主行動計画について、行動計画策定指針上は数値目標の設定が望ましいことやPDCA サイクルの確立が重要であるとされている。各職場での取組をさらに促進していくため、上記のような手法を、指針ではなく法律上の仕組みとして規定することが必要である。

一般事業主行動計画の策定に当たっては、今後の次世代育成支援において重要なのは「女性が働きやすい職場」であるだけではなく「男女がともに仕事と子育てを両立できる職場」であることという観点を明確にすることが必要である。そのため、策定に当たっての基本的な考え方として、男性育児休業の促進、子育て期を含めた全ての労働者の時間外労働の縮減や柔軟な働き方の促進等の事項を盛り込むことについて具体的に示すことが必要である。

ヒアリングを通じて把握してきた好事例等の内容を踏まえ、行動計画に盛り込むことが望ましい事項として、以下のような項目を策定指針で示すことが必要である。

A 企業全体の方針
ⅰ 育児休業期間や短時間勤務などを活用する期間の評価に関すること
ⅱ 育児休業取得時や短時間勤務活用時等の業務の分担や代替要員確保に関する企業としての方針(本人及び周囲の労働者に対する周知方法を含む)
ⅲ 育児休業からの復職後に復帰するポジションに関する納得感の向上に向けた取組に関すること(原職や原職相当のポジションへの復帰や、意欲・能力を活かす仕組み)
ⅳ 多様な状況にある子や親の両立支援に関する取組に関すること
ⅴ 育児に必要な時間帯や勤務地に対する配慮に関すること
ⅵ 両立支援に対するニーズを反映するために、トップダウン・ボトムアップでの取組、当事者間のつながりによるコミュニティと
のコミュニケーションなど、多様な手段を活用すること

B 両立支援制度の利用者に対する取組
ⅶ 育児を予定している労働者や育児中の労働者が、今後のキャリアの希望に合わせて、両立支援制度の利用や配偶者との育児分担等について検討することを促すためのキャリア研修

C 個々の職場の管理職や上司に対する取組
ⅷ 育児休業取得者等の周囲の労働者に対するマネジメントや評価に関すること

ⅸ 制度利用者本人のキャリア形成・能力開発の観点や、円滑な制度利用のために周囲の労働者の業務見直しや評価等への配慮を行うことで職場でのあつれきが生じないようにする観点から、上司向けの情報提供や研修に関すること

4.介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等
(1)仕事と介護の両立支援制度の情報提供や、制度を利用しやすい雇用環境の整備の在り方

《具体的措置》
家族の介護の必要性に直面した労働者が申出をした場合に、当該労働者に対して、企業が、仕事と介護の両立支援制度等に関する情報を個別に周知することが必要である。また、その際に、両立支援制度の本来の目的を十分に説明した上で、仕事との両立に必要な制度が選択できるよう労働者に対して働きかけることも必要である。

両立支援制度に加えて、労働者が介護保険制度についての基本的な知識をもつことは仕事と介護の両立を図る上でも有効である。企業が、介護保険の第2号被保険者となる 40 歳になるタイミングをとらえるなどして効果的な時期に、労働者に対して、両立支援制度の情報を記載した資料などを配付するなどの情報提供を一律に行うことが必要である。その際、介護保険制度の内容をあわせて周知することが望ましい。

企業が、介護保険制度や両立支援制度に関する社内セミナーや研修の開催、相談窓口の設置など雇用環境の整備を行うことが必要である。

その他、企業における仕事と介護の両立支援制度を利用しやすくしている個別の取組を好事例として共有できるようにすることも必要である。

(2)介護休業

《具体的措置》
介護休業に関しては、制度の目的の理解促進が重要であり、(1)による情報提供等に取り組むことが必要である。

加えて、各企業で就業規則等において制度を定める際に、「介護休業」の名称を「介護準備休暇」、「介護休業・介護体制準備休業」というように、企業独自で決めることも、法律上の取得要件等を満たしていれば問題はない。こういった名称の変更により、制度の趣旨が伝わりやすくなる工夫が考えられる旨、周知していくことが望ましい。

(3)介護期の働き方(介護休暇や短時間勤務等の選択的措置義務、テレワークの在り方等)

《具体的措置》
介護休暇について、介護体制構築後の通院等の日常的な介護ニーズなどにスポット的に対応するものとして設けられているが、こうしたニーズは、労働者の勤続年数にかかわらず存在することから、労働移動に中立的な制度とする等の観点からも、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって除外できる仕組みは廃止することが必要である。

テレワークについては、通勤時間が削減されたり、遠隔地に住む家族の家から業務を行ったりすることが可能となることで、介護休業や短時間勤務を利用する代わりにフルタイムで働く日を増やしていくことも可能になるという効果が期待されるため、介護期の働き方として選択肢の一つとして位置付けていくことが望ましい。
一方で、テレワークにより労働者が恒常的に自ら介護を行うことは、要介護者が家族である労働者本人に過度に依存することを助長する恐れもある。
以上を踏まえて、介護期の働き方として、テレワークを選択できるように努めることを企業に求めることが必要である。

5.障害児等を育てる親等、個別のニーズに配慮した両立支援について

《具体的な措置》
① 現行の仕事と介護の両立支援制度の運用の見直し
子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合にも、子が要介護状態の要件を満たせば、介護休暇等の制度も利用可能であることや、介護休業若しくは介護休暇に関する制度又は介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じて、介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずる努力義務が事業主に課されていることについて、周知を強化するべきである。

現行の要介護状態の判断基準について、主に高齢者介護を念頭に作成されており、子に障害がある場合等では解釈が難しいケースも考えられることから、具体的な障害の状態等を踏まえて、さらに検討することが今後の課題である。

② 育児中の労働者に対して個人の意向を尊重する配慮
企業や労働組合、当事者団体へのヒアリングを通じて、労使での話合いや、様々なコミュニケーション手段を活用したニーズの把握などにより、企業が個々の労働者への配慮を行う事例も見られた。
これらを参考として、社内の制度以外に、勤務時間帯や勤務地、制度の利用期間などに関する希望など、個人の意向を聴取するよう企業に義務付けることが必要である。また、個人の意向を聴取したあと、企業はその意向を尊重することが適当である。
その際、子に障害がある場合等に限らず全ての労働者を対象とすることが適当である。そのため、個人の意向を聞く機会は、個々の家庭のニーズに配慮できるよう、妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出時の育児休業取得に関する意向確認の際に一律に行うこととすることが必要である。さらに、育児休業からの復職時の定期的な面談時などの際にも行うことも望ましいと考えられる。

6.仕事と育児・介護との両立支援に当たって必要な環境整備
(1)プライバシーへの配慮

《具体的な措置》
妊娠・出産等、家族の介護に関する情報が適切に管理されるよう、社内で共有する範囲を定めるといった配慮を事業主に求めることが望ましい。

(2)心身の健康への配慮

《具体的な措置》
仕事と育児の両立のためにテレワークやフレックスタイム制などを活用する場面では、夜間の勤務等を理由に心身の健康の不調が生じないよう、事業主の配慮(勤務間の休息時間(いわゆる勤務間インターバル)や勤務時間外の業務へのアクセス状況の確認、面談による労働者の健康状況への配慮等)を促すことが望ましい。

また、事業主による配慮だけでなく、労働者自身も、自身の健康にも留意しながら働き方を見直していくことも求められるため、セルフケアなどを促すことも望ましい。

(3)有期雇用労働者の育児休業取得等の促進

《具体的な措置》
有期雇用労働者の育児休業制度に関する周知を引き続き行うことが必要である。その際には、女性労働者が産前・産後休業に関する制度を知らずに退職することで、育児休業を取得できない場合もあることを踏まえ、産前・産後休業の制度と併せて周知していくことが重要である。


なんだか後ろのほうになるほど、トーンが下がっていく気がしますが(-_-;)、企業にはこれまで以上に育児・介護に関する配慮が求められることになりそうです。

こういう話が出てくると、企業の負担の多さが言われますが、子供を社会で育てる中で、企業もそのメンバーであると考え前向きに取り組んでいくことが重要になりそうです。

また、随所にテレワークという言葉が出てくることから、もはや場所や時間を選ばない働き方は企業が避けて通れない課題の一つになることも予見されます。

ライフワークバランスやウェルビーイングという価値観が浸透し、個々の労働者が素直に自信を表現することが当たり前になりつつある今、採用活動・人材定着の観点からも、できることから一つ一つ前向きにチャレンジしていくことが未来を創っていくことになりそうです。

第8回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会

報告書骨子(案)

報告書(案)

報告書(案)関係資料

補足資料

ジョブ・クラフティングのすすめPageTop働き方の変化だより②

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