Faith to Face  ~オレキケ社労士の日々ウダウダ!!~

社会保険労務士として、日々奮闘中のT&Dが、日々起こる話をウダウダ語ります。

助成金の法的性質

先日、雑誌を読んでいると、『助成金の法的性質』について述べられた記事がありました。
(ビジネスガイド6月号 飛田秀成 弁護士の記事より)




助成金って、「何契約」かご存知ですか?






結論から言いますと、各助成金によって、変わってくるという事のようですが、例えば「雇用調整助成金」で考えると、これは


厚生労働省(国)と事業主の間の『負担付贈与契約』と考えるそうです






「贈与」とは「無償で(対価なしに)財産を与える契約」であり、負担付贈与とは「受贈者に一定の給付を負担させる贈与契約」を意味します。


この助成金の場合であれば、事業主が支給申請書に記載された支給要件を満たし、休業、教育訓練又は出向等の実施や支給手続きを履行することを条件として、贈与されるもの、というような感じです。



だからこそ、事業主が決められた義務を履行しなかった場合(不正受給)には、事業主の債務不履行に基く法定解除権(民法415条、543条)または申請書記載の解除特約に基く約定解除権により、厚生労働省(国)は契約を解除する事ができ、その結果、事業主に対して支給済みの助成金の返還を請求(不当利得返還請求)できることとなります(原状回復請求権 民法545条1項)






また、これとは別に不正受給が発覚した場合には、「労働局」のウェブサイトにて、定期的に事業主の名称等が公表されます。






ちなみに不正受給に関しては、上記事項の対応だけではなく、刑法罰による「犯罪」が成立することもあります。






どの様な罪かと言いますと次の2つです。



① 詐欺罪(刑法246条1項)
構成要件:人を欺いて財物を交付させたもの
法定刑 :10年以下の懲役



② 補助金適正化法第29条1項違反の罪
構成要件:偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け又は間接補助金等の交付もしくは融通を受けた者」
法定刑 :5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

※1「偽りその他不正の手段」の代表例は刑法246条1項に定められている詐欺行為です。
※2「補助金等」とは、国が国以外の者に対して交付する ①補助金 ②負担金(国際条約に基づく分担金を除く) ③利子補給金 ④その他相当の反対給付を受けない給付金であって政令で定めるものを言います
※3 間接補助金とは ① 国以外のものが相当の反対給付を受けないで交付する給付金で、補助金等を直接または間接にその財源の全部または一部とし、かつ、当該補助金等の交付の目的に従って交付するもの、② 利子補給金又は利子の軽減を目的とする前号の給付金の交付を受けるものが、その交付の目的に従い、利子を軽減して融通する資金のことを言います







ここで気をつけなくてはいけない点は、詐欺罪で言われる「人を欺く行為」についてです。






私達の一般的なイメージでは「人を欺く」とは「言葉巧みに詭弁を弄して被害者を騙す」という感じですが、判例等※をみますと「申請書類に虚偽の内容を記載」して助成金の申請をすれば、それだけで「人を欺く」という詐欺行為の客観面は満たされてしまう可能性があるのです。


※刑事裁判例(広島地判平24.4.1)
社員と共謀し、休業又は教育訓練を実施して賃金を支払った実態が無いにもかかわらずその状態を偽装して、虚偽の書類を添付し雇用調整助成金の支給申請をした事件。
被告人は5つの企業を仮装して申請書類一式を整えている点で、高度の組織性、計画性が認められ、金額も多いことから犯情は相当に重いと判断され懲役7年の実刑判決を受けています。






もちろん、詐欺罪が成立するためにはそれだけではなく、①故意だったか ② 不法領得の意思があったか、というような主観的な要素も加味さえる事にはなりますが、客観面の捉え方を考えると、たとえ不注意によって結果的に不正受給となった場合であっても、法的に故意『有』と認められてしまうリスクは存在するため、「故意が無いから詐欺にはならない」というような考えは許されないこともあるので、注意が必要です。



助成金 このようなことにならないように・・・





企業にとっては、とても助かる側面の多い助成金ですが、上記のような法的性質、そして不正請求による法的リスクを理解した上で、慎重に対応する必要があります。




もらえると誰もが喜ぶ助成金ですが、今後も継続して存在できる制度にするためには、もらう方、与える方の信頼関係を崩さないように、モラルを大切にしたいものです。

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